
60代女性の5人に1人が骨粗しょう症有病者で、年齢とともに有病率は上がる。これは閉経後の女性ホルモンの減少に一因があるが、そもそも骨密度は、「夏バテで食欲が落ちる夏に低下する」という。骨がスカスカになって骨折すると、寝たきりから認知症になる可能性も。そこで、食欲がなくても食べやすく、丈夫な骨をつくるための栄養満点の「みそ汁レシピ」を紹介。飽きずに食べられるようさまざまなバリエーションでお届けする。
栄養不足が骨密度低下の一因に
「栄養不足も骨密度の低下に関係します。骨に必要なのはカルシウムだけではありません。土台となるのは、たんぱく質、鉄、ビタミンCからつくられるコラーゲン。これらの栄養素が不足すれば、骨密度は低下します。骨をつくり替えるのに必要な細胞があっても、材料となる栄養素がなければ、骨はつくれませんから、バランスよく栄養を摂る必要があります」(大友外科 整形外科・院長 大友通明さん・以下同)
過度なダイエットで骨に必要な栄養素が不足すると、年齢に関係なく骨密度が低下することからも、その大切さがわかる。
「食事を通して骨に必要な栄養素を積極的に取り入れれば、骨卒中の予防につながります。しかし、いまの時期は暑さで食欲が落ち、必要な栄養素を充分に摂りづらくなるため、骨密度が1年でいちばん低下します」
食べやすいからとそうめん(糖質)ばかり食べている人は特に要注意だと続ける。
「糖質もある程度は必要ですが、摂りすぎると老化を促進する糖化(※たんぱく質と反応して老化物質AGEs<終末糖化産物>を生成する現象)が起きて、骨を黄ばませ、質を低下させることがわかっています」
効率よく栄養が摂れるレシピを検討し、たどり着いたのが、みそ汁だという。
毎日の「強骨みそ汁」で骨密度をアップ
医師の大友通明さん監修のもと、薬膳料理家・大友育美さんが本誌のために「強骨みそ汁」のレシピを考えてくれた。今日から早速つくろう。
食材は国産、オメガ3系油、加工品NGで
「強骨みそ汁」は、コラーゲンの材料となるたんぱく質・鉄・ビタミンCと、カルシウムが入っていることが基本となる。
このほか、ミネラル、マグネシウム、ビタミンK、ビタミンD、ビタミンB群も入るとよりいいという。
「必要な栄養素が含まれる食材を使うのはもちろんですが、【1】国産食材を使う、【2】油はオメガ3系脂肪酸を多く含むものを主体にする、【3】添加物の入った加工品はなるべく使わない。この3つを考慮することも大切です」(栄養整形外科医・大友通明さん)
オメガ3系脂肪酸を含む油には、えごま油、亜麻仁油、チアシードオイル、魚油などがあるが、いずれも加熱すると栄養素が壊れるため、調理過程では使わず、飲む直前に少量かけるのがおすすめだという。
基本のだしの作り方
以下、好みのだしを使う。
《干ししいたけ・煮干し・昆布の水だし》
1Lの容器に煮干し6尾、2つに折った干ししいたけ2枚、昆布(5×10cm)1枚を入れ、一晩冷蔵庫に入れておく。
煮干しと干ししいたけは、そのままみそ汁の具とし、昆布も細切りにして具に加える(煮干しはできれば頭とワタもそのままで。干ししいたけの軸や石づきは硬ければ取り除く)。
《かつおだし》
鍋に水2カップ(2人分)、かつおぶし1パック(2g)を入れて火にかける。かつおぶしも具として食べる。
アドバイス
みそは大豆みそを。可能ならみそ専門店などの量り売りで買った方が、酵母菌の力が強いのでおすすめ。
「強骨みそ汁」レシピ15
暑い季節にうれしい冷製みそ汁など、飽きないレシピが満載! 食材はすべて国産・無添加のものを使う。
「赤い野菜とツナのみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にだし2カップ、乱切りした赤パプリカ1/4個、ミニトマト4個、国産・無添加のかつおのツナ缶1缶(70g・缶汁ごと)を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして5分煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせる。好みで大葉1枚をちぎって入れる。
「ほうれん草とチーズ&ナッツのみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にオリーブオイル小さじ1を中火で熱し、4cmに切ったほうれん草2株を入れて炒め、だし2カップを加えて煮立ったら弱火にする。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れ、ひと煮立ちさせたら、ピザ用チーズひとつかみを入れてふたをして火を止め、余熱で1分蒸らす。
【3】ミックスナッツ(無塩)を粗く刻んでふる。
「さつまいもとちくわのごまみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にだし2カップ、1cmの厚さの輪切りにしたさつまいも(小)1本を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にし、斜め切りにしたちくわ(小)2本を入れて5分煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせ、白すりごま大さじ2を入れる。
「わかめと牛肉のみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】カットわかめ大さじ1を水で戻す。
【2】鍋にオリーブオイル小さじ1を中火で熱して【1】、牛切り落とし肉50g、おろしにんにく少々を炒め、肉の色が変わったら水1と1/2カップを入れ、煮立ったら弱火にする。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れ、ひと煮立ちさせる。好みで白いりごまとねぎの小口切り各適量をちらす。
「じゃがいもとさば缶のみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋に水1と1/2カップ、国産のさばの水煮缶1缶(150g)、5mmの厚さに半月切りにしたじゃがいも2個を入れて煮立ったら、弱火にして5分ほど煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせる。食べる直前にえごま油小さじ2をかける。
「厚揚げ&ベーコンの豆乳みそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にだしと豆乳各1カップ、食べやすく切った厚揚げ1枚とチンゲンサイ1株、細切りにした国産の無添加ベーコン1枚を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして2分煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせる。
「ブロッコリーとひき肉のカレーみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にオリーブイル小さじ1を熱して豚ひき肉100gを炒めたら、おろしにんにく少々、カレー粉小さじ1を加えて炒める。
【2】小房にしたブロッコリー1/2株、水2カップを入れ、煮立ったら弱火にして2分煮る。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせる。
「あさりとまいたけのみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にほぐしたまいたけ1/2パック、砂抜きしたあさり150g、水2カップを加え、煮立ったら弱火にしてあさりの口があくまで煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2(あさりの塩加減で調節)を溶き入れ、ひと煮立ちさせる。小口切りにした小ねぎ適量、えごま油小さじ2をふる。
「キャベツとおとし卵のみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にだし2カップ、細切りにしたキャベツ2枚を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして2分煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れたら、卵2個を割り入れ、再度火をつけ、ふたをして弱火で3分煮る。好みでオリーブオイル適量をかける。
「切り干し大根と桜えびのみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】洗った切り干し大根20gは食べやすいサイズに切り、鍋に入れる。芽ひじき大さじ1、桜えび大さじ2、だし2カップを加えて火にかける。
【2】煮立ったら弱火にして5分煮る。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れ、ひと煮立ちさせる。※芽ひじきは茶こしでさっと水洗いしてもよい。
「豆とツナのミネストローネ風みそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】国産のミックスビーンズ1袋(水煮大豆でも)、玉ねぎ1/4個は1cmの角切りにし、小松菜1株は1cm幅に切る。
【2】鍋に国産トマトジュースとだし各1カップ、国産・無添加のかつおのツナ缶1缶(70g)と【1】を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして5分煮る。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れる。好みで粉チーズ適量をふる。
「きのこと納豆のみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】しいたけ2枚は薄切り、えのきたけ1/2パックは3等分に切ってほぐす。
【2】鍋に【1】、だし2カップを加えて煮立ったら弱火にして納豆1パックを入れる。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせ、小口切りの小ねぎとからし各適量を加える。
「長いもみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋に1cm幅の半月切りにした長いも100gを入れ、だし2カップを加えて火にかけ、煮立ったら弱火にして5分煮る。
【2】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れてひと煮立ちさせたら、青のり適量をふる。
「冷製ピリ辛豆乳みそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】ボウルに国産・無添加の豆乳と水各1カップ、かつおぶし2g、みそ大さじ1と1/2を混ぜ合わせてお椀に入れる。【2】食べるラー油小さじ4、豆腐150gをスプーンですくって各お椀に入れ、しらす20g、小口切りにした小ねぎ適量を加える。
「かぼちゃとひき肉のミルクみそ汁」のレシピ

《作り方》(2人分)
【1】鍋にオリーブオイル小さじ1を熱し、豚ひき肉80gを入れて炒める。
【2】2cm角に切ったかぼちゃ200g、水1カップを加え、煮立ったら弱火にして6分煮る。
【3】一度火を止め、みそ大さじ1と1/2を溶き入れ、牛乳1カップを入れて温め直し、小口切りにした小ねぎとこしょう各適量を加える。
◆教えてくれたのは:大友外科 整形外科・院長 大友通明さん
医学博士。整形外科に栄養療法を取り入れた「栄養整形医学」を実践。著書に『栄養整形外科医の一生折れない骨をつくる「強骨みそ汁」』(青春出版社)。
◆レシピ考案:薬膳料理家・大友育美さん
国際中医薬膳師、フードコーディネーター。身近な食材で作りやすく、体にやさしい料理提案が好評。著書に『七十二候の食薬レシピ』(学研プラス)など多数。
取材・文/土田由佳
※女性セブン2025年9月4日号