富士山が望める広場や湖畔でゆっくりと
人混みが苦手な古堅さんは、自然に触れてリフレッシュしていると言います。
「海を見たり山でお弁当を食べたり、都会の喧騒から離れた静かな空間で癒されます。お気に入りの場所は河口湖周辺で、子供が小さいころは毎年行っていた場所です。壮大な富士山が望める広場や湖畔で、芝生でぼうっとしたり食事をしたりして、夫婦の贅沢な時間を過ごしています」
本来、古堅さんはせっかちな効率主義。車は燃費のいいオートマで充分だと考えていますが、ご主人の愛車は手のかかるマニュアルです。
「価値観が違う者同士で暮らすのが家族ですよね。夫は車を改造したり、楽器を弾くのが大好きで、無駄な時間を使っているなと思っていたこともありました。だけど、この年代になって、そういった趣味に時間を使える夫は素敵だと思えるようになったんです。
充実した時間を作れる人は素晴らしい、私も見習わなければって。多趣味な夫と一緒になれてよかったと思います」
そうして自分とは違う価値観に触れているうちに、クライアントのモノの多い部屋も受け入れるように。片付かない部屋の持ち主は、概ね多趣味だそう。
人生の後半戦に向けて好きなことをやる意味
人生の後半戦に向けて、自分の好きなこと、やりたいことを見つけることは、生きていくうえで意味があると古堅さんは力説します。
「それまでは子供の成長を見守ることが生きがいだったけれど、それが終わったとき、働くだけでは人生を頑張れません。夫が入院した時は私は地方講演に出ていて、家には子供たちだけだったのですが、とても気丈でした。
うちの子たちは自分で生きていけると確信した時、あとは夫婦でいたわり合いながら生きていこうと考えました」
ひとりの趣味もいいけれど共有できるのも素敵
「夫婦も20年以上暮らしていると、一緒に出掛けずに別々に過ごす人もいると思います。ひとりの趣味もいいけれど、夫婦で趣味を共有できるのは素敵だと思っていて、それが私にとってドライブでした。夫との老後が楽しみです」
◆この人に聞きました:幸せ住空間セラピスト・古堅純子さん
1970年12月21日生まれ。神奈川県出身。1998年に家事代行サービス会社に入社後、整理収納・掃除を通して古堅式「幸せ住空間メソッド」を確立して独立。5000軒以上のお宅を幸せ住空間にした、予約のとれない片づけのプロ。著書累計60万部を記録。YouTubeチャンネル『週末ビフォーアフター』(https://www.youtube.com/channel/UC2n1IMilrQjKlokyBop1Tyw)でも快適な住空間を構築するノウハウを伝授している。著書に『シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新聞出版)など。
取材・文/小山内麗香
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