
これまで、たくさんの病を乗り越えてきた倍賞千恵子(84才)。60才で乳がんを発症、67才のときに脳動脈瘤の手術を受け、その4年後には背骨が神経を圧迫する脊柱管狭窄症が判明して背骨をボルトで固定した。だからこそ人一倍健康に気を使っていたというが、『婦人公論』(2025年11月号)のインタビューで倍賞は、《少し前に肺がんを患い、片肺を少し切除した》と告白している。
一方で、山田洋次監督の91作目となる新作映画『TOKYOタクシー』(11月21日公開)では、木村拓哉とともに主演を務め、年齢を感じさせないバイタリティーで現場を引っ張っていたという倍賞。その秘密はどこにあるのか──。【前後編の後編】
84才にしてスキップもできる
倍賞にとって、長年の習慣になっているのがスクワットだ。吉永小百合(80才)や黒柳徹子(92才)も日々スクワットに励んでいることを公言しており、森光子さん(享年92)や橋田壽賀子さん(享年95)といった長寿で知られた著名人も日課に取り入れていた。
「継続が何よりも大事と考える倍賞さんは、歯磨きをしながら毎日120回スクワットをしています。歯ブラシを手にすると反射的に膝の屈伸が始まると話していて、肺を切除したいまも欠かさず続けています」(芸能関係者)
平和病院横浜脊椎脊髄病センター長で、整形外科が専門の田村睦弘医師が言う。
「スクワットは日常生活を送るうえで大切な、足腰の筋肉を鍛えることができる運動です。ふくらはぎは“第二の心臓”と呼ばれ、筋肉の収縮と弛緩で血液を体内に送るポンプの役割も担っています。足腰が鍛えられるとこのポンプ機能が強化され、基礎代謝の向上や血液循環も改善されます」

エネルギー消費によるダイエット効果も期待でき、スタイルの維持にもつながる。筋肉がついて皮膚にハリが出ることで、アンチエイジング効果もあるという。
特別な器具は必要なく家の中でも簡単にできるスクワットだが、やり方次第では膝関節を痛めやすいという難点もある。
「膝を痛めないフォームを意識すれば心配ありません。まずは肩幅に足を開き、膝を曲げるときに背筋を伸ばしてお尻を後ろに引く。上体を少し前に倒しながら、膝がつま先より前に出ないように注意して、太ももが床と水平になるまで腰を落としてください。立ち上がる際も膝が前に出ないようにすることで、膝の負担を減らすことができます。また筋力的にスクワットが難しいようであれば、壁や机に手をついて同様の動作を繰り返す運動でも構いません。椅子に座って立ち上がる“椅子スクワット”でもトレーニングとしては充分です」(田村医師)
倍賞は2年前の骨折時、術後22日で退院して「驚異的な回復」と報じられた。肺がんの術後同様に、習慣化したスクワットが回復を後押しした可能性もあるだろう。
スクワットで手にした強い足腰で、84才にしてスキップもできる倍賞。彼女は現在、1993年に再婚した夫で作曲家の小六禮次郎氏(75才)と、北海道と横浜の2拠点生活を30年以上続けている。倍賞の知人が語る。
「横浜と北海道、ふたりはどちらの土地でも交友関係が広いんです。年齢を重ねると人づきあいが億劫になる人も多いけど、倍賞さん夫婦はその逆。どんどん交友関係を広げていて、行きつけの飲食店で熱かんを飲みながら大人数で語り合うこともあるんです。共演した役者さんとも積極的に交流するご夫婦で、藤竜也さんや小林幸子さんらと仲がいい。今度、木村拓哉さんと一緒にお寿司を食べるって話していましたよ」
スクワット効果は絶大だ。
※女性セブン2025年11月6日号

