朝晩が涼しくなり、湿度が低くなる秋口から出やすくなる鼻水や咳。熱もないのに長引くようなら「秋の花粉症」かもしれません。漢方にも詳しい管理栄養士の小原水月さんは、食事を見直すことが症状の改善につながると話します。そこで、秋の花粉症におすすめの食材と漢方薬を教えてもらいました。
秋の花粉症とは?
日本では60種以上の花粉症が報告されていて、1年中花粉症になる可能性があります。スギ花粉症がある人は、秋にも花粉症を発症しやすいといわれているので注意が必要です。
秋の花粉はとくにブタクサに注意
秋の花粉症の原因となる植物で代表的なのが、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラです。特別な植物ではなく、住宅街やオフィス街などに自生しています。
花粉症の症状は、体に異物(花粉)が侵入することで引き起こされます。そのため、症状は鼻水やくしゃみ、目のかゆみなど、基本的にどの植物でも大きく変わりません。ただし、花粉の粒子が小さいブタクサは例外で、体の奥まで侵入すると、喘息のような症状が起こることもあります。
また、花粉の飛距離は数メートル程度なので、近づかないようにするのが重要です。
秋の花粉は9月がピーク
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉が飛ぶ時期は8月~10月で、9月にピークを迎えます。通勤などで普段よく使う道に、これらの植物がないかチェックしておくといいでしょう。
秋の花粉症は風邪と間違えやすいので注意
秋は気温と湿度が下がり、風邪の原因になるウイルスや細菌が活発に活動する時期でもあります。花粉症か風邪か判断できない場合は自己判断せずに、医師や薬剤師に相談しましょう。
秋の花粉症対策におすすめの食品・栄養素
花粉症によるアレルギー症状は免疫の過剰反応で起こるので、免疫細胞の約7割がいるとされる腸内の環境を整えることが花粉症対策にも役立ちます。
さらに、最近注目されているのが「脳腸相関」です。この言葉には「脳と腸の状態がお互いに影響を与え合っている」という意味があります。つまり、脳を健やかに保つことが腸内環境を整えることにつながるのです。
脳の健康に欠かせないカルシウム
カルシウムには脳の興奮を抑える働きがあり、ストレス緩和が期待できます。また、カルシウムは脳内、脳と各器官との情報伝達において不可欠な栄養素の1つです。
また、食事中の動物性脂質とたんぱく質の割合が大きくなりすぎると、腸内環境を悪化させる可能性があります。動物性と植物性の食材をバランスよく食べるようにしましょう。
焼き豆腐
カルシウムを多く含む大豆製品のなかでも、焼き豆腐はとくに含有率が高いです。焼き豆腐は形が崩れにくく、味が染みやすいのが特徴です。煮物や炒め物にする際にも下処理が不要で、手軽に調理ができます。
小松菜
小松菜は雪がなければ通年で栽培でき、1年を通して安価で手に入る高カルシウム食材です。小松菜は青菜のなかでもアクが少なく、下ゆでなしで調理できるので食卓に取り入れやすいでしょう。
鮭の水煮缶詰
骨まで食べられる鮭の水煮の缶詰は、100gあたり190mgのカルシウムを摂ることができます(「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)。これは、生鮭と比較して20倍以上になります。
また、「鮭の中骨缶」は特に多くカルシウムを摂ることができる食品です。マルハニチロの商品を例にあげると、1缶150gあたりでカルシウムは1202mg(マルハニチロ「鮭中骨缶」ページ)と、成人女性の1日あたりの必要量650mgの2倍量も含まれています。(森永製菓の公式サイトを参照)