家族で心地よく過ごすための変化とは?「喧嘩はその日のうちに解決する」
――家族が増えたことで、2人の関係にも変化が生まれたのでは?
亀山さん:子供が生まれてから外出は2人から3人になり、その後4人になり。どこに行くのも子供が一緒になりました。ぼくが外食したくても、中川と子供は「家に帰って食べたい」と言うと、2人に従って「じゃあ、家で食べよう」になる。それは妥協ではなくて、家族で一緒に行動することを重視しているからでしょうね。
子供たちとの毎日は、何がおこるかわからない、ハプニングで溢れています。特に小さなうちは、未知の生物! 本当に面白い。親は、まずその貴重な時期をいっしょに過ごせることを楽しんだほうがいいですよ!
――仕事においての変化もありましたか?
中川さん:子供の成長と共に、自然と絵本の仕事も増えましたね。絵本は子供だけのものではないと思いますが、やっぱり読者の多くは子育てしている家族。自分が親になってからは子供の目線がわかってきたような気がして。子供との関係は確かに絵本作りに影響を与えています。
亀山さん:子供は現在14歳と10歳になりました。作品ができ上がったら子供に読み聞かせるというようなことはしていませんが、ずっと近くにいて見守って応援してくれている存在ではあるので、時々アトリエにやってきては、制作中の絵を自然な感じで眺めています。たまに「いいね!」とか「頑張ったね」なんて、褒めてくれます。親が作ったものを特別視しないで、子供の純粋な気持ちで見てくれているのがうれしいです。
――日々時間を共有することで、喧嘩をすることもありますか? その際はどのように解決されているのでしょうか?
中川さん:昔は作品のことでも生活面でも、しょっちゅう喧嘩をしていましたが、子供が生まれてからは減りました。ですが、日々共にする中で、喧嘩をしたらその日のうちに決着をつけるようになりました。
亀山は、うやむやにはできないタイプなので。私は「もう、いいんじゃない」ってスルーしたくなることもありますが(笑い)。夫婦喧嘩の形も解決方法も、みんないろいろですよね。
◆tupera tupera(ツペラ ツペラ)
亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニット。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、アートディレクションなど、さまざまな分野で幅広く活動している。絵本に『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)、『パンダ銭湯』(絵本館)など。『わくせいキャベジ動物図鑑』(アリス館)は第23回日本絵本賞大賞。2019年に第1回やなせたかし文化賞大賞を受賞。10月30日まで、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で神戸初の展覧会「つくろう!さがそう!やってみよう!tupera tuperaの工作ワンダーランド」を開催。「瀬戸内国際芸術祭2022」の秋会期(9月29日~11月6日)ではすごろくプロジェクトに参加。『しろくまのパンツ』の続編となる新作絵本『ねずみさんのパンツ』(ブロンズ新社)も発売中。https://www.tupera-tupera.com/
■豊岡市立美術館 特別展「tupera tupera 絵本原画展 ツペラツペラツアーズ」
取材・文/夏目かをる