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夫を良き“家事のパートナー”にする心得「初期型の食洗機と思うべし」「一緒にはやらずリーダーとして任せる」

最初は感謝から始める

初めてしたことは、感謝や称賛から始めます。何ごとも、最初の印象が、とてもとても大事だからです。

歌舞伎の名門では、幼い子をデビューさせるとき、細心の注意を払うと言います。ひいき筋にご挨拶して回り、花道をひいき筋で埋める。先代、先々代からのご贔屓さんたちは、愛らしい後継者が登場しただけで、どっと沸いてくれる。手を挙げれば拍手、足をあげれば拍手、転んでも拍手。自分の一挙手一投足に、客が喜んでくれる。

そんな初舞台の「成功体験」は、潜在意識の奥深く入り込み、これからの役者人生のすべてにわたって支え続けると信じられているからです。実際、そうである役者さんたちが多いのでしょう。

家事を手伝えば、妻が幸せになる。そんな刷り込みがまずは必要です。

最初のうちは、とにかく感謝して、前回よりも成長があれば、それを讃えます。3歳の歌舞伎役者が、桃太郎の衣装を着て、一生懸命舞台で踏ん張っているのと同じだと思ってみて(微笑)。

専門職(リーダー)になってもらう

家事のパートナーとしては、「あらゆることをちょこっと手伝ってもらう」が、一番便利なのですが、それだと。夫の「できないこと」が、自分のタスクの手戻りとなって、イライラすることから抜け出せません。

なので、基本、家事は一緒にはやらない。相手に、最初から最後までを任せる担当制にすることをおすすめします。

わが家の夫は、「洗濯リーダー」「麺ゆでリーダー」「お風呂のカビ取りリーダー」「ガーデニングリーダー」「着物着つけのサポーター」です。もちろん、私も洗濯を手伝いますが、あくまでもリーダーは彼。なので「洗濯機、一回、回してもいい?」のように、お伺いを立てます。彼には彼の洗濯プランがあるからです。

家事する男性
専門職になってもらうのがカギ(Ph/イメージマート)
写真5枚

定年退職後の我が家の夫は、かなり完璧に洗濯をこなしていますが、ここまでくるには、けっこう長い道のりがありました。何せ、最初は、洗濯機に洗剤を入れることも知らなかった人ですから。持ち前の几帳面な性格も手伝って、今やプロフェッショナルと呼びたいレベル。畳み方も、「ホテルか!」と言うくらいの出来です。

現役バリバリ世代の夫たちには、いきなり洗濯リーダーは難しいでしょうから、「麺を茹でる」とか「庭の水やり」とか、ライトなタスクから始めては?

「麺を茹でるのは、これから、あなたの役割にしてほしい。私はよく茹ですぎるから。その代わり、あなたの使いやすい道具を揃えるわ」のように。

男性脳は、一つの目的に向かって邁進するのが得意です。ときにはそばを茹で、ときには肉を焼き、ときにはマヨネーズを取ってほしい、と言うマルチタスクに応えるのには向いていないので、モチベーションが上がらないのです。

わが家の夫のそばゆでの腕も、いまや超一流。市販の乾麺が、生麺のような味わいに仕上がりますよ。専門職制、お試しあれ。