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もはやお家芸?阿部寛が演じる“型破りな男” 新作映画では鬼刑事からの“変貌”に注目

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真
阿部寛が演じるのは型破りな鬼刑事だが…(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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阿部寛さん(58歳)が主演を務めた映画『異動辞令は音楽隊!』が8月26日より公開中です。清野菜名さん、磯村勇斗さん、高杉真宙さんら若手俳優を共演に迎えた本作は、とある警察音楽隊の活躍を描いたもの。「刑事ドラマ」や「音楽映画」としての高いエンターテインメント性もさることながら、“人と人とがさえ合うことの美しさ”が垣間見える作品に仕上がっています。本作の見どころや役者陣の演技について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説します。

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シリアスとユーモアのバランスが心地よい、非常にユニークな作品

本作は、第44回日本アカデミー賞をはじめとする数々の映画賞に輝いた『ミッドナイトスワン』(2020年)や、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』を手がけた1人でもある内田英治監督の最新作。監督がたまたまYouTubeで目にした警察音楽隊のフラッシュモブ映像から想を得て、企画に着手した作品だといいます。犯罪捜査一筋の鬼刑事が不服ながらも音楽隊に異動させられ、そんな彼がやがて仲間たちと熱く奮闘するさまが描かれている本作は、シリアスとユーモアのバランスが心地よい、非常にユニークな作品なのです。

映画『異動辞令は音楽隊!』ポスタービジュアル
(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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元鬼刑事と個性豊かな音楽隊の物語

主人公・成瀬司(阿部)は、30年も犯罪捜査にすべてを捧げてきた鬼刑事。彼は犯罪撲滅のため、犯人逮捕のためには手段を選びません。違法すれすれの捜査は当たり前で、警察上層部に異論があれば平気で盾突き、部下にはいつも高圧的な態度。“組織”から疎ましがられて当然の男です。そんなどうしようもない成瀬に対し、異動辞令が言い渡されることになります。

もちろん、栄転などではありません。彼の異動先は、やがて存亡の危機にも陥る警察音楽隊。しかも成瀬は小学生の頃に町内会で和太鼓を叩いていたというだけでドラム奏者に任命されてしまいます。音楽をやっているどころではない成瀬には追わなければならぬ事件がありますが、いまの彼は蚊帳の外。失意に暮れることに。そんな成瀬に、個性豊かな音楽隊の面々が手を差し伸べるのです。

阿部寛を囲む多彩な顔ぶれ

本作に配された俳優陣は、若手から大ベテランまで多彩な顔ぶれとなっています。シングルマザーとして子育てと交通課の仕事に奮闘するトランペット奏者・春子役には清野さん。この春子が何かと成瀬とぶつかります。

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真
(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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自動車警ら隊と音楽隊とを兼任するサックス奏者でありながら、元は刑事志望だったために音楽に対するやる気ゼロの北村は高杉さんが演じています。北村もまた成瀬とは馬が合わない人物です。

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真
(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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その一方で、板橋駿谷さんが扮するチューバ奏者の国沢は誠実な熱い男で、成瀬を温かく迎え入れます。渋川清彦さん演じるパーカッション担当の広岡はパンクマニアで、ドラマーとなる成瀬の指導係に。この個性的な面々を穏やかに導く指揮者の沢田役で酒向芳さんは出演しています。

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真
(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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そして、成瀬が刑事だった頃の部下・坂本役に磯村さん、成瀬に異動を命じる警視監を光石研さん、成瀬の母を倍賞美津子さん、一人娘を見上愛さんが演じています。そんなエンターテインメント界の第一線を走る人々を座長として率いているのが、主演の阿部さんというわけです。

映画『異動辞令は音楽隊!』場面写真
(C)2022『異動辞令は音楽隊!』製作委員会
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