健康・医療

食事は量ではなく質!隠れ栄養不足の質的栄養失調をチェック|不調を改善して太りにくい体に

太りやすい、毎日なんとなくだるい、やる気が出ない…その心や体の不調、実は質的栄養失調が原因かも。

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精神科医で医学博士の藤川徳美さんによると、たくさん食べる=栄養が満たされるという考え方は大きな間違いで、食べる量は十分なのに栄養不足になっている質的栄養失調の人は、あらゆる不調や病気の可能性が考えられるとのこと。

医師が教える! 不調を自分で治す実践レシピ (健康美活ブックス)

そこで、「藤川式メソッド」にのっとって考案されたレシピを多数掲載している藤川さんの著書『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』(世界文化社)から、必要な栄養を上手に摂って不調を改善して、太りにくい体になれる食事法を紹介!

心身ともに不調続き…その原因はコレ

糖質の過剰摂取に関する図解
『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』(世界文化社)より
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食事の量が足りているからといって、心身を健康に保つために必要な栄養素が不足していては、精神的にも身体的にも疲れが出やすいうえに、太りやすくなる質的栄養失調に陥ってしまう。

藤川さんによれば、質的栄養失調の原因は、糖質の摂りすぎ、たんぱく質不足、脂肪酸不足、ビタミン・ミネラル不足の4つが挙げられるそう。

つまり、質的栄養失調を改善するには、高たんぱく質で良質な脂質が摂れ、低糖質な食事に変えて、さらに不足しがちな鉄をプラスすれば、心と体が元気になりやすいということ!

質的栄養失調の特徴とは?

下記に該当する項目が多いほど、たんぱく質と鉄が不足して心も体も疲れやすくなっている恐れが! チェックリストで確認を。

□集中力が散漫になる
□イライラしやすい
□立ちくらみ、めまいがよく起こる
□偏頭痛がある
□耳鳴りがする
□氷や飴、爪など硬いものを噛みたくなる
□疲れやすい
□食が細い
□朝食は食べない
□朝起きるのが苦手
□冷え性
□髪の毛が抜けやすい
□肌にツヤがない
□アザができやすい
□爪がやわらかい、割れやすい
□爪を横から見た時にアーチ型の丸みがない

不調から脱する食事法!7つの藤川式メソッド

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不調から抜け出したいと思っても、やみくもに食事を変えただけではストレスが溜まるだけ。正しいやり方を知ってあせらず自然に生活に取り入れることができれば、心も体もハッピーに! 藤川先生の7つのメソッドで、不調から脱出しよう。

◆メソッド1:糖質を半分に、悪い脂質は断つ!

糖質を摂りすぎる食事は、ホルモンの材料となるたんぱく質や鉄を含む食べ物が不足しがちに。すると、栄養が足りない状態に。

さらに糖質は血糖値を急激に上昇させるので、インスリンを多量に分泌して、その結果、血糖値を乱高下させる。すると、たんぱく質やビタミン、ミネラルなど神経伝達物質を作るための材料が浪費されて、不足してしまう。これが精神不安を起こす原因になるそう。

なので、糖質を減らすためにご飯や麺、パンは半分にして、ジュースや甘いお菓子は摂取しないことを心がけて。ジャンクフードやマーガリン、サラダ油などは、体に悪い脂質(トランス脂肪酸など)や糖質が多く、細胞を壊して心身に悪影響を与えるため、避けるようにして。

◆メソッド2:たんぱく質は1日50~70g摂取

体を正常に機能させるには、食事で毎日50~70gのたんぱく質の摂取が必要! 体内で一度に処理できるたんぱく質は40gまでなので、1度の食事で大量に摂るのではなく、3食に分けること。

効率よくたんぱく質を摂るならば、赤身の牛肉200g+卵3つでたんぱく質50g。他にも、豚肉や鶏肉、カジキマグロなどを選ぶのがおすすめ。

◆メソッド3:たんぱく質&鉄が多い赤身の肉と魚を食べる

血液や神経伝達物質の材料となり、体の代謝や幸せを感じる物質の生成に不可欠なのが鉄。赤身の肉や赤い色の魚は、たんぱく質だけでなく鉄も豊富という、体にうれしい食材なので、積極的に摂るのが◎。肉は1日200g、魚は250gが目安。

さらに、噛んで食べて消化を促進すること、鉄の吸収を妨げるカフェインの過剰摂取には注意して。また、鉄はたんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収されやすくなるので、緑黄色野菜と一緒に食べるのが吉!

◆メソッド4:完全栄養食の卵は1日3~5個摂る

良質なたんぱく質の指標となる「プロテインスコア」が満点の卵は優秀な食材。コレステロールが多いイメージがあるけれど、近年の研究では積極的に食べてOKとされているので、1日3~5個食べるように心がけて。

注意すべきは、生卵の卵白が糖の代謝に必要な栄養素の吸収を妨げてしまうこと。ゆで卵や炒めものなど、必ず加熱して食べるように。

◆メソッド5:たんぱく質補給にはチーズ&ヨーグルト

乳製品は動物性たんぱく質が補給できる食材。中でもチーズやヨーグルトは製造過程で発酵しているので、消化や吸収がされやすい! ヨーグルトは糖質の摂りすぎを防ぐために無糖のものを、チーズは粉チーズやピザ用チーズを料理にちょい足しするのが◎。

同じ乳製品でも、牛乳はアレルギーの原因となるカゼインを含んでいたり、乳糖不耐症を起こすことがあるので避ける方がよい。牛乳の代わりにはアーモンドミルクやココナッツミルクを飲んでみて。

◆メソッド6:食事で不足するたんぱく質をプロテインでチャージ

1日50~60gの摂取がよいとされるたんぱく質。肉や魚が苦手だったり、食が細かったりする人は、プロテインで摂取して。たんぱく質不足から抜け出すことによって、糖質の過剰摂取をやめられたり、弱った胃が改善されたり、代謝を助けたりとうれしい効果がたくさん。

プロテインはスプーン3杯でたんぱく質量が20gほど。朝晩に飲めば1日あたり40gのたんぱく質を摂ることが可能! さまざまな種類があって迷いがちだけど、乳清のたんぱく質を主成分とする「ホエイ」がおすすめ。

◆メソッド7:糖質ダウンテクニックを身に着けよう

糖質を摂らない方がいいのはわかったけれど、一切断つというのも難しいもの。そこで、糖質は1日120gまでに抑えることを心がけてみよう。例えば、朝食に小さめのパン、昼食と夕食にご飯を軽く半膳までならOK。

玄米や雑穀、全粒粉などの茶色い穀物は、血糖値の上昇がゆるやかなので上手に取り入れてみて。逆に、メソッド1にもあるように、白米や食パン、うどん、中華麺、パスタなど白い穀物は、栄養素も低く糖質も高めなのでなるべく抑えるように。他にも白砂糖、日本酒やビール、糖質の多い根菜やいも類などの野菜、果糖の多いバナナなどの果物も控えめが◎。

さらに気をつけたいのが脂質と調味料。トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニング、紅花油や大豆油、サラダ油は細胞膜を弱くするので、このような脂質はNG。エネルギー発生量が多いバターなどの動物性の油と、素早くエネルギーに変換されるココナッツオイル、MCTオイルに変えてみよう。

調味料はケチャップ、ソース、みりん、めんつゆは糖質が多いので、味のバリエーションをつけるためにたまにごく少量使う程度に。天然塩、しょう油、みその基本調味料に、酢やスパイスでアクセントをつけて食材の味を引き立たせるようにするとよい。

メソッドを上手に生活に取り入れて

糖質制限は続けることで効果アリ。7つのメソッドを生活に取り入れて、過剰摂取からうまく抜け出すのがコツ! ストレスなく、自分のできることから改善してみよう。

教えてくれたのは:精神科医・藤川徳美さん

ふじかわ・とくみ。精神科医、医学博士。1984年広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院(現・広島大学病院)精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」を開院。気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、認知症などに対して栄養療法をはじめ多面的な治療法を採用し、成果を上げている。

【データ】
世界文化社『医師が教える!不調を自分で治す実践レシピ』

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