
いろいろな料理に使いやすいにんじんは、秋から冬にかけて旬を迎えます。この季節のにんじんはおいしいうえに栄養がふんだんに詰まっていると、野菜ソムリエプロの福島玲子さんは話します。そこで福島さんからにんじんの栄養や、おいしくにんじんをいただけるレシピを教えてもらいました。
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健康効果が期待できる栄養層が豊富
カロテンという栄養素は、にんじんの英語名であるキャロットが語源。それだけ、にんじんはカロテンが豊富なんです。カロテンだけでなく、ほかにもたくさんの栄養が詰まっているんですよ。
カロテンだけじゃない!女性にうれしい栄養
にんじんはカロテン類の中でも、β-カロテンを多く含みます。β-カロテンは抗酸化作用が強く、肌の老化やがんの予防効果が期待されている栄養素です。体内で必要な分だけビタミンAに変換されて、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、さらに喉や肺など呼吸器系統を守る働きもあるといわれています。

β-カロテンは脂溶性なので油で調理することで吸収率が増します。揚げ物や油炒め、バターソテーなどで食べるのがおすすめです。さらにβ-カロテンのほかにも、むくみの改善や血圧を下げる効果のあるカリウム、整腸作用のある食物繊維が豊富です。
にんじんは皮や葉にも栄養たっぷり!
β-カロテンは皮の近くに多く含まれているので、レシピによっては皮ごと調理してみましょう。
また、葉の部分にも抗酸化力の強いビタミンEや、カルシウムが骨に沈着する働きを助けるビタミンKなどの栄養がたっぷり含まれています。葉つきのにんじんを見かけたら、ぜひ食べてみてください。やわらかくて食べやすいにんじんの葉は、サラダやおひたしにぴったりです。
金時にんじんにはリコピンが豊富
よく見かける西洋系にんじんのオレンジ色はカロテンが含まれていますが、金時にんじんなど赤い色の東洋系の品種には、リコピンも含まれています。リコピンはカロテン類の一種ではあるのですが、β-カロテンとは違ってビタミンAには変化しません。

しかし、リコピンそのものが、ビタミンAのように活性酸素を減らす強い働きがあるのですのです。赤い色のにんじん、見かけたときはぜひご賞味いただきたいものです。
野菜ソムリエプロおすすめのにんじんレシピ2選
にんじんの甘みを味わえるレシピを2つご紹介します。常備菜にもできるので、食卓に一品増やしてみてください。

爽やかなゆず香る「にんじんのラペ」
《材料》(2人分)
にんじん…1本(約150g) 塩…少々 ゆずの絞り汁…1/4個分 オリーブオイル…大さじ1
《作り方》
【1】にんじんの皮を剥いて、スライサーなどで千切りにしたら、塩を加えてもみこみ、5分ほど置く。
【2】水気をしっかり絞り、ゆずの絞り汁とオリーブオイルを加えて混ぜる。味をなじませたら完成。
ぷちぷち食感の「にんじんとたらこのしりしり」
《材料》(2人分)
にんじん…1本(約150g) たらこ…1はら ツナ缶詰…小1缶 酒…大さじ1 塩…少々
《作り方》
【1】ボウルにほぐしたたらこと酒を入れて混ぜておく。
【2】フライパンにツナをオイルごと入れて熱してから、千切りにしたにんじんを加えて炒め、しんなりしてきたところに【1】を加えて塩で味を調えたら完成。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ