アウトドア人気の中、旅の選択肢に加えたいのが国立公園や国定公園など自然豊かなロケーションにある「休暇村」。全国37か所にあり(2021年3月現在)、食にも力を入れ、最近は驚くほどおしゃれな施設もあります。

今回は東京からもアクセスがよく、木の香りが漂い癒される、埼玉県飯能市にある「休暇村 奥武蔵」を、旅行ジャーナリストの村田和子が紹介します。
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北欧気分が味わえる!注目が集まる埼玉県飯能市
「休暇村 奥武蔵」がある埼玉県飯能市は、2018年にメッツァビレッジ、2019年にムーミンバレーパークがオープンし、ここ数年、“日本の北欧”として注目を集めているエリア。

◆おとぎ話の中に迷い込んだような雰囲気は大人も夢中に
ムーミンの作者トーベ・ヤンソンが監修した「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」もあり、おとぎ話の中に迷い込んだような雰囲気は、大人も夢中になります。遊びゴコロ満載で、のんびりとくつろげて入園は無料。かわいらしいカフェもあり、ぜひ訪れたい一押しスポットです。

自然と共存し、素朴でのんびりと時が流れるナチュラルなライフスタイルは、コロナ禍に一層魅力的に映ります。アウトドアの施設も多く、気軽に自然と親しみパワーをもらえる場所として、ますます注目が高まりそう。
西川材をテーマにリノベーションし、2013年春に開業
「休暇村 奥武蔵」は、もとは埼玉県の施設だった場所をリノベーションし、2013年春に開業。

その際に注目したのが「西川材(にしかわざい)」。飯能一帯はスギやヒノキが多く林業が盛んな土地で、江戸時代から良質な木材だと珍重されたといいます。江戸からみて西の川から送られてくる木材ということから、西川材と呼ばれたとか。館内の至る所で木のぬくもりに出会い、触れることができます。


新館「にしかわ館」は、階ごとにテーマが異なる
今回滞在したのは休暇村開業後、2018年に増築された「にしかわ館」。4階建ての建物は、それぞれの階ごとにテーマにそって内装が施されています。
1階は「遊」がテーマで、和モダンのベッドルームと広いアウトドアリビングが特徴。客室数も少ないことから人気で、週末などは早々に満室になります。


◆贅沢なつくりに圧倒されます
「にしかわ館」の2階は雅、3階は森、4階は宙(そら)をテーマにデザインが施され、どれもとってもオシャレ。ホームページを見ていると「どの客室にしよう?」と迷いますが、実は指定はできず、どこになるかは当日までのお楽しみ!
私は3階の森がテーマの客室へ通されました。客室へ一歩入った瞬間から廊下や扉、室内の小物まで西川材をふんだんに使った贅沢なつくりに圧倒されます。


天井まで続く壁一面の大きな窓からは、里々の姿が見えて、部屋にいながら外とつながるような感覚に。室内の家具は、西川材と天童木工とのコラボというから贅沢! 調度品もひとつひとつこだわりがあり、公共の宿のイメージが変わります。


大浴場「もりとそらの湯」で、森の中でのんびり
大浴場は、温泉でこそありませんが、お水がよいのでしょう。入るとお肌がしっとりと潤います。

露天風呂は木々に囲まれているなど、ここでも木を身近に感じくつろげげます。コロナ禍では、大浴場は静かに楽しむのがマナー。

夜は星空を見ながら、朝は鳥のさえずりを聞きながらストレッチ。森の香りもほのかに感じ、最高に気持ちいい!
旬や地元産にこだわったビュッフェは、これを目的に来る価値あり!
ビュッフェレストランにも木々がふんだんに使われ、落ち着いた雰囲気。料理の品数も多く、彩りよくディスプレイされたビュッフェボードを前に気持ちもワクワク。

また、前菜は小鉢にあらかじめ盛りつけられ、料理をとるために使いきりの匙(さじ)がおいてあったりと、コロナの感染対策にも余念がありません。
今回は平日限定のプレミアムビュッフェを頂きましたが、その豪華さにびっくり!

地元の食材を多く使った通常メニューに加えて、ずわい蟹の炭火焼き、和牛のローストビーフ、大粒カキフライ、大トロなどのお寿司、いちごやいとごのデザートなど、食べたいものが多すぎて、お腹の具合との折り合いに困るほど。

野菜や米などは、地元・埼玉にこだわっているのもうれしいポイント。旬のいちごがおいしすぎて、夫が横で見ていてあきれるほど、たくさん頂きました。


◆ステージキッチンビュッフェもスタート
休暇村では「食」に力を入れていて、「休暇村 奥武蔵」も4月からは、ステージキッチンビュッフェを開始。今回のプレミアムビュッフェ相当が毎日提供されるようになります。特徴は、目の前ででき立てを提供する品数を多くし、小鉢なども盛りつけをより美しく、目でも楽しめるようになるそう。


駐車場には、県内、しかも近隣ナンバーの車が多くあったのですが、近くからでも「ご飯を食べて、お風呂に入って、のんびりしに来る」理由がわかります。ビュッフェには少々うるさい夫も大満足で、「今度いつ来る?」と食後にスケジュールを確認するほど。4月以降の新しいビュッフェもきっと期待を裏切らない内容になるはずです。
お楽しみはまだまだ!夜の星空観察や朝の散策やホタルも
夜には無料の星空観察が屋上で開催されます。小さなお子さんから、ご年配のかたまで、ガイドスタッフの説明に耳を傾けて、遥か宇宙へ思いを馳せるひととき。余計なことを考えず気持ちがすっきりします。

当日は雲が多く、雲の隙間を縫うように星がちらほら見える感じでしたが、晴れていれば、それは素晴らしい満天の星が広がるといいます。こちらは次回リベンジすることに。
◆散策アクティビティでリフレッシュ
朝には、スタッフが30分ほどガイドをしてくれる散策アクティビティも実施。(※無料・冬季はお休み)。澄んだ空気の中でお日さまの光を浴びて体を動かせば、自然と心身のリズムも整います。こういった自然を気軽に体験できるアクティビティがあるのも、休暇村ならではでしょう。

芝生広場で空を見上げる。ログハウスはペットOKの棟も
近くの川では、6月にはホタル観賞ができ、夏には川遊びもOK。敷地内には芝生広場もあって、子どもたちが元気に駆け回る姿に、息子の小さな時を思い出し、目を細めます。

また、本館とは別に3つのログハウスがあり、3世代など大人数での滞在に便利です。一棟はペットと一緒に泊まれるとあって、人気だとか。


ここでは本当に時間がゆっくりと過ぎてゆきます。今回訪れたのは、まだ肌寒い2月。春になれば、花芽も大きくなり、緑も濃くなり、より自然のパワーを感じるはず。四季折々の自然や食を楽しみに、でかけてみてはいかが?
周辺の観光には車の利用が便利ですが、休暇村へは最寄駅から送迎もあるので、ふらっと電車で訪れてみるのもおすすめです。

【DATA】
■「休暇村 奥武蔵」
住所:〒357-0216 埼玉県飯能市吾野72
アクセス: 西武秩父線吾野駅から送迎バスで5分
料金:ステージキッチンビュッフェプラン2名1室ひとり/1万4500円(税込)~ ※にしかわ館を利用の場合はひとり1万6500円(税込)~
https://www.qkamura.or.jp/musashi/
■「ムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ」
https://metsa-hanno.com/
■「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」
https://www.city.hanno.lg.jp/akebono
教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表。(https://www.travel-k.com/)旅ブログも行っている。(http://www.murata-kazuko.com/)
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