最近はダイエットや生活習慣病予防のために、筋トレに励む女性も多くなった。だが、日本人は頑張って筋トレに励んでも、筋肉が太くなりにくい体質を遺伝的に持っていると、『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社)の著書がある医師の奥田昌子先生は言う。
ジムに通っても痩せないって本当?
「人間の筋肉は、筋線維という細い線維が集まってできているのですが、それには赤と白がある。赤は『赤筋』、『遅筋』と呼ばれ、ゆっくりと長い時間働くことができます。一方の白は『白筋』、『速筋』と呼ばれ、瞬発力を発揮します。筋トレで太くなるのは白筋の方ですが、日本人を含む黄色人種の筋肉は7割が赤筋だとされている」
元来そんな体質を持っているのだから、ジムに通う夫がなかなか筋骨隆々にならなくても、ガッカリしてはいけない。だが、そうなるとダイエット法もおのずと変わってくる。『医者が教える日本人に効く食事術』(SBクリエイティブ)の著書がある、新宿溝口クリニック院長の溝口徹先生もこう話す。
「やせるためにジョギングやマラソンをする人が多いが、日本人の場合はダイエットにならないどころか、マラソンなどで持久力を出す目的を持つ赤筋を鍛えてしまうと、脂肪酸を燃やし熱に変える『脱共役たんぱく質』の活性を下げ、体が省エネモードに入り、ますますやせにくい体を作ってしまうのです」
筋肉が太くなりにくいとわかっていても、なんとか筋肉をつけようと、スポーツの前後にプロテインをのむ人もいる。だが、それが“有害物質”を生む、と奥田先生は警鐘を鳴らす。
「たんぱく質が体内で燃えると有害な物質であるアンモニアが生成されてしまいます。特に日本人はプロテインのたんぱく質を分解する力が弱いうえ、アンモニアが肝臓や腎臓に負担をかけるため、疲労しやすくなってしまう」
日光浴をしてビタミンDを生成する意味はない?
健康によさそうな日光浴も、意味がないのだという。
「欧米、特に北欧の人が日光浴をするシーンをテレビなどでよく見かけます。それはビタミンDを作るための習慣です。日本人はビタミンDの90%を魚から摂取してきました。現在でも、ほとんどの日本人がビタミンDを充分に摂取できています」(奥田先生)
では、欧米の人も魚をたくさん摂取すればよいかというと、それも”体質”によって難しいようだ。
「食品からビタミンDを吸収する力は人種によって違うと考えられており、欧米人は魚を食べても、ビタミンDを充分に吸収できない可能性がある。北欧もサーモンなどの産地で多食しますが、それでは必要量を摂り入れることができないため、日光浴が必要なのです」(奥田先生)
持って生まれた体質を変えるのは難しい。それだけに、自分の体質を知りつくし、それを利用するくらいの気持ちでつきあうことが肝要だろう。
※女性セブン2019年1月1日号
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