タレントの野呂佳代（35歳）が、自身も10か月で体重92kgから25kgの減量に成功したダイエット専門医「工藤内科」の工藤孝文さんに、「どうしたらダイエットできますか？」とお悩み相談。
引き締まったグラマラスなボディーが理想という野呂ちゃん。最終回となる第4回の相談内容は「下半身を引き締めるには？」。工藤さんが考案した超簡単なのに確実に効果が出るというダイエットトレーニングをやってみました！（コチラから第1回、 第2回、 第3回の相談）
＊ ＊ ＊
工藤：野呂さんは、具体的に、どんな風に痩せたいですか？
野呂：体重を落とすのではなく、下半身の部分痩せが目標です。いろんなダイエットをやってきた話はしましたが、やり過ぎて、どうしていいかわからない。一方で、運動系ダイエットをやり尽くして、自分なりに感じていることもあります。ダイエットをやれば、必ず結果は出ます。でも、気をつけないと、パンプアップ（筋肉を肥大させる）的な方に行きがちで…。筋肉がつくのはいいんですけど、バランスよく使われていないのか、筋肉のつき方が偏っているんです。太ももやお尻だけが大きくなる。それで、バランスの悪い体形に見えるんじゃないかと。
工藤：筋肉は、つきやすい人と、つきにくい人がいます。野呂さんの場合は、上半身より、下半身の筋肉をよく動かすから、下半身の筋肉が大きくなるんでしょうね。下半身痩せにいちばん有効なのは、スクワット系の運動です。ぼくが考案した、おすすめのダイエットがあります。
野呂：本当ですか、ぜひ、教えてください！
工藤：「7秒間かけて座るだけダイエット」というスロートレーニングです。筋トレなどの無酸素運動は、筋肉を大きくするのでムキムキになりますが、有酸素運動をゆっくり行えば、しなやかな筋肉になります。余談ですが、ジムの運動で消費するカロリーは、1日の総消費カロリーの、たった0～5%。一方、日常生活（家事、掃除、立ったり座ったり）の消費カロリーは25～35%。つまり、日常生活の消費カロリーは、ジムより5～7倍も多い。
野呂：えーっ！ じゃあ、掃除機かけたり、窓拭いたり、家の中でちょこちょこ動いてる方が、消費カロリーが上がるってこと!?
工藤：その通り。必ず痩せますよ。「7秒かけて座るだけダイエット」も、日常の動きの1つです。椅子に座る時に、7秒かけて座るだけですから。
野呂：たったそれだけ？
「痩せるためにジムに行くのは間違いです」
工藤：座るたびに、スロートレーニングと筋トレができます。脂肪燃焼効果はもちろん、筋肉が増えて基礎代謝が上がるので、痩せやすい体になります。呼吸をしながら、7秒かけてゆっくり座るだけでいいですよ。実は、ぼく、ジム反対派なんです。痩せるために、わざわざジムに行くのは、めちゃくちゃ効率が悪い。
野呂：先生はジム反対派なんですね。あらら…。
工藤：ジムに行かれたりしますか？
野呂：答えづらいなぁ～。はい。動くのが好きなんですよ。特に、瞬発力系が好きですね。ボクシングとか…。あっ、一時期、すっごいハマって行ってたのが、暗闇で自転車をこぐ「フィールサイクル」。たぶん、下半身の筋肉が大きくなって、カチカチに固まり、太ももとお尻が大きくなったのは、やり過ぎが原因です。メッチャ楽しいんですけどね。
工藤：それ、ぼく、大賛成です！
野呂：先生、さっきと言ってること違うじゃないですか。ジム反対って言ってましたよね？
工藤：いや、違わないですよ。ぼくが反対なのは、痩せるためにジムに行くこと。
野呂：ええっ!? 痩せるためじゃなかったら、ジムに何しに行くんですか?
「セロトニンを増やすことでドカ食い防止に」
工藤：運動は、ストレス発散、ドカ食いやダラダラ食い予防のためにやるべき。そもそも、ダイエットにおける運動は、セロトニン（幸せホルモン）を増やすためのもの。セロトニンが低下すると、食事をしても満腹感を得られません。ところが、運動で幸せホルモンが増えると、心身共に満たされて、ドカ食いやダラダラ食いが無くなります。それに、痩せる目的で運動しても、なかなか痩せないでしょ。
野呂：確かに、3か月以上はかかりますね。短期間で結果が出ることなんてないです。
工藤：脂肪1kg燃やすには、フルマラソン2回は走らないと無理。でも、ストレス発散のために運動して、気分がスッキリすれば、食欲が落ちてくる。食欲が落ちれば、食べる量が減るので、必然的に、痩せて体重も落ちます。だから、患者さんには、運動は気分転換のためにやってください、と指導しています。ジムで運動するのも、“好き”が目的なら、大いに結構です。
野呂：「フィールサイクル」も、楽しんでやってるからイイ、ってことですね。大音量の音楽に乗って、ペダルをめちゃめちゃ漕ぐんですよ。
工藤：最もセロトニンを増やすのにおすすめなのは、リズム運動。音楽にノッて体を動かすなんて、最高にいいですね！ もちろん、各種ダンスもいいですよ。いちばん簡単なのは、ガムを噛むこと。ガムを噛むのもリズム運動です。
野呂：ガムを噛むだけでセロトニンが増えて、食欲が抑えられるって、面白いですね。
工藤：運動じゃないですけど、ハグもいいですね～。スキンシップをすると、セロトニンの働きを高めるオキシトシン（幸せホルモン）が作られ、共感と幸福感が生まれます。
野呂：じゃあ、社交ダンスみたいな、男女ペアを組んで踊るダンスは、幸せホルモンが、倍増しそうじゃないですか？
工藤：それ、最高です！ オキシトシンが出て、セロトニンの働きが活発になって、痩せる。
野呂：かなりいいですよね！ 実は、社交ダンス、やりたかったんです。モダンやワルツよりも、サルサやサンバをやってみたくて。タンゴもいいですよね～。踊りも音楽も大好きで、もちろん、クラブも好き！ 好きな音楽をかけて、楽しく体を動かせば痩せていくなんて、私にはベストダイエットです！
工藤：そうですよね。
野呂：となると、私がやってたことを続けていれば、痩せてたんだ。続けなきゃ！って気持ちはあったんですよ。でも、最初は、楽しいのが目的だったのに、いつの間にか、痩せる目的にすり替わっちゃったんですかね。とにかく、太めの下半身をキュッと引き締めたい！ ほかのパーツはこのままでいいですから。
工藤：それなら、先ほどお話しした「7秒間かけて座るだけダイエット」を習慣化すれば、下半身が、みるみる引き締まります。
野呂：それ、やりたーい!!
7秒かけて座るだけダイエットに「けっこうしんどい！」
工藤：では、やってみましょう。椅子の前に立っていただいて、両手を前に伸ばす。背筋を伸ばしたまま、自然な呼吸で7秒かけて座ります。“いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお、ろーく、しーち”。
野呂：たった7秒なのに、けっこうしんどいですね。
工藤：オフィスなど、両手を前に出すスペースがない場合は、手はつけなくてもいいです。
野呂：手をつけないと、安定しないので、かえって難しいです。これ何回やるんですか？
工藤：1日10回。10回と聞くと多い気がしますが、日常生活では10回以上、立ったり座ったりを繰り返してるはずです。有酸素運動なので、呼吸は止めないでください。呼吸をしながら行うことが、脂肪燃焼と筋トレの効果に繋がります。
野呂：苦しぃ～。下腹に効いてる～。→「7秒かけて座るだけダイエット」の詳しいやり方はコチラ！
ピロピロ笛ダイエットは下半身の引き締めに有効
工藤：効いてるということは、筋肉に刺激が伝わって反応しているということ。鍛えられてますよ。もう1つのおすすめが、「ピロピロ笛ダイエット」。これも、下腹部から下半身の引き締めに有効です。
野呂：それって、マジメなやつですか？
工藤：もちろん！ ピロピロ笛にもいろいろあるんですが、これは、ダイエット専用の、長いタイプです。長いから、けっこうしんどいですよ。鼻から3秒吸って、7秒かけてゆっくり息を吐きます。ロングブレスと同じ要領で、吐く時にお腹をへこませてください。ピロピロ笛のメリットですが、ピロピロ笛を吹くと、自動的に腹式呼吸になります。実は、腹式呼吸って、正しく行うのは、かなり難しいんです。
野呂：そうなんですか。ピロピロ笛、楽しそう。やっていいですか？
工藤：では、一緒にやりましょう。鼻から3秒で吸って、口から7秒で吐く。お腹をめいっぱいへこませてー。
野呂：すごいキツ～イ！ 何コレ、めっちゃキツ～イ！
工藤：でも、楽しいでしょ。
野呂：まだ、ぜんぜん、楽しさがわからないです。これって、吐く時に、ほっぺたを膨らませるんですか？
工藤：ほっぺたは膨らませてください。ほっぺたが膨らむと、頬の周りがピーンと張って、ほうれい線の改善にも効果大。また、顔、あご、首の筋肉も使うので、小顔効果もありますよ。
野呂：ほうれい線の改善と小顔効果。 いいですね～。テンション上がります！
工藤：しっかり腹筋を使うためには、ゆっくり7秒で吹いてもいいですし、一気に吹いて7秒間キープしてもOK。
野呂：どんなタイミングで、いつ行うのが効果的ですか？
工藤：目安は10回。いつ行ってもいいのですが、最もおすすめしたいのは寝る前。腹式呼吸で、自律神経を整えます。深い呼吸を繰り返せば、副交感神経が優位になり、リラックスした状態になり、安眠へと誘ってくれます。10回に届かなくても、眠くなったら終了してください。
野呂：自律神経を整えられるのはいいですね。続ければ、歌もうまくなるかな？
工藤：もちろん！ 肺活量も増えますし、呼吸筋も鍛えられますよ。
野呂：俄然、ヤル気出てきた!!
工藤：では、寝て、やってみましょうか。お腹に、辞書などの厚めの本を置いて行うと、呼吸するたびに、下腹部が使われているのを実感できます。
「お腹がへこんでいる感じがよくわかる」
野呂：確かに、寝て行うと、お腹がへこんでる感じが、ハッキリわかりますね。
工藤：お腹と背中がくっつくくらい、お腹をへこませながら吐きましょう。
野呂：ふぅーーーーーーっ。
工藤：そうそうそう。お腹がへこんでる、へこんでる。吐き終えたら、お腹を膨らませながら自然呼吸に戻る。腹式呼吸は、吐くことだけに、意識を向けてください。
野呂：わっ、頭に血が昇ってる!! これは眠くなります。こりゃイイや。翌日の仕事のことが、気になってたりすると、眠ろうとしても、眠れないときがありますから。
工藤：眠れないのは、頭や体が緊張して、交感神経が高ぶってる証拠です。自律神経を整えれば、眠れます。
野呂：最近は、しんどいな、と思ったら、息をふーっと吐き出すようにしています。
工藤：それはいいことですね。体の力が抜けると、緊張がとれてリラックスできますから。今度は、ド派手なピロピロ笛やってみすか？
「下半身のピンポイントにしっかり効く」
野呂：お祭りみたいですね！（爆笑） 全部膨らますのは無理かも…。けど、やりますよ！ ふぅーーーーーーっ。
工藤：おースゴイ、スゴイ!! さっきの長いタイプより、腹式呼吸使ってますよ。
野呂：コレ上級者向きですか? 全部膨らませるのは、無理ですって。でも、もう１回！ ふぅーーーーーーっ。
工藤：おーぉ、全部膨らみました！ やっぱり、歌をやってるから、肺活量ありますね。毎日、少しずつ、呼吸の回数を増やしていけば、さらに、肺活量が上がって、呼吸筋も強くなるので、声量もアップしますよ。
野呂：下腹には、さっきのダイエット専用の長い方が、効いてる感じがしますね。「7秒かけて座るだけダイエット」も、この「ピロピロ笛ダイエット」も、簡単で、楽しい。しかも、ピンポイントにしっかり効いてくる。お腹と太ももが、痛いですもん。今回は、ダイエットの考え方や、食事、運動について、目からウロコのお話が聞けたので、ぜひ、できることから、実践したいと思います。ありがとうございました！
工藤：こちらこそ、楽しかったです。野呂さんは、自然体で、周りに左右されない生き方をされていると思うので、今後も、自分に合うダイエットを、上手に生活に取り入れて、楽しんでくださいね。
タレント：野呂佳代
のろ・かよ。タレント。1983年10月28日生まれ、東京都出身。2006年から2010年まで「AKB48」2期メンバーとして活躍後、2012年まで「SDN48」に在籍し2010年にはキャプテンに就任。タレントとして『ロンドンハーツ』（テレビ朝日系）で大ブレイクし、女優、声優として活躍の幅を広げる。現在放送中のドラマ『こんな未来は聞いてない!!』（FODで配信中）では、未来からやってきた30歳の佳代役を演じている。
医師：工藤孝文
くどう・たかふみ。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡 県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、『世界一受けたい授業』（日本テレビ系）減量外来ドクター、『ホンマでっか!?TV』（フジテレビ系）漢方治療評論家・肥満治療評論家など、メディア出演多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本東洋医学会、日本肥満学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。著書『たった7秒で座るだけダイエット』(晋遊舎)が発売中。
撮影／黒石あみ
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