「偶然」に着目することの大切さ
日々生活していると、アッと驚くような「偶然」に出会うことがしばしばあるのではないでしょうか。例えば、人と人との巡り合い。もし、あの場所へ行っていなかったら、あの時あの電車に乗っていなかったら……。そんなことを考えた経験は誰しもあるかと思います。そしていつしか私たちはこれを「必然」と信じ、「奇跡」だと口にするものです。
生活の中の小さな幸せへの”気づき”に
良いか悪いかは別として、そのような「偶然」が本作にはいくつも描かれています。偶然によって幸福になることがあれば、不幸になることもあると私たちは知っています。しかし、日常に溢れる偶然の一つひとつに改めて着目することは、いまをより良く生きることにつながり、生活の中にある小さな幸せに気付けるようになるのではないかと思います。そんな“気付き”を与えてくれる本作を観た後はきっと、これまでの日常が少し違って見えることでしょう。
◆文筆家・折田侑駿
1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。http://twitter.com/cinema_walk