健康・医療

ダイエット成功のカギ「セロトニン」を増やすためには?「スイーツを食べる」「噛む」「泣く」など7つの方法

ダイエットに欠かせない「セロトニン」について解説(Ph/GettyImages)
写真6枚

ダイエットをしたいけれど、どうしても甘いものに手が伸びてしまう…。そんな罪悪感を持つ人に「食べてもいいんです」と、意外な言葉をかけるのは、『午後3時に食べるだけダイエット やせるスイーツ』(秀和システム)の著書があるダイエット外来の医師・工藤孝文さん。同書は、甘いおやつの上手な食べ方と、甘いおやつを食べてもいい理由が解説されています。その中から、ダイエット成功のカギを握る「セロトニン」についてお話しいただきました。

スイーツを食べることがダイエットにつながる理由

「なかなか痩せない」「痩せないといけないのにまた食べ過ぎてしまった」「どうして自分はいつもこんなに意志が弱いのだろう」――。ダイエットをしていると、自分との闘いで疲れ、落ち込みがちです。

「食べすぎるのは、意思が弱いからではありません。脳内ホルモンの働きとバランスの乱れが大きな原因です。ですから、決して自分を責めないでほしい」(工藤さん・以下同)

落ち込んでいる女性
食べすぎるのは意思が弱いわけではなく脳内ホルモンが原因(Ph/photoAC)
写真6枚

工藤さんが話す脳内ホルモンとは、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの3つ。

「セロトニンは脳内にある神経伝達物質で、ストレスを抑えて安心感や幸福感を与える効果があります。ストレスによるドカ食い防止の役割を担うのが、このセロトニンです。

ドーパミンは、やる気、意欲を高める脳内ホルモンで、記憶、感情、思考などに関わり、集中力やポジティブさをアップ。ノルアドレナリンは、気分の高揚や快楽に関わり、ストレスに打ち克つように働きます。さらに胃腸の働きを穏やかにし、過剰な食欲を抑える効果もあります。

この3つの脳内ホルモンは、体内で重要な働きをする『三大神経物質』と呼ばれ、通常はダイエットの味方になります。ただ、ストレスを感じるとこの3つのホルモンが不足していき、不安やイライラから冒頭のような罪悪感や自己嫌悪を抱え、過食へとつながっていくのです」

セロトニンを増やすことで幸せに

そこで、適宜セロトニンを分泌させる食べ物を体に投入することが大事だと言います。それが、スイーツ。

「スイーツに含まれる糖分を摂ると一時的に血糖値が上がりますが、その血糖値を下げるために体内で数種類のアミノ酸が使われます。そして、残った必須アミノ酸の一種である『トリプトファン』の比率が上がります。このトリプトファンがセロトニンの原料になる物質。トリプトファンが脳に運ばれ、セロトニンが一気に増えて幸せになるという仕組みです。

しかし、セロトニンはいつまでも脳内に残っているわけではなく、使えば減ってしまいます。そこで、スイーツを食べて幸せな気分に浸りながらセロトニンを増やすことが大切なのです」

セロトニンを増やすためにも我慢せずスイーツを食べよう(Ph/photoAC)
写真6枚

スイーツ以外でもセロトニンは増やせる

セロトニンは、スイーツを食べること以外でも体内で増やすことが可能です。工藤さんがおすすめするその方法は、次の6つ。いずれも毎日の生活に取り入れやすい実践法です。

【1】日光を浴びる

まず朝起きたら、太陽の光を浴びること。

「朝起きてカーテンを開け、できればベランダに出て日光を浴びましょう。日光を浴びることでセロトニンが活性化されます。そして心拍や呼吸、体温、発汗などをコントロールする自律神経が整い、活動系の交感神経が優位になります。セロトニンがしっかり分泌されると心も体もリズムが整い、1日を元気よく過ごせます。

そして起床から15~16時間経つと、それが睡眠ホルモン『メラトニン』に変化。覚醒を睡眠に切り替えて、質の高い睡眠へと誘います。なおメラトニンは抗酸化作用もあり、美肌効果なども期待できます」

【2】リズム運動をする

次は、運動。

「ウォーキングやエアロビクス、自転車こぎなどリズミカルに体を動かすリズム運動には、セロトニンを増やす効果があります。こうした運動をしたあと、モヤモヤしていた気持ちが晴れ、ボーッとした頭もスッキリしたという経験、ないでしょうか? これこそ、セロトニン効果なのです」

ウォーキングしている女性
運動することでセロトニンが増えるだけでなく気分もスッキリ!(Ph/photoAC)
写真6枚

【3】食事中はよく噛む

朝昼晩の食事でも、よく噛むことで、セロトニンを増やすことが可能です。噛むことは、リズム運動の一つ。

「おすすめは、一口で30回前後リズムよく噛むこと。噛む刺激が脳に伝わり、脳の認知機能を活性化することが証明されています。空腹時にガムを噛むのもいいでしょう」

【4】感動して泣く・とにかく笑う

「涙活」という言葉がありますが、映画などを見て涙を流すのもセロトニンを増やすには有効。

「感動して涙を流すことで、セロトニンが分泌されて幸福感が得られます。つらいとき、落ち込んだときは泣ける映画や小説で大いに涙を流してみましょう。多少なりとも気持ちがすっきりするのではないでしょうか」

また、笑うことも大事だと言います。

「笑いは血行を促進し、セロトニンを増やし、痛みを軽減し、免疫機能を高めます。口角を上げて作り笑いをするだけでもじわじわと幸福感が沸き起こってくるものです」

【5】腸内環境を整える

食物繊維を豊富に含む雑穀など、腸内環境が改善される食物を摂ることも大切。

「腸には体の70%の免疫細胞が集まり、体内にあるセロトニンの約90%が腸内に存在するため、腸は第二の脳とも言われています。腸内環境が悪いとセロトニンが不足し、不安感やイライラ、うつ症状、疲労を引き起こします。ぜひ腸内環境を改善し、幸せホルモンを増やしましょう」

お腹に手を当てている写真
セトロニンが約90%も存在する腸内を整える事も大事(Ph/Photo AC)
写真6枚

【6】スキンシップ

「赤ちゃんや動物を抱っこしたり触れ合ったりすると、オキシトシンという物質が分泌されます。このオキシトシンがセロトニン分泌を促進することが分かっています。

オキシトシンは、もともと母親が母乳を出すための愛情ホルモン、絆ホルモンとも言われる神経伝達物質。友人などとおしゃべりをするだけでも増えますし、手に触れたときに柔らかさや心地よさを感じると、オキシトシンの量が増えると言われています」

赤ちゃんや動物など、触れ合える対象が身近にいないときは、ふわふわした手触りのいいタオルやぬいぐるみを触ったりするのも一つの方法。

午後3時にスイーツを食べつつ、こうした方法でセロトニンを増やしていけば、より痩せやすくなると言います。早速今日から始めてみませんか。

◆教えてくれたのは:内科医:工藤孝文さん

内科医:工藤孝文さん
内科医:工藤孝文さん
写真6枚

ダイエット外来で99%の成功率を誇る内科医・糖尿病内科医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、地域医療に力を注ぐ。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。NHK『あさイチ』、日本テレビ『世界一受けたい授業』、フジテレビ『ホンマでっか!?TV』をはじめ、さまざまなメディアに出演している。http://www.kudonaika.com/

●朝起きた直後の「セロトニン呼吸法」で1日元気に。むくみ改善や美肌も目指せる

●医師が推奨する高カカオチョコレートの「チョコちょこ食べ」その効果は?

関連キーワード