健康・医療

なかなか人に相談しづらい「更年期の性」の疑問に婦人科医が回答

若い頃とは身も心も変わってくる更年期。性に関する疑問や悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?

頭にハテナを浮かべた女性のイラスト
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婦人科医で成城松村クリニック院長の松村圭子さんに、なかなか人に相談しづらい更年期の性について教えてもらいました。

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生理がなくても妊娠する?

◆排卵があれば妊娠の可能性あり

毎月規則正しく生理がきていた人も、更年期になると不順になりがちです。何か月も生理がないと、なんとなく「もう妊娠しないのでは?」と思うかもしれません。でも、妊娠を望んでいないのであれば自己判断で決めつけて避妊をしないのは危険。

生理の間隔が長くなっても排卵がある限り、妊娠する可能性はあるのです。実際、50歳を過ぎても妊娠する人はいらっしゃいます。

◆閉経後は避妊しなくてOK

とはいえ、更年期になると妊娠する確率そのものは低くなります。さらに閉経すれば、子供ができる可能性もゼロになります。

子宮と白衣の女性のイラスト
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ここで少し、閉経について復習しておきましょう。閉経は、1年以上生理がこない状態をいいます。もしあなたが51歳1か月で、50歳1か月のときから生理が一度もこなければ、あなたは50歳で閉経したということです。

このように完全に閉経したあとは排卵も起こることはなく、妊娠することがないので避妊の必要はなくなります。

→閉経について詳しく知る

更年期に性欲が高まる人、減る人

◆女性ホルモンの減少が性欲増減の原因

心身ともに不調になりがちな更年期は、「セックスどころではない」と思う人も少なくありません。ところが、中には以前より性欲が高まる人もいます。実はどちらのケースも、女性ホルモンの減少が主な原因です。

◆男性ホルモンの割合増加で性欲アップ

女性の体内でも男性ホルモンが分泌されています。分泌量は、男性のおよそ5〜10%ほど。更年期に女性ホルモンが激減すると、相対的に男性ホルモンの作用が強くなります。男性ホルモンは性欲を増大させるので、若い頃よりセックスに貪欲になることがあるのです。

ベッド脇で頭を抱える女性
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一方で女性ホルモンが減って性器が乾きやすくなったり、膣が萎縮したりして性交痛が起こったりすると、セックスが楽しめなくなることから性欲もダウンしがちに。更年期の体調トラブルや、心の落ち込みでセックスレスになる人もいます。

セックスはいくつまでできる?

◆健康なら死ぬまで可能

個人差はありますが、本人が望んで体力的に問題なければ、いくつになってもセックスできます。パートナー次第で70代になってもセックスを楽しんでいる人はいますよ。

◆更年期後の性は自由

「そんな年までしたくない」と思うなら、もちろん無理をすることはありません。更年期以降の性は、そもそも必要不可欠なものではないのです。死ぬまで性を楽しむのも、パートナーと納得の上でのセックスレスでも、本人たちが幸せならそれが一番よい形といえるでしょう。