ダイエットと言えばまず、運動と食事改善が基本だけれど、それでも痩せられない場合は他の原因があるかも。
「あんしん漢方」の薬剤師・大野雅代さんに漢方薬とダイエットについて聞いてみたところ、漢方薬をダイエットに取り入れる人が最近増えてきているとか。でも、なぜ漢方薬をのむことがダイエットにつながるの?
そこで今回は「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬をピックアップして、その効能や、ダイエット中に上手に取り入れる方法について、大野さんに詳しく解説してもらった。
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五苓散(ごれいさん)はどんな漢方薬?
◆五苓散はこんな人におすすめ
五苓散は、下記のような体質の人におすすめの漢方薬です。
□ 下半身がむくむ
□ よく喉が乾いて水を飲むけれど、トイレの回数は少ない
□ 悪天候の前や生理前に、頭痛やめまいがする
このような症状があって、ダイエットに悩んでいるという人は「水太り」が原因の可能性があります。そういった場合には、利水(りすい)効果の高い「五苓散」が効果的。
「利水」とは漢方医学用語で、「利尿」とは少しニュアンスが異なります。利尿は「尿を出す」という意味ですが、利水は水分のバランスをとるという意味です。つまり、多すぎる水分だけを排出し、体内の水分バランスが整えば、それ以上水が出ていかないようにします。
漢方医学の言う「水(すい)」は、血液以外の汗、涙、尿、リンパ液などの体液のことです。そして、体の中の水(すい)の巡りが悪くなり水が滞っている状態を「痰湿(たんしつ)」と考えます。
五苓散は痰湿の症状があるかたの利尿を助けて、体の中に停滞している水分を外に出してくれる漢方薬です。
◆五苓散に効果を感じた人の事例
体が重く、足も冷えると困っていた20代女性の事例を紹介します。彼女は、半年で体重が10kgも増えてしまったけれど健康診断の結果に問題はなく、食事もこれまで通り、ただし運動しても体重が減らないと相談に来ました。
このかたはストレスと、多量に水分をとるクセがあったので、生活習慣を改善しつつ五苓散を服用してもらうことに。すると、服用直後から尿量が増えて、3か月ほどで元の体重に戻ったということです。体重増加は水の巡りが悪くなることによる、むくみが原因でした。
このように、原因不明の急な体重増加や、水分のとりすぎを自覚しているかたには五苓散が効くことがあります。
日本人は、海に四方を囲まれていて、湿気が多い気候なので、もともと「痰湿」になりやすいと言われています。また、常に何か飲んでいる習慣がある人は水太りになっている可能性もあります。そんなときは五苓散で体の中の余分な水分を出すことがダイエットの助けになるかもしれません。
◆五苓散に含まれる生薬
五苓散には5つの生薬が含まれています。
まず、利水効果で水分のバランスをとる生薬の「猪苓(ちょれい)」「沢瀉(たくしゃ)」と、体を温めて水分の巡りをよくして利水を助ける生薬の「桂皮(けいひ)」。そして、胃を助けて水分を調節する生薬「茯苓(ぶくりょう)」「白朮(びゃくじゅつ)」です。漢方医学の考えでは胃が弱ると、余計な水がたまりやすくなることから、胃を助けて水分を調節する生薬が含まれています。
上記のように水分を調節する働きがあるため、二日酔いの改善に使われることもあります。お酒をたくさん飲んで体がむくんでいるのに、おしっこはあまり出ないし、喉がやたらと乾く、というときがありますよね。そんなときに五苓散は、体にたまった水分を外に出すのを助け、むくみを改善してくれます。
また、五苓散は雨や台風などの悪天候時に出る頭痛にも効果的な場合があります。気圧変化によって崩れた、体内の水分バランスを整える効果があるためと考えられています。
漢方薬とはどんなものか知っていますか?
自然由来の生薬の組み合わせで作られ、西洋薬よりもはるかに長い歴史と経験に基づいた安全性がある漢方薬。漢方医学では、まず服用する人の「証(しょう)」を決めます。「証」とはその人の抱えている「症状」「体質」「顔色や舌の色などの見た目」で判断するものです。この「証」で治療法を決めるので、病名がわからなくても漢方薬を選ぶことができます。
「気」「血」「水」(き・けつ・すい)という単語を聞いたことがありますか? 「気」は生命活動のエネルギー。「血」は血液のこと、「水」は血液以外の体液を指します。漢方医学では、人体はこの3つの物質でできていると考えます。
気血水のバランスがよく、過不足なく充実していれば、心も体も健康に。漢方薬はこの考えに沿って、生薬を配合しています。例えば、痛みだけを抑えるような治療をするのではなく、痛みを抑える以外にも痛みの原因となる体の中の滞りをとったり、痛みによって気がたかぶっていれば抑えたり、というように、体も心もちょうどいい状態に導きます。
規則正しい生活、食事、運動をしていても、なかなか結果が出ないというときは、漢方薬も取り入れてみるといいかもしれません。運動量を増やしたりするのは大変ですが、漢方薬を始めるのは気軽にできるのではないでしょうか。
漢方薬を使用する上での注意点
漢方薬を服用する上で大切なのは、体質に合ったものを服用すること。体質に合わないものを服用すると、効果が出ないというだけでなく、副作用の心配もあります。漢方に詳しい、医師、薬剤師等に相談して漢方薬を選んでもらうのがおすすめです。
漢方薬は、漢方クリニックで処方してもらったり、漢方薬局やドラッグストアで購入したりするほか、最近ではオンラインで頼むことができるサービスもあります。クリニックや漢方薬局は敷居が高いという人は、AI(人工知能)と漢方のプロフェッショナルが合う漢方薬を見極め、自宅まで届けてくれる「オンライン個別相談・AI漢方」(http://kamposupport.com/anshin1.0/lp/)といった、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
五苓散で余分なむくみを撃退しよう
体内の水分バランスを整えてくれる漢方薬の五苓散。3つのポイントを覚えておくとよいでしょう。
・水太りタイプの人におすすめ
・体内の余分な水分を排出する
・二日酔いや悪天候時や生理前の頭痛にも◎
水太りのかたのダイエットのサポートにはもちろん、よくある体調不良にも効果的な漢方薬です。体質に合った漢方を取り入れて、心も体も健康になりましょう。
教えてくれた人:薬剤師・大野 雅代さん
おおの・まさよ。薬剤師・研修認定薬剤師。化粧品検定1級。大学卒業後、大手調剤薬局、ドラッグストア、町の調剤薬局に勤務。更年期症状に悩む患者、自分のホルモンバランスからくるイライラや体調不良をなんとかしたいと女性の健康について学び始める。学生から更年期まで、女性が仕事や好きなことに打ち込める手助けをするのが目標。
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