健康・医療

マスクによる熱中症を予防するには?化粧水で“顔の水分補給”など対策を解説

6月にはいり、気温の高い日が続いている。環境省のホームページでは、「暑さ指数が28℃を超えると熱中症患者が著しく増加する」とある。新型コロナウイルス対策で、マスク着用が推奨されているが、この暑さの中で、マスクを着けることにより熱中症リスクが心配されている。

マスクをつけている女性
写真/ゲッティイメージズ
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赤須医院女性専門皮膚科クリニック院長で皮膚科医の赤須玲子さんは、「暑い日に外でマスクを着けっぱなしにすると当然、熱中症のリスクが上がります」と警鐘を鳴らす。そこで、熱中症リスクを下げるマスクの着け方や素材の選び方を指南してもらった。

暑い日のマスクで熱中症リスクが高まる理由

まず、顔面に流れる汗の役割から理解しよう。赤須さんが解説する。

「夏の暑い日、私たちの体は汗をかきます。そのままにすると、汗は自然と蒸発していきます。蒸発する過程で“気化熱”が発生し、体内の熱が奪われます。つまり、汗は上がった体温を“クールダウン”させて体温調節をする役割があるのです」(赤須さん・以下同)

マスクで顔を覆うと汗が蒸発しづらい

ところが、マスクを着けていると、その機能が遮断されるという。

「顔の半分程度をマスクで覆っていると、汗をかいてもマスクの中に汗がこもってしまいます。マスクの内側には風が当たらないので、汗が蒸発しづらいんです。すると体内の熱が奪われにくくなり、顔の下半分の温度は上昇する一方。そのままにしておくと、熱中症のリスクが上がるのです」

熱中症を防ぐにはマスクの着け方で工夫

マスク
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では、どうすれば熱中症を防げるか。答えはシンプル。顔の体温を下げることだ。

「室内では、1時間に1回はマスクを外して放熱し、できれば保冷剤で頬を冷却するとよいでしょう。頬を保冷剤で冷やすことで、頬とその周辺の体温が下がります。また、頸動脈がある首も保冷剤で冷やすとベター。太い血管を冷やせば体温はより下がりやすくなるからです」

冷感マスク、化粧水を活用してクールダウン

最近では、保冷剤を入れるポケットがついたマスクや、肌に触れたときに冷たく感じる「接触冷感」をうたったマスクが売られている。外出先では、こうしたマスクで口周りの体温を冷やすとよいだろう。ただし、それが手にはいらない場合は、次の方法もある。

「私がおすすめしているのは、“顔への水分補給”。20~30cc程度の化粧水を入れた小さな携帯用スプレーをカバンに入れて持ち歩き、1時間に1回、マスクを外して顔全体に5 ~6プッシュ噴射するのです。こうすることで皮膚の乾燥も防げますし、つけたときに顔や体の温度が下がり、冷却効果が得られます」

水には保湿成分がはいっていないので、保湿成分入りで、サラっとした化粧水を使うのがポイントだ。