70代からは無理な若作りをやめた
絆を深めた2人の大御所が半世紀を経て、再び現場で組む──木村監督から直接オファーを受けた北大路は、鳥肌が立つほどの感動を覚え、「大ちゃんと仕事ができることがうれしい」と声を弾ませていたという。
「撮影が始まる日を心待ちにしていた北大路さんにとって、降板は断腸の思い。木村監督にとっても痛恨の出来事でしたが、事実を受け入れて一日も早い回復を祈っているそうです。事情を知った別のベテラン俳優が快く代役を引き受けてくれたと聞いています」(前出・映画関係者)
北大路の所属事務所は「現在、体調不良によりお休みしておりますが、俳優活動の復帰に向けて、順調に回復しております」と回答した。
2022年に京都国際映画祭で「牧野省三賞」を受賞した際、北大路は先人たちへの感謝を述べた上で「いまも素晴らしいスタッフ、キャストの皆さんと一緒に汗をかかせていただいている」と語り、現役の役者として求められ続けることの幸せをかみしめていた。

「傘寿を過ぎても精力的に仕事に取り組んできましたが、70代を過ぎてからは無理に若作りせず、年齢に応じた体の変化を受け入れるようになったそうです。日課は、朝になれば“今日も元気でよかった”と起き、夜は“今日もごくろうさま”と床に就くこと。映画への恩返しを誓う一方で自然体の境地を貫き、『三屋清左衛門残日録』の主人公のように“わきまえるところはわきまえ、引くべきところは引く”生き方を心がけているそうです」(芸能関係者)
2023年に東映時代を共に過ごした中島貞夫監督が亡くなった際、北大路は友に深い敬意と感謝を捧げ、今後の目標をこう語った。
「できる限り精一杯の仕事をしていきたい。それがぼくの締めくくりです」
冷たい雨の中、両親が眠る墓前で静かに手を合わせた北大路。70年に及ぶ役者人生の節目と、予期せぬ試練に見舞われた現在の境遇を、亡き父母にどのように語りかけたのだろうか。
あの鋭くも温かい眼差しで、再び銀幕に立ち現れる日を、多くの映画人やファンたちが固唾をのんで待っている。
※女性セブン2026年10月15日号