健康・医療

認知症予防にはくるみ? 記憶力や学習能力アップなどナッツに期待される効果

今、記憶力や学習能力アップ、そして認知症予防にナッツ類をとることが注目されています。

認知症予防にはくるみ?記憶力や学習能力アップなどナッツに期待される効果
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『ナッツをうまく食べれば100歳まで長生きできる!』(河出書房新社)の著書がある工藤内科院長で医師・工藤孝文さんによると、中でも、くるみ、ブラジルナッツ、ピーナッツがおすすめのとこと。その理由は? 工藤さんに詳しく聞いてみました。

脳を働かせるならブラジルナッツがおすすめ

まず、脳を健康に保つための栄養素は何か。基本から教えてもらいましょう。

「脳をよく働かせるには、エネルギー源となるブドウ糖、食品の栄養素で言えば炭水化物が必要です。“朝食をとらないと頭が働かない”と言われるゆえんですね。炭水化物は分解されてブドウ糖になりますが、この分解を助けるのがビタミンB群。

特に、ブドウ糖を効率よくエネルギーにするためにはビタミンB1が必要です。つまり、脳を働かせるために欠かせない栄養素はビタミンB1。それが多く含まれているのは、ブラジルナッツです」(工藤さん・以下同)

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◆ピーナッツには脳の細胞膜を構成するレシチンが豊富

一方、脳の中で記憶を司る海馬には、オメガ3系の不飽和脂肪酸が多く含まれています。αリノレン酸がその一部ですが、これはピーナッツやくるみにはいっています。さらに、脳の細胞膜を構成するレシチンという脂質成分はピーナッツに多く含まれています。

「レシチンは体内の情報伝達に欠かせない神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になりますが、アセチルコリンは記憶力や学習能力と関係が深いとされ、注目を集めています。このアセチルコリンの減少は、アルツハイマー病につながるといわれているのです。

また、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛などのミネラルも神経伝達物質を作るために必要です。こうした、脳をよく働かせるための栄養素と、記憶などに関連する栄養素が、くるみ、ブラジルナッツ、ピーナッツを中心とするナッツ類に含まれているのです」

認知症予防にくるみがいいのはなぜ?

その中でも、特にくるみが認知症予防として注目が集まっています。なぜでしょうか。

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◆くるみを毎日食べて認知機能向上

「くるみと認知機能に関する研究は各国で盛んに行われています。私が注目しているのは、2015年に発表された次の2つの研究成果。1つは、アメリカのエイラブ博士による研究で、ひとつかみのくるみをおやつ代わりに、あるいは食事の一部として毎日摂取することが認知機能の向上につながるという結果です。

もう1つは、アメリカの医師会雑誌に載った栄養学臨床試験の結果で、くるみを含むナッツ類を加えた地中海食をとることは、加齢に伴う認知機能障害への対策になる可能性があると、結論付けています。その理由としては、ナッツ類の高い抗酸化力、抗炎症作用による可能性が高いと考えられるということです。

また、ナッツ類の中でも、特にくるみには酸化を予防するポリフェノールが豊富で、オメガ3系脂肪酸のαリノレン酸が豊富なこともその背景に考えられます」