《最新研究が明かすインフルエンザワクチンの効果》心筋梗塞や脳卒中などのリスク低減か、認知症予防に関する研究も 60才以上が対象の「新ワクチン」は来年以降の導入へ

例年よりも大幅に早く、8月下旬に流行入りしたインフルエンザの感染拡大が続いている。早めのワクチン接種が推奨されているが、実は期待される効果は、インフルエンザ予防や重症化リスクの低下だけではないという。体を守るための最新知識をひもとく。
インフルエンザは1年間に約1000万人が感染すると推計され、重症化して亡くなる人は年間推定約1万人にのぼる。
免疫力や体力が低下するシニアは重症化しやすい傾向にあるが、インフルエンザワクチンの接種によってそのリスクを下げられると指摘され、接種を検討する人は少なくないだろう。
重症化し命を落とす高齢者は年間で数千人に
インフルエンザの代表的な症状として、高熱や関節痛、強い倦怠感が挙げられるが、実際には「命にかかわる病気」だと警鐘を鳴らすのは、いとう王子神谷内科外科クリニック院長の伊藤博道さんだ。
「重症化したり合併症を起こすとより長く重い治療が必要になったり、場合によっては命にかかわります。
例えば重症化したときの合併症であるインフルエンザ脳症は意識障害やけいれんを引き起し、死亡するケースも。回復しても後遺症に苦しむ人もいます。
心臓の筋肉である心筋にウイルスが直接感染することで、免疫反応が暴走して起こるインフルエンザ心筋炎は、急激に悪化し死に至ることもある恐ろしい合併症です」
重症化し命を落とす高齢者は年間で数千人にのぼると伊藤さんは続ける。
「高齢者や乳幼児など、免疫力が弱く体内に入ったウイルスを排除しづらいかたは重症化リスクが高い。ウイルスを追い出すのに時間がかかり、熱が下がったと思ったら肺炎になってしまうことや、炎症が長く続くことで心筋梗塞や脳卒中などの急性疾患、他にも慢性疾患リスクも上がっていくのです」
内科医で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんは「インフルエンザにかかると、心臓や血管の病気にかかるリスクも高まる」と指摘する。
「糖尿病や高血圧といった持病を抱えている人は特に注意が必要です。インフルエンザ感染から1週間以内は心筋梗塞になるリスクが6倍になったという研究報告もあります。
自分はまだ若いから、持病がないからと安心してはいけません。うつされた高齢の家族が亡くなってしまうこともあるのです」