女性はとにかく便秘に悩む人が多いと言われている。『医者の新常識 病気にならない最高の食べ方』(さくら舎)の著者で、工藤内科の副院長をしている医師の工藤孝文さんも、「患者さんを診ていると、便秘に悩むのは圧倒的に女性です」と話す。その工藤さんが、便秘になる原因と対処法を教えてくれた。
女性は便秘になりやすい
その理由は、女性ならではの体の構造にある。
「もともと女性は男性に比べて腹筋が弱いため大腸の動きが弱く、便秘になりやすいんです。さらに月経前になると、便を硬くしてしまう黄体ホルモンという女性ホルモンが多く分泌されてしまうのも原因の1つです」(工藤さん・以下「」同)
また、女性に限らないが、ダイエットやストレスも便秘を招くと言われている。
「ダイエット中であまりごはんを食べない人は、便通に必要な食物繊維や水分の摂取量まで減ってしまいます。ダイエット中でストレスを抱えている人はより危険です。脳と腸は相互に影響していると言われているため、不安や心配ごと、イライラを溜め込むと腸の動きが悪くなり、便秘を招いてしまうのです」
こうした原因がいくつも当てはまっている人は、ぜひこれから紹介する便秘解消法を参考にしてほしい。
便秘解消の特効薬は食物繊維
便秘の解消法には服薬治療や運動などいくつか方法があるが、工藤さんはまず、食事を見直すことを提案する。では、どんな栄養素を摂るといいのか。
「一番のおすすめは、果物、野菜、海藻類など食物繊維を多く含んだ食材です。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。一番いいのは両方を摂ることですが、便が硬くてなかなか出ないかたは便を柔らかくする水溶性食物繊維を、お腹の張りや残便感、ダイエット中などで食事制限をしているかたは、便のカサを増やして腸を刺激する不溶性食物繊維をより多めに摂るといいでしょう」
水溶性食物繊維は、りんごやみかん、トマト、キャベツなどの水分を含んだ果物や野菜に多く含まれている。こんぶやわかめなどの海藻類にも豊富だ。一方、不溶性食物繊維は、まいたけやしいたけなどのきのこ類、おからなどに多い。
「大切なのは、どちらかの食物繊維に偏らず、両方をバランスよく摂ることです。不溶性食物繊維不足で便の量がなければ出るものも出ないですし、不溶性食物繊維は多くても水溶性食物繊維が足りなければ水分不足でスルッと出なくなります」
まだある!便秘解消に役立つ食べ物は?
他にも、便秘解消に役立つ食品は多い。1つは、ヨーグルトやみそ、ぬか漬けなどの発酵食品。
「乳酸菌の多い発酵食品は、腸内を弱酸性にして、便秘の原因になる悪玉菌の増殖を抑えて善玉菌を増やす働きがあります。どの発酵食品がいいか迷ったら、食物繊維も同時に摂れる野菜のぬか漬けを選ぶといいでしょう」
また、オリゴ糖を多く玉ねぎ、にんにく、アスパラガスなどの野菜、バナナ、はちみつもおすすめだという。オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境をよくしてくれるからだ。