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【64歳オバ記者 介護のリアル】93歳母ちゃんとの4か月で感じた「介護は覚悟して始めても、さらに上の覚悟が求められる」

4か月間、食べ物をおいしいと感じることができなかった

老健に入所した母親は、以前2か月入院していた総合病院で診察を受けるために今月25日に一時帰宅して、年末には再び施設に戻っていく。母親には「うちが寝起き出来るくらい暖かくなったら、また家に帰ってくればいいよ」と言ったけれど、正直なところ、その場限りの言い逃れになるかも、とも思っている。
「そりぁそうだよ。ヒロコちゃんはよくやったよ」と、近所で私を見守ってくれていた人は言ってくれるけど、中には「老親を施設に預けて旅先で乾杯なんて薄情過ぎる」と言う人だっているかもね。

介護を始めてから、介護の体験談をいろいろな人から聞いたけど介護の中身と環境は人それぞれなのよね。それと旅に出てあらためて思ったのは食べ物には味があるということ。母親のトイレ介助をしていた4か月は、食べ物を噛みしめておいしいと感じたり、心からビールの喉ごしを感じることができなかったんだわ。

オバ記者の母
退院したときの母ちゃん。このときはぐったりしていた
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「以前、連載で“大惨事”って書いてあったけど、具体的にどういうことなの?」

青森の居酒屋でYちゃんに聞かれて言葉に詰まった私。誰かのシモの世話をしたことがある人ならまず聞かないことだから、ギョッとしたけど、次の瞬間、ああ、そうか、介護前の私だったら聞いたかもなと思ったの。

母ちゃんに作っていた食事。栄養バランスを考え、種類も豊富に
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と、同時にその時、大惨事の“具体的な”情景とあのニオイがいきなりよみがえってきて、それを消し飛ばそうと頭の中は大忙しよ。
「介護はみんな覚悟して始めるんですけど、実際やってみるともう一段、もう二段上の覚悟を求められるんですよね」

これは、弱音を吐いた私にある訪問看護師さんがつぶやいた言葉だ。その覚悟が有りやなしや。春まで自分に問うてみようと思う。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
オバ記者ことライターの野原広子
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1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。今年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

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●【276】「行きたがねぇよ!」施設入所を拒む93歳母ちゃんをどう説得するか…頭を悩ませる

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