柔軟剤を使わないと、フワフワとしたタオルを保つことはできない、と思っていませんか?
クリーニング店「LIVRER YOKOHAMA」を経営するかたわら、劇団四季やシルク・ドゥ・ソレイユなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う洗濯のプロ集団・洗濯ブラザーズの茂木貴史さんに話を聞くと、実はタオルに柔軟剤を使うのはNGなのだそう! それでは、買ったばかりのようなふんわりとしたタオルを保つ秘訣はあるのでしょうか。詳しく話をうかがいました。
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タオルに柔軟剤を使うのがNGの理由
衣類をふんわりと仕上げてくれるイメージのある柔軟剤。相性がよいと思われがちなタオルですが、実は不向きなんです。
柔軟剤で吸水性がダウン
柔軟剤は油の膜で繊維をコーティングして、肌触りをよくしています。そのために、洗濯物に油の成分が残り、水を弾いてしまって吸水性が下がってしまうんです。そうするとタオルで体や手、汗を拭くときに意味がなくなってしまいますよね。
吸水性の高さで有名な今治タオルなどが「できるだけ柔軟剤のご使用を避けることをおすすめします」と表示しているほどです。タオルを洗濯するときは、洗剤だけで洗いましょう。
柔軟剤でタオルがゴワゴワに
柔軟剤はすすぎ性能が悪い洗剤で、2~3回すすがないと洗い流せないものもあります。水の量が足りなかったり、逆に柔軟剤を入れすぎてしまったりして十分にすすげていないと、柔軟剤の成分が過剰にタオルに残ってしまうことがあります。すると、乾燥したときに生地が固くなってしまうんです。
だから、毎回柔軟剤を使ってタオルを洗っている人は、そのせいでタオルがゴワゴワになっている可能性があります。
タオルをフワフワにする正しい洗濯の方法
それでは、柔軟剤ナシで、タオルをフワフワにすることはできるの?と思われるかもしれません。洗い方と乾かし方のちょっとしたコツで、簡単にタオルをフワフワに保てるんですよ。実際に私が家庭でやっている方法をお伝えします。
たったひと手間できちんと洗える
タオルは水分を吸いやすい生地なので、洗濯機に一度にたくさん入れると洗濯槽の中で水を吸ってしまいます。そのために、一度溜めた洗濯機の水の量が減ってしまって、洗いもすすぎも十分な量の水を使えていないことが多いんです。
洗濯機は、必要な水の量を自動で計測しているのですが、それは洗濯物の体積ではなく、重さで決めています。だから、乾いたタオルがたくさん入っていると、かさはあるけれど重さがないので水の量が少なく設定され、きちんと洗えていないことがあります。
それを防ぐために、タオルを濡らしてから洗濯機に入れるといいですよ。すると重さが出て、十分な水量が注入されるので、しっかりと汚れを落とすことができます。液体洗剤だけを使い、このあと紹介する乾かし方を実践すれば、柔軟剤なしでもふんわり仕上げることができます。
乾かし方もマスターすればタオルがフワフワに
一般的なタオルの多くはパイルタオルといって、ループ状の糸がたくさん織り込まれています。やわらかくてフワフワしたタオルは、このパイルがきれいに並んでまっすぐ立っている状態。
洗濯のあとはパイルが寝た状態になっているので、そのまま自然乾燥させると、ゴワつきを感じやすくなるんです。そこで、寝てしまったパイルを立てるために、タオルを20回くらい強めに振ってから干しましょう。
また、乾燥機があるご家庭なら、7~8割ほど乾いた状態で乾燥機にかけると、パイルが立つのでタオルがふわっと仕上がりますよ。仕上げに熱を加えることで、風合いがよくなり、買ったときのふんわり感がよみがえります。
また、タオルは朝から夕方まで天日干しをすると、水分が蒸発しすぎてしまい、パリパリになってしまいます。できれば、陰干しをするほうがいいでしょう。
◆教えてくれたのは:洗濯ブラザーズ 茂木貴史さん
茂木貴史、茂木康之、今井良の3人で洗濯のプロ集団「洗濯ブラザーズ」を結成し、毎日の洗濯が、「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。キレイに洗えるだけではなく、同時に服を傷めず長持ちさせられるのが、洗濯ブラザーズ式・洗濯術の特徴。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど、国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを担当している。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行い、著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)は8万部を突破。また、オリジナルのナチュラル洗剤を開発し、好評を博している。https://sentakulife.com