介護4か月目で大昔の怒りが
そもそも私と母親は仲の悪い親子ではない。私が幼い頃は人に言えない苦労をしていたことを知っているので、悪く思いようがないのよね。人好きで激情化だけど涙もろく、尋常小学校を出たか出ないかだから、子供を理屈で怒らない。
「人並みになれ」なんて言われたことないし、30代、40代はギャンブル狂だった私のミエミエの嘘を信じて、怒りながら何度か数万円くれた。つまり母親には借りも恩もあると思っている。
だから「最後ぐらいは」と自宅介護をしようとしたのは、私にしてみればごく自然の感情だったの。もちろんそれがどんなに甘い考えだったか思い知ったけれど、介護が4か月目に入ったら、なんと母親に対する大昔の怒りが溢れ出してきたんだわ。
介護しなかったら絶対に溢れ出なかった母親に対する憎悪に、私自身たじろいだわよ。その話は次の機会に。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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