ペット・動物

飼い犬の55%が実は太っている!? 愛犬と一緒に行うダイエットのすすめ

「日本では飼い犬の55%が肥満」「太っている犬の飼い主の7割が愛犬の肥満に気づいていない」というデータがある。「犬」と「太」、点の位置が変わっただけで、大違いです。愛犬家のみなさん、コロナ太りの緊急対策としてワンちゃんと一緒にダイエットしてみませんか?

愛犬と運動することで、やる気や継続性の効果

コロナ禍でペットを飼う人が増えたが、犬が家族に加わると、生活に健康的なリズムが生まれる。ペットフードを扱う『ユーカヌバ』によると、愛犬家の1か月平均の散歩時間は17~18時間、月間歩行距離は56km以上に及ぶ。

「祖先であるオオカミの習性を引き継ぎ、狩猟や放牧での使役動物として働いてきたため、犬は日々の活動の一環として毎日散歩が欠かせない」

そう語るのは、動物病院『ONE for Animals』の認定動物看護師で理学療法士の石黑崇也さん。

犬が体重計に乗っている
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◆海外では犬とのエクササイズが市民権

また、獣医科大学講師かつ獣医師で、『ヘリックス』代表の徳本一義さんは、次のように語る。

「海外では、犬とのエクササイズ専用チャンネルが人気のほか、『人間と動物が一緒にやせるプログラム』(PPET/ペット・ピープル・エクササイズ・トゥギャザー)の研究も盛んで、主に犬と運動することが市民権を得ています。

減量というと悲壮感が漂いますが、『犬と一緒なら幸福感を感じる』とか『同じ目標に向かって進む際にも絆を感じてがんばれる』といった研究結果が、『人と動物の関係に関する国際学会』などで報告されています」

冒頭で紹介した調査でも、犬と一緒に運動することで飼い主の約9割がやる気、継続性、絆を実感。次に紹介するアンケート結果はその一例だ。

癒しを与えてくれるだけでなく、人が日々運動を続ける上でも、愛犬は心身両面で最高の相棒となりそうだ。

◆愛犬家は犬とどのくらい散歩してるの?

・1週間の回数 7.8回(男性:8.0回 女性:7.5回)
・1回の時間 32.1分(男性:33.6分 女性:30.5分)
・1回の距離 1.7km(男性:1.8km 女性:1.5km)

◆愛犬と一緒に運動することについて「犬と一緒なら継続しやすいですか?」

・とてもそう思う:32.9%
・そう思う:53.5%
・あまりそう思わない:12.1%
・まったくそう思わない:1.5%

※上記2つとも、『ユーカヌバ』が行った「飼い主と愛犬の“健康管理”に関する実態調査(2019年9月)」より。

→『ユーカヌバ』が行った調査結果の詳細はコチラ

飼い犬の肥満度を5つのタイプでチェック

日本の動物病院を受診した犬の調査では、その55%が肥満傾向との報告(2016年の安田英巳氏ら3氏による研究「Characteristics of obese or overweight dogs visiting private Japanese veterinary clinics」より)があるのに加え、最近では首都圏で飼われている小型犬に散歩ゼロのケースも増えているという。

「さらに、太っていると獣医師が診断した犬の飼い主の7割は、愛犬の肥満に気づいていないとのデータもあるんです」(徳本さん・以下同)

そんな犬の状態の判断目安となるのが、「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」で、主に獣医師が触診と視診で主観的に診断を行う。

「一般のかたと獣医師では見る目にズレがあります。飼い主がやせ気味と思っても、獣医師の診断ではBCS3の理想体形であることも多い。肥満が心配な場合は自己判断せず、獣医師に相談してください」

◆犬の肥満度判定基準・BCS(ボディ・コンディション・スコア)とは?

BCSは世界中で採用されており、日本では5段階で評価するのが主流。見た目の変化と触り心地で診断を行う。「うちのコは太ってるの?」と、気になる人は、ぜひチェックしてみて!

BCS1(やせ)
肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。触っても脂肪がわからない。腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。

BCS1(やせ)の犬のイラスト
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BCS2(やや、やせ)
肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれは顕著で、腹部の吊り上がりも明瞭。

BCS2(やや、やせ)の犬のイラスト
写真10枚

 

BCS3(理想的)
過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見ると、腹部の吊り上がりが見られる。

BCS3(理想的)の犬のイラスト
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BCS4(やや、肥満)
脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。上から見て腰のくびれはあるが、顕著ではない。腹部の吊り上がりがやや見られる。

BCS4(やや、肥満)の犬のイラスト
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BCS5(肥満)
厚い脂肪に覆われ肋骨が容易に触れない。腰のくびれはほとんど見られず、腹部は吊り上がりが見られず、垂れ下がっている場合もある。

BCS5(肥満)の犬のイラスト
写真10枚

愛犬が太り気味…そのときの対処法は?

とはいえ、BCSを参考にして太り気味と感じたら、食事とおやつの量や回数を見直したり、散歩の距離や時間を増やすことなどが、日々の愛犬の健康管理に役立つ。

「飼い主が愛犬を太らせてしまうのは“太っているとかわいい”と感じ、おやつを欲しがると与えすぎてしまうため。エネルギー摂取制限と寿命の関係では、自由給餌で肥満気味の犬よりも、25%制限給餌でスマートな犬の方が長生きするという報告があるので、気をつけたいですね」

また、猫は肉食性で餌を少量ずつ食べる性質があるが、犬は雑食性で目の前の食べ物を満腹になるまで食べてしまうのも大きな違いだ。

「だからこそ、市販のペットフードのパッケージ表示にある給与量を目安に、犬の状態に合わせて食事と運動のバランスを調整するのは、飼い主の責任でもあるのです」

ちなみに、おやつは1日のエネルギーベースの20%までならOKだが、与えたらその分、主食を2割減らすなどの調整が必要だ。

◆散歩で飼い主の体も心も健康的に

「うちの父は散歩なんて一切しない人でしたが、心臓病でバイパス手術後、試しに犬の散歩を任せたところ、初めはイヤイヤだったものの、1日2時間犬と散歩をするようになりました。犬を媒介に犬好きの人が声をかけてくれるので、社会とのつながりも生まれました。父の心臓は、犬に救われたところがありますね」

犬にも人にも好影響がある運動をすぐに実践しよう!

人気施設“ドッグプール”で健康的にやせる!

◆都内最大級プールでの水泳で、ウエスト5cm減!

都内最大級の犬用プールを通年利用できる人気の有料ドッグ施設『お台場ドッグリゾート』(東京・江東区青海)に、毎週日曜に通っているのが、柴犬のまめくん(オス・6才)。

→『お台場ドッグリゾート』について詳しくはコチラ

プール30分5000円、スタッフ補助1500円。30分の時間枠内で約20分トレーナーがローリングなど加えながら補助する
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「おやつを与えすぎたのが太らせたいちばんの原因。2020年にのどの手術を受け、ひざもぬけやすいので水泳を選びました」(飼い主)

初回51cmだったウエストが、4か月目には5cm減!成果は上々だ
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犬かきでスイスイ。犬自身も楽しんでいる様子に癒される!
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犬用プールは幅約2m、長さ約7m。「陸上よりひざへの負担が少なく、水の抵抗で負荷がかかるので、ドッグランで全力疾走するのに近い筋力を使います」(店長の伊東知美さん)

ドックプールで運動してスリムになった犬の様子
体重11.2kg、ウエスト46cm。ほ~ら、お腹もへこんだよ!
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取材・文/北 武司 イラスト/青木宣人

※女性セブン2021年1月28日号
https://josei7.com/

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