雨の日は洗濯物が乾きにくいだけでなく、湿度が上がることでカビやダニの発生も心配ですね。本格的な梅雨に入る前に、湿気対策を考えたいところ。家電ライターの田中真紀子さんは、室内の除湿をしつつ、洗濯物をカラッと乾かしてくれる衣類乾燥除湿機の利用をおすすめします。そもそも衣類乾燥除湿機とはどのようなもので、どう選ぶとよいのでしょうか。田中さんに教えてもらいました。
「衣類乾燥+除湿機能」衣類乾燥除湿機のメリットとは
「雨の日は洗濯物を部屋干しする人も多いと思いますが、パナソニックの調査によると、季節や天候にかかわらず約3割の人が部屋干しをしているそう。理由はさまざまですが、共働きで日中家にいないため、ゲリラ豪雨など天気の急変に対応できない、花粉やPM2.5の付着が気になる、外干しができない規約がある高層マンションに住んでいるなど、昨今の社会変化を反映しています。
ただし部屋干しをすると洗濯物が乾きにくいだけでなく、乾く過程で洗濯物の水分が部屋に放出されるため、部屋の湿度が10~20%上がってしまいます。そうなると時期によってはカビや結露の原因に。また乾燥に時間がかかることで菌が活性化し、不快な生乾き臭を発してしまいます」(田中さん・以下同)
こうした部屋干しのデメリットを解消してくれるのが、衣類乾燥除湿機です。
「衣類乾燥除湿機とは、単に部屋の中の湿気を取り除くだけでなく、室内に干した洗濯物を、乾き具合を感知して風向きや風量を調整するなどして効率よく乾かしてくれます。風を衣類に当てることで、洗濯物の水分を飛ばしてから空気中の水分を取り除くので、部屋干し臭が発生する前に乾燥できます。ここが、エアコンの除湿機能との大きな違いであり、衣類乾燥除湿機ならではのメリットです」
チェックしたい除湿方式は大きく3つ
衣類乾燥除湿機を買う際には、まず除湿方式をチェックしましょう。大きく分けて、コンプレッサー式、デシカント式、ハイブリット式と3つの除湿方式があり、それぞれ使用感や電気代、そして除湿能力を発揮しやすい季節に大きな違いがあります。それぞれのメリット、デメリットは何でしょうか。
梅雨や夏にもっとも除湿能力を発揮するコンプレッサー式
まず、コンプレッサー式から。
「コンプレッサー式とは、湿った空気を冷却器で冷やし、湿気を水滴にして回収することで除湿します。高温時の除湿能力に優れていて、湿気の多い梅雨の時期や夏場に使うと非常に効果的です。ヒーターを使うデシカント式に比べて電気代を抑えられるのもメリット。そのため、衣類乾燥除湿機の市場全体で6割超と、圧倒的なシェアを誇ります。ただし、コンプレッサーが内蔵されているため本体が重い、運転音が大きい、さらに冬場は除湿能力が下がってしまうのが難点です」
高温になるため夏には不向きだが、冬でも安定した除湿能力を誇るデシカント式
次に、デシカント式。
「デシカント式は、乾燥剤に湿気を吸着させ、ヒーターで温めて水分を蒸発させることで除湿する方式。ヒーターを使うため室温が上がり夏場には不向きなうえ、電気代も高くなるのが難点です。反面、気温の低い冬場も安定して使えることと、軽量でコンパクトなのは助かります」
コンプレッサー式とデシカント式の“いいとこどり”をしたハイブリッド式
そしてコンプレッサー式とデシカント式の両方の機能を搭載しているのが、ハイブリッド式。
「梅雨の時期は夏に高い除湿能力を発揮するコンプレッサー式を使い、冬は気温に左右されにくいデシカント式を使うなど、湿度や温度によって最適な除湿機能を自動的に選択します。ただし、2タイプの機能を搭載している分、お値段は張ります」
こうした違いを知ったうえで、選ぶ際には除湿能力やタンクの容量もぬかりなくチェックを。
「タンクは満水になると自動で運転が止まってしまうため、長時間使いたい場合は大容量タイプか、ホースから直接風呂場などに排水できるタイプを選びましょう。タンクの洗いやすさ、持ち運びやすさも要チェックです」
そして衣類乾燥機能はどう選ぶとよいか。電気量販店に行くと、2~3万円程度から買えるベーシックモデルから5万円以上する高機能モデルまでずらりと並んでいますが、田中さんは高機能モデルに注目しています。
「高機能モデルはお値段も張りますが、送風ルーバーによって洗濯物を揺らしたり広範囲に風を届けられたりするもの、センサーが洗濯物の乾き具合をチェックできるもの、さらにはイオンにより部屋干し臭を抑えるものまであり、いずれも部屋干しを快適にしてくれます」
中でもおすすめの高機能タイプの衣類乾燥除湿機を2種、挙げてもらいました。どちらも夏場に除湿能力を発揮するコンプレッサー式です。