健康・医療

アミノ酸スコア100 食品を紹介|必須アミノ酸の摂り方やおすすめの食事メニュー

「口内炎が治らない」「睡眠が浅くて疲れがたまる」「ダイエットしてるのにやせない~」「ひざが痛い~」ーーこんな症状があったら、アミノ酸不足が原因かもしれない。アミノ酸は肌や髪、爪などの美容にも、睡眠や疲労回復、免疫機能にも大きくかかわっているという。

肌や人間の体は、約20%がたんぱく質でできている。たんぱく質は筋肉や内臓などはもちろん、皮膚や髪の毛や爪まで形作っていて、このたんぱく質を構成するのがアミノ酸だ。

厚生労働省が策定した「日本人の食摂取基準」(2015年版)によると、1日3食あたり、男性60g、女性50gのたんぱく質摂取が勧められている。とはいえ、たんぱく質にはさまざまな種類があり、食材によって含まれるアミノ酸の構成比率も異なる。私たちの体に役立てるには、どんな食材を、どのように摂ればよいのだろうか――。

【目次】
特にたんぱく質が不足しがちなのが朝食
アミノ酸スコア100の食品
必須アミノ酸が不足している食品
ポイント1 摂る量は?毎食20gのたんぱく質を!
ポイント2 主食に不足しがちなリジンは、納豆、豆腐など大豆製品で補う
ポイント3 野菜などもとって栄養素をバランスよく

特にたんぱく質が不足しがちなのが朝食

女性が朝食を食べているところ。卵焼きを手に笑顔
写真/ゲッティイメージズ
写真6枚

「国民健康・栄養調査」(厚生労働省2015年11月実施)によると、男女とも、食品中に含まれるたんぱく質の摂取量は、摂取基準を満たしている。

『味の素』のアミノサイエンス統括部・小林久峰さんが語る。

「数字だけを見ると、充分足りているように思われますが、これはあくまで平均量。詳しく調べていくと、約17%の女性のたんぱく質が不足しているというデータもあります」

しかも、これらのデータはすべて1日トータルでの摂取量。朝昼夕の3食ごとの摂取量を比較すると、朝<昼<夕の順に多くなり、夕食に偏っていることがわかる。

「1日の合計で摂取量が足りていても、その配分が不均等だと、筋肉量の低下につながるという報告もある。できる限り3食均等にたんぱく質を摂ることが、サルコペニア予防には重要です」(立命館大学スポーツ健康科学部教授・藤田聡さん)

※サルコペニア=ロコモ(骨や関節、筋肉などの運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」などの機能が低下している状態)の中で、特に骨格筋の筋肉量が減少して要介護につながっていく状態

特にたんぱく質が不足しがちなのが朝食だと、管理栄養士の大石みどりさんは言う。

「忙しい朝のメニューを根本的に変えるのは難しいもの。いつもの朝食に、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、卵料理を1品加えるだけでOKです。食品中のたんぱく質を構成する必須アミノ酸の含有比率を100点満点で評価したものをアミノ酸スコアといい、100に近いほどアミノ酸がバランスよく含まれています。必須アミノ酸が不足している食品も、肉や魚、卵、乳製品など、アミノ酸スコア100の食品と併せて摂れば、たんぱく質の摂取量と質が高まります」(大石さん・以下同)

アミノ酸スコア100の食品

・豚肉
・卵
・牛肉
・鮭
・鶏肉
・いわし
・ヨーグルト
・牛乳

タンパク質を多く含む食品が並んでいる
写真/アフロ
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必須アミノ酸が不足している食品

●リジン不足
・米
・小麦粉

●ロイシン不足
・じゃがいも
・しいたけ

●トリプトファン不足
・キャベツ
・きゅうり

ポイント1 摂る量は?毎食20gのたんぱく質を!

サルコペニアに注目した海外の研究データによると、1日に体重1kgあたり1~1.2gの良質なたんぱく質が必要とされ、これを毎食に換算すると20~25gとなる。

「たんぱく質20gというと、肉や魚を20g摂ればよいと勘違いをする人がいますが、肉や魚に含まれるたんぱく質量は20%前後。赤身の肉や魚なら約100gが必要です。ふだん、食べている食品のたんぱく質含有量がわかれば、献立作りの助けになります」

毎食20gが目標だが、食べきれない場合は、牛乳やチーズなどを間食にして補おう。

●食材に含まれるたんぱく質量

牛肩ロースが皿にのっている
(写真/ゲッティイメージズ)
写真6枚

・牛肩ロース薄切り肉2枚(100g)
13.8g

・鮭1切れ(80g)
17.9g

・まぐろ刺し身5~6切れ(100g)
24.2g

・卵1個(55g)
6.5g

・ヨーグルト(100g)
3.6g

・鶏胸肉2/5枚(100g)
19.5g

・納豆1パック(40g)
6.6g

・木綿豆腐1/2丁(150g)
9.9g

上記は、1人の1食あたりでよく使われる食品のたんぱく質量を示したもの。魚類、肉類、乳製品、卵、大豆製品などのカテゴリーからそれぞれ選び、組み合わせながら合計20gを目指すとよい。

ポイント2 主食に不足しがちなリジンは、納豆、豆腐など大豆製品で補う

一般的に動物性たんぱく質のアミノ酸スコアはほぼ100。だが、米のアミノ酸スコアは65でリジンが少なく、メチオニンが多めに含まれている。

「大豆に含まれるアミノ酸はリジンが多くてメチオニンが少ないため、組み合わせとしては最高。納豆や豆腐などをプラスするだけで、アミノ酸スコアを100に近づけられます。これに、鮭などの動物性たんぱく質を加えれば◎。洋食の場合、パンの原料の小麦粉もリジンが少なく、アミノ酸スコアも44とさらに低い。これをライ麦パンに替え、動物性たんぱく質で補えば、バランスがよくなります」

●アミノ酸効率の高い朝食例

【1】和朝食 ご飯のリジン不足を納豆で補う。おひたしにはかつおぶしでたんぱく質をプラス。ほかに豆腐のみそ汁、焼鮭。

和朝食がテーブルに並んでいる。ご飯、味噌汁、納豆、焼鮭など
写真/ゲッティイメージズ
写真6枚

【2】洋朝食 食パンをライ麦パンにしてアミノ酸スコアを上げ、ハムエッグ、チーズ、牛乳でたんぱく質を補う。

ライ麦パンがカットボードにのっている
写真/アフロ
写真6枚

ポイント3 野菜などもとって栄養素をバランスよく

健康長寿のためにはたんぱく質を積極的に摂るべきだが、肉や魚には脂質も多い。これらだけを摂っていると、エネルギーは充分でも、ビタミンやミネラルなど他の栄養素が不足し、健康を害してしまう。

「さあ、にぎやかにいただく」は、『ロコモチャレンジ!推進協議会』が考案した合言葉で、多様な栄養素をいろいろな食材からまんべんなく摂れるよう、10の食品群の頭文字をとったもの。

「毎日、10の食材を摂ろうと心がければ、自然とバランスのよい食事になります。塩分控えめも心がけながら、献立を決めるといいですよ」

●食の偏りを防ぐ合言葉
さ=魚
あ=油
に=肉
ぎ=牛乳
や=野菜
か=海藻
い=いも
た=卵
だ=大豆
く=果物

魚や肉など10カテゴリーの食品がずらりと並んでいるイメージ写真
写真/ゲッティイメージズ
写真6枚

上の10品目のカテゴリーの食材を、1日にできるだけ1回は食べるように心がけ、少なくとも1週間のうちで2~3度は必ず食べるようにするとよい。

※女性セブン2019年1月31日号

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