あのマドンナも実践していたという米ニューヨーク発祥の“新感覚”エクササイズ、バレトン。かなり本格的なエクササイズなのかと思いきや、「動きは簡単なのに驚くほど汗をかく」と、幅広い年齢層にウケているという。「畳一枚のスペースでシューズも道具も不要」という手軽さもうれしい限り。ならば早速、Shall we dance?
準備するものは体と音楽だけ
「シンプルな動きのわりに大量の汗をかき、集中してやれば短期間で体の変化が実感できます。バレトンの研究にはハーバード大学も協力しているんですよ」
と語るのは、2007年からバレトンの普及に努めてきた井出由起さんだ。
バレトンは1902年にニューヨーク(NY)で誕生したエクササイズで、バレエの動きをフィットネスに取り入れたもの。フィットネス・バレエ・ヨガで得られる筋力、体幹、柔軟性を養いつつ関節やひざへの負担も少ないため、いまや20~80代まで、幅広い年齢層が実践している。複雑な動きはないとはいえ、バレエやヨガの動きも入っており、体が硬い人にはハードルが高そうだが…。
「そういう声が多いのですが、大丈夫、できます! バレトンは自在に強度を変えられるし、できる範囲でOK。動きはシンプルで繰り返すだけ。少しずつ、やればやるだけ関節の可動域が広がって確実に体が動かしやすくなり、基礎体力もつくので、疲れやすい人にもおすすめです」(井出さん・以下同)
バレトンをする際に大切なのは、裸足で行うことだ。
「必ず裸足で行いましょう。足は体を動かす土台となる重要な場所です。バレトンでは、足を重点的にほぐしていくため、日常生活にもメリットがあります」
バレトンとは?こんなエクササイズです
バレトンというのは、バレエ(Ballet)+トーン(Tone=体を整える)の造語。NYの元バレエダンサーが開発した“フィットネス”“バレエ”“ヨガ”の3パートからなるエクササイズだ。全国のフィットネスクラブのスタジオプログラムや専門の教室でも体験できる。
【1】フィットネス・パート
有酸素運動により大きい筋肉を刺激できる。3つのパートの中でいちばん負荷のかかるエクササイズ。
「ここを頑張ることで脂肪が燃焼しやすい体となり、シェイプアップ効果につながります」
【2】バレエ・パート
バレエのポーズを取り入れ、日常では意識しない小さな筋肉(インナーマッスル)を使って体幹を鍛えるエクササイズ。
「骨盤まわりの筋肉を使う基本姿勢がきちんとできていれば、ほかの動きが多少できなくても大丈夫! 続けていけば、股関節まわりの可動域も広がります」
【3】ヨガ・パート
通常のヨガとは違い、ポーズを重視せず、心をリラックスさせるためのクールダウン的エクササイズ。
「ゆったりと呼吸しながら全身をストレッチし、疲れた筋肉をほぐしていきます。続けることで体の柔軟性が高まり、腰痛なども緩和されます」
◆バレトンの動きにはBGMが必須です
バレトンは、音楽でテンポを取りながら動くエクササイズ。速さは「BPM128(1分間に128拍)」と決まっていて、一定のリズムが続くテクノサウンドが代表的。たとえばPerfume(パフューム)の楽曲や、往年のユーロビートなどにこのテンポのものが多い。スピードの速さに最初はたじろぐかもしれないが、すぐに気持ちよさに変わる。ぜひお気に入りの音楽を用意して、ダンス!ダンス!ダンス!
さて、本格的なエクササイズの前に、ここでは大事なウオーミングアップと、間違えやすいから覚えておきたい基本の動きを解説するのでぜひマスターを!
ウォーミングアップ:動ける体の源、“足裏3点バランス”作り
バレトンのベースとなるのが足裏の3点バランス。「親指と小指のつけ根、かかと」の3点に均等に体重がのっているのが理想。【1】~【2】を両足一緒に各10回繰り返す。【3】ができなければ【1】と【2】を繰り返し行おう!
【1】親指上げ
足裏を床につけ、4本の指は床につけたまま親指だけを持ち上げる。
【2】4本指上げ
足裏と親指は床につけた状態で、4本の指を持ち上げる。かかとが浮かないよう注意。
【3】小指から1本ずつ地面に下ろす
足指をすべて上げ、小指から1本ずつ床に下ろしていく。
「これができたら3点バランスはかなり整っています」
さらに…立ったまま(きつければ椅子に座ってもOK)足首を前後に曲げ反らし(写真上)と、左右の足を交互につま先立ち(写真下)を各10回行う。
◆足裏はバレトンのキモです
エアロビクスやランニングなど、多くのスポーツは靴を履いて行うが、
「靴を履いていると、運動中、足指はあまり動かない。足裏のバランスが悪ければ、足から上をどんなに鍛えていても転びやすく、疲れやすい。このウオーミングアップだけでも、最初は足がつりそうになったりして大変かもしれませんが、ここをきちんと動かすことができれば、全身のバランスも改善します」
エクササイズの前に:覚えておきたい基本の動き
まっすぐ立って足を曲げる。正面から見たら同じ動きに見えるフィットネスとバレエの基本姿勢。しかし、実は動かしている部位が違う。
「フィットネスからバレエに移行する時の確認作業として、この動きを行います」
<バレエ・パートの動き>
【ニーベンド】
バレエの動きのもととなるニーベンド。ひざを屈伸するだけなのだが、スクワットとは異なり、上半身は前傾しない。注意しよう。
手を太もものつけ根に置き、足を閉じてまっすぐに立った姿勢のまま、ひざだけを軽く曲げ、もとの位置に戻す。
「姿勢を維持し、ひざをリズミカルに屈伸させます」
■ターンアウト
基本の立ち姿勢。股関節を無理のない範囲で外旋(外向きにひねる)させ、両足の内側を密着させて立つ。
「お腹を引き上げ、骨盤の内側の筋肉を意識しましょう」
■応用・プリエ
バレエの基本姿勢の1つで、ターンアウトの状態からニーベンドをするもの。
「ひざとつま先を同じ方向に向ける。ひざだけ内側に入ってしまうと、ひざを痛める原因に!」
<フィットネス・パートの動き>
【スクワット】
力を入れる場所は腰から太ももまわりだが、正しく動かさないと筋肉が鍛えられず、腰痛のもとにもなる。
【1】手を太もものつけ根に置き、足を閉じてまっすぐに立つ。
【2】股関節からお尻を引くイメージでひざを曲げ、前傾する。
「上半身だけで前傾しないように注意して行いましょう!」
ひざは曲げすぎても、曲がらなすぎてもダメ。つま先と同じ位置で固定し、お尻を引く。
「お尻と太ももの裏側が伸びていることを感じられれば正しい姿勢です」
教えてくれたのは…:バレトンマスタートレーナー・井出由起さん
一般向けはもちろん、高齢者向けチェア(椅子)バレトン指導や産後ママのための教室を主宰するなど、幅広い年齢層に向けた普及活動を展開。著書は『[DVDbook]即効! 7日間でくびれ復活バレトン・ダイエット』(大和書房)など。
撮影/菅原 拓
※女性セブン2020年3月5日号
●バレエエクサでしなやかな女性らしい体に!「LES Mills Barre」を【体験レポ】
●ピラティスやバレエにぴったりのウェアは?エキスパートの【ジムバッグを拝見!】
●LA発「POP Pilates(ポップピラティス)」なら二の腕・背中・脚痩せを同時に目指せる!【体験レポ】
●お腹周りのダイエット|ピラティスを応用した簡単腹筋2つ紹介
●ピラティスの効果は?ヒップ、お腹、脚などを刺激するマシンピラティスに挑戦!【体験レポ】