2021年のクレジットカードの不正利用額は約330億円に上り、過去最悪となりました。今や誰もが被害に遭う可能性があります。被害に遭わないために、また被害に遭ったときはどう対処すればいのでしょうか? クレジットカードを不正利用された経験を持つ、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんにフィッシング詐欺の見分け方や対処法などについて聞いてみました。
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「不正利用」の連絡、カード会社とのやりとりは
3年ほど前、私の携帯にこんなショートメッセージが届きました。
「クレジットカードご利用につきまして確認したいことがございます。つきましては下記の電話番号にご連絡いただけますでしょうか」
メールを確認した時刻は夕方4時過ぎで、まだ営業時間内です。メールに記載された番号がクレジットカード会社の電話番号であることをホームページで確認したのち、電話をかけるとすぐにオペレーターにつながりました。
そして「本日午前1時頃に、大阪にあるUSJのチケットを5万5000円分購入されましたか?」と聞かれました。午前1時に私は寝ていたこと、またUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行く予定がないため購入していないことを伝えました。
さらに、オペレーターがいうには「5万5000円分のチケットを購入したあと、追加で2万8000円分を購入しようとしていた」とのこと。しかし、この2万8000円分についてはコンピューターが自動で不正利用だと判断し、決済されていないことがわかりました。
フィッシング詐欺の手口は年々巧妙に!
今回、私はクレジットカード会社から連絡があり、案内に書かれた番号が正しいものであることを確認してから電話しました。しかし、場合によっては、その連絡先自体がフィッシング詐欺の可能性もあります。実際、不審な利用の確認を装ったフィッシングメールが確認されています。
「案内に書かれたURLや送り主のアドレスを見れば、不正かどうかわかる」と思うかもしれません。しかし、SNSやメールで他のサイトに誘導し、IDやパスワードを入力させる「フィッシング詐欺」の手口は年々巧妙になってきています。実際のサイトと間違うような紛らわしいURLを使っていたり、「詳細はコチラ」とURLを隠して誘導したり。
さらに、見た目は大手フリマサイトのURLなのに、リンク先が違う細工をして送り付け、受け取り手に「アドレスが正しいから本物だ」と思わせてクリックさせる事例も発生しています。
そのようなことを防ぐために、メールから直接リンクに飛んだり記載の番号に直接電話したりせず、カード会社が公式に発表している電話番号などへ問い合わせすることをおすすめします。
今すぐ確認しておきたいカード規約
私のように不正利用疑いの連絡がクレジットカード会社から来ることもありますが、そうでないこともあります。利用明細を見てクレジットカードの不正利用に気づいたら、すぐにカード会社に連絡を入れ、被害に遭ったカードの利用停止を求めます。
このときに気をつけたいのが、クレジットカード会社が損害を補償するのは、カードの利用停止手続きをしたときから数えて概ね60日~90日の期間です。補償期間は各クレジットカード会社によって異なるので、自分が使っているカードの規約を確認しましょう。