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家事効率が上がるキッチンとは?「横動き」をしなくて済む収納がカギ

おしゃれなキッチン
家事効率の上がる使いやすいキッチンを片付けのプロが伝授!(Ph/Photo AC)
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料理をするために毎日のように使うキッチン。なんとなく、散らかったまま使っていませんか? 幸せ住空間セラピストで家事効率化支援アドバイザーの古堅純子さんによると、キッチンは小スペースの割に食材、食器、調理器具など、ものが多く、実は収納が難しい場所なのだとか。そんなキッチンを効率的に使うための収納方法を教えてもらいました。

キッチン収納で意識したい3つのライン

「できるだけ横動きをしないことが家事効率を上げるポイント」と、古堅さん。そのためにまず、3つのラインに分ける考え方を学びましょう。

火・水・作業、3つのライン

ラインとは、縦に動く動作のこと。古堅さんは、ガスコンロと上下の収納スペースが“火のライン”、同様にシンクとその上下が“水のライン”、まな板をおいて食材を切ったりするスペースと収納を“作業ライン”と呼んでいます。

ガス台下の収納
Ph/『週末ビフォーアフター第57話 古堅純子の収納チェック 家事が楽になるヒント満載のルームツアー 平成世代のキッチン収納まるごとチェック』より
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「火のラインにボウルやざるを収納したり、水のラインにフライパンや鍋ぶたを置いたりすると、横の動きが無駄に増えてしまいます。なんとなくみんなわかっているはずなのに、意外と実践できていないお宅が多いんです」(古堅さん・以下同)

キッチンのゴールデンゾーンを解説
Ph/『週末ビフォーアフター第57話 古堅純子の収納チェック 家事が楽になるヒント満載のルームツアー 平成世代のキッチン収納まるごとチェック』より
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また縦のラインの収納力が弱い場合は、キッチンに立ったときに背面にある収納も含めて、U字ラインで考えてもOK。

「3つのラインを活用し、横動きを減らすことによってキッチンの作業効率が上がるとわかってくれば、自ずと使いやすいキッチンの形が見えてきます」

火のもの、水のものはライフスタイルによって違う

鍋やフライパンと使う菜箸は火のラインに収納するもの、包丁は水のラインもしくは作業ラインに収納するもの、というのはわかりやすい例ですが、例えばラップはどうでしょう。

古堅さんの家では、食事の残り物にラップをして冷蔵庫にしまうことが多いから水のラインに置いていますが、ラップをしてレンジで加熱することが多い家では火のラインに収納したほうが使いやすい場合もあります。

その家のライフスタイルによって適した収納場所は異なるので、実際にキッチンに立ったときの使いやすさを意識してみましょう。

古堅家キッチンのゴールデンゾーンを解説
自分の家のゴールデンゾーンを把握して収納を
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ゴールデンゾーンを把握する

次に、それぞれのラインの中でもゴールデンゾーン(立った状態の腰高から背丈までの高さ)を活用することが出し入れのしやすさにつながります。アイテムの使用頻度を考えて、よく使うものほど取りやすい位置=ゴールデンゾーンに収納すれば、かがんだりすることが少なくなるので、余計な動きが減り楽に炊事をすることができます。

ジャンルではなく稼働率で収納を考える

ここで、古堅式片付けで出てくる稼働率という考え方が重要になります。稼働率とは、収納の中のものが、どのくらい出し入れされているかという頻度のこと。頻度が高ければ稼働率が高いといえます。

→稼働率について、詳しくはコチラ

ゴールデンゾーンにある収納の稼働率が低ければ、その収納を活用できていないということになります。逆にその稼働率を上げることができれば、キッチンでの作業効率もアップできるということです。

カトラリー入れ
Ph/『週末ビフォーアフター第57話 古堅純子の収納チェック 家事が楽になるヒント満載のルームツアー 平成世代のキッチン収納まるごとチェック』より
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「“カトラリーと茶碗が同じ引き出しに入っているのはおかしい”といった先入観を取り払って、“この位置で作業するときによく使うものは、一番使いやすいゴールデンゾーンの収納にしまう”という作業効率を意識して配置してみてください」

ゴールデンゾーンの使い分け

さらに、夫婦で身長が違う場合など、人によってゴールデンゾーンは違います。ゴールデンゾーンの使い分けで、収納の稼働率をより上げることができます。

キッチンの広さや形にあった使い方を考える

家によって広さや形の異なるキッチン。そのため、人の家の収納をそのままマネするのはNGと、古堅さんはいいます。

キッチン3タイプを図解
キッチンの形によって収納のコツは違う
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作業場所と収納のアレンジ

どんなキッチンでも、作業場所は調理において絶対に必要なもの。そこをまずキープした上で、火のライン、水のラインにどれだけのものを収納できるのか考えましょう。

「自分の家のキッチンの特徴をしっかり捉えた上で、基本を当てはめていくことが必要です。例えば、火の近くがL字になっているなら、火に関係するものを集中して置いたほうがいい、というようなアレンジの仕方をする必要があります」

収納場所はパントリーだけじゃない

また、食材はキッチンになければいけない、という先入観を捨てることで、キッチンがもっと使いやすくなると言います。

パントリー
Ph/『週末ビフォーアフター第42話 片付けレスキュー!キッチン収納 地獄の全出し!作業スペースから組み立てるキッチン収納攻略法』より
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「“広いパントリーがある家は便利でうらやましい”“うちはパントリーがないから収納があまりできない”と思っている人も多いですね。でも、横動きをたくさんしなくてはいけないキッチンが、いかに使いづらいかに気づいていないんです」と古堅さん。

食品ストックの収納場所
Ph/『週末ビフォーアフター第57話 古堅純子の収納チェック 家事が楽になるヒント満載のルームツアー 平成世代のキッチン収納まるごとチェック』より
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比較的稼働率が低い食材ストックなら、例えば、玄関からキッチンやリビングに至るまでの廊下収納を使うという方法もあります。古堅さんの場合は、リビングにある稼働率の低い収納の下段をパントリー代わりにしています。

「キッチンにものが溢れていると、掃除がしづらくなって料理を作るのが億劫になります。調理のスタートラインに立つ前に片付けをしないといけないのは、とてもストレスですよね。キッチン収納は片付けることが大事なのではなく、やりたい作業をすぐ行うために、出したものがすぐ戻せる場所を作って、清潔で調理しやすい場を作ることが目的なんです」

◆教えてくれたのは:幸せ住空間セラピスト・古堅純子さん

古堅純子さん
幸せ住空間セラピスト、家事効率化支援アドバイザーの古堅純子さん
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幸せ住空間セラピスト、家事効率化支援アドバイザー。整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師、企業内整理収納マネージャーの資格を所持。1998年、老舗の整理収納サービス会社に入社。20年以上現場第一主義を貫き、クライアントのもとへ通う。5000軒以上の家でサービスを重ね、古堅式メソッドを確立。オンラインを含むコンサルティングやメディア出演や講演も行う。著書は累計60万部で、最新著は『「シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新聞出版)。YouTubeチャンネル「週末ビフォーアフター」は、累計1000万回再生を突破(2022年1月地点)。チャンネル登録者数6万人(2022年1月現在)。https://s-d-m.jp/talents/jyunko-furukata/

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