
他のフルーツと比べても高価なものが多いメロン。せっかくなら、おいしくいただきたいものです。そこで、保存のコツやメロンのおいしい食べ方、含まれる栄養素について、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに教えてもらいました。
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メロンを適切に保存するポイント
メロンを保存する方法は、常温、冷蔵、冷凍のいずれかになります。
基本的には常温で、風通しがいい場所をおすすめします。メロンを食べる2時間ほど前に冷蔵庫に入れて冷やすと、おいしく食べることができますよ。

熟度によって、常温か冷蔵で保存するか判断する
メロンは追熟するフルーツです。追熟するスピードをゆっくりにするには、冷蔵庫で保存しましょう。なので、できるだけ長く保存したいときや、かための食感がお好きなかたは、熟す直前に冷蔵庫に入れるといいですよ。

ちなみに、追熟すると甘みが増すように感じますが、メロンは収穫した時点から甘みが変わることはありません。バナナなどでんぷんが糖質に変わるものは、追熟によって甘みが増しますが、メロンの甘味は果糖やぶどう糖のため、収穫後に糖度が変化することはありません。
追熟すると食感がやわらかくなって口当たりがよくなるので、甘みが増したと舌が錯覚しているのです。ですから、メロンは好みのかたさによって、追熟の具合をコントロールするのをおすすめします。
カットメロンを保存するコツ
メロンをカットして冷蔵庫に入れる場合は、種やワタをとってから保存しましょう。種をつけたままにしておくと、そこから発酵して傷む可能性があります。

メロンはカット後も自身から出るエチレンガスで多少は追熟しますが、大きく変化を感じるほどの追熟はしないと考えていいです。種を取りのぞいてから8等分程度にカットし、ラップをぴったりとかけて野菜室で保存するのがよいでしょう。
また、食べ頃のメロンは冷凍保存もできます。もちろん、生食より風味は落ちますが、ミキサーにかけてジュースにしたり、ピューレにしてスイーツに活用しても楽しめますよ。
健康や美容にも !栄養素がたっぷり
意外かもしれませんが、メロンは栄養も豊富です。
露地栽培のメロンの方が栄養価が高い
メロンは、摂り過ぎた塩分を排出する働きや長時間の運動による筋肉のけいれんを防ぐ働きのあるカリウムをたっぷりと含んでいます。また、赤肉のメロンは体内で必要な分だけビタミンAに変わるβ-カロテンを多く含みます。β-カロテンには抗酸化作用があり、皮膚や粘膜の健康維持の働きがあります。

この2つの栄養素は、温室やハウスなどの施設で栽培されたものよりも、屋外の畑で露地栽培されたもののほうが多く、β-カロテンは露地物の方が緑の果肉で4倍、赤い果肉で100倍以上も多く含まれています(『日本食品成分表』(八訂)より)。太陽の光をよく浴びて育つことで、より栄養を蓄えているのかもしれないですね。
冷え性の緩和や、美容効果のある栄養も
メロンには、血流を改善する働きがあると言われるアデノシンが多く含まれます。さらに、血管拡張作用のある成分の材料になって血行を促進する、シトルリンなども含まれているんです。
たんぱく質分解酵素で消化を促進
メロンの成分には、ククミシンというたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)が含まれています。メロンと生ハムの組み合わせなど、たんぱく質を多く含む肉類と食べるのは、味だけでなく食べ合わせとしても相性がいいんです。

ちなみに、メロンを食べたときに唇や舌がぴりぴりと感じる人もいるかと思いますが、それはククミシンの刺激によるものです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ