保定はプロに任せるかプロに教わるべき
犬の体を押さえる保定はしなくていいのでしょうか。
「多くの動物病院では、獣医師のほかに看護師がいることが多いので、保定は看護師に任せたほうが安心です。飼い主さんがケガをしたり愛犬との関係がまずくなったりしなくて済みます。保定が甘いと暴れて注射がなかなか完了しないので、犬にとっても嫌な時間が長引いてしまいます」
頼まれたら押さえ方を質問する
獣医師が1人で運営している病院であっても、犬を押さえながら注射する獣医師もいるので、飼い主さんの保定はあくまで病院側から頼まれたときだけで構いません。
「その場合は『どう押さえたらいいですか?』と遠慮なく質問してください。飼い主さんがよかれと思って強く押さえ過ぎると、犬は苦しがって振り払おうとすることがあります。看護師の保定を見ていると、やみくもにぎゅうぎゅう押さえるのではなくて、肩と腰など、ここというポイントを適切な力で押さえています」
注射後すぐにおやつをあげてイメージアップ
予防接種の前は犬の性格によっては、他の犬と離れた場所で待つとストレスを軽減できます。
「他の犬がいて興奮したり、他の犬の恐怖が伝わってきて余計に怖くなってきたりする子もいるので、受け付けをしたあと、スタッフに声をかけて、待合スペースから離れて待って、タイミングを見計らって戻ってくる手もあります」
さらに、予防接種の後にもぜひ一工夫を。
「私はよく、注射が終わった直後におやつをあげています。次回のために注射や病院のイメージを上げておきたいですからね。犬の意識が注射による痛みや違和感に向かう前に、おやつで喜ばせるようにしましょう。
もちろん、飼い主さんがおやつをあげても問題ありません。『頑張ったね』と褒めながらあげてください」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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