装着時の痛みは?和らげる方法はある?
装着時の痛みについては、どうでしょうか。
「マイクロチップは、頸背部(首の後ろ側)の皮下に装着します。一般的な注射針よりは太い針を刺して注入するので、確かにその瞬間は痛みがあるだろうと思います」とのこと。特に注射が苦手な犬、猫の場合は痛がって鳴くこともあるのだとか。
ただし、「処置は数秒で終わります。装着したあとに『自宅に戻っても痛がっているんですが…』といった相談を受けた例もないですね」と山本さん。痛みや違和感が長く続いている様子は見受けられないといいます。
痛みを抑えて装着する方法も
また、痛みを抑えて装着する方法もあります。
「避妊・去勢の手術をするときに合わせて入れることも多いんですよ。その場合は手術用に麻酔をかけた状態のときに済ませることができるので、犬や猫が痛みを感じている可能性は少ないです」
今後はマイクロチップ装着を目的として来院する飼い主さんも増えそうですが――。
「どうしても痛みが心配な場合には、かかりつけ医に相談するといいでしょう。例えば、鎮静処置などの方法があります。鎮静は麻酔のように完全に眠らせるわけではなく、少しトロンとさせる処置ですが、痛みの感じ方はかなり和らぐはずです」
ただし、麻酔ほどではないものの一定のリスクがあるため、よく考えて判断する必要があります。
最後に、改めてマイクロチップの効果について山本さんに聞きました。
「マイクロチップが装着されていれば、災害などではぐれてしまった犬や猫も飼い主さんの元に戻れる確率が高まります。また、飼い主が明らかになるので、盗難や飼育放棄を防ぐことにもつながるとみられています。装着時の痛みは一瞬のことですので、愛犬や愛猫と安心して暮らし続けるため、装着を検討されてはいかがでしょうか」
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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