家事・ライフ

薄井シンシアさんがアラフォー主婦と鼎談 キャリアブレイク後の再就職は「また登り直せばいいだけ」

情熱ありきではなく、冷静に仕事に向かいたい

シンシアさん:私が日本に帰って最初にした仕事は、会員制クラブでメンバーのお子さんの誕生日会を企画・運営することでした。はっきり言って、そんなの全然好きではない(笑い)。生意気盛りの子供だっているし、親御さんにも気を遣うし。でも、仕事なんだからプロとして完璧にやりましたよ。仕事に「好き」は関係ない。

菜野さん:周りに与える印象の問題ですよね。私は以前自動車メーカーに勤めていて、世の中の大半の人よりクルマは好きで、好きなテイストやデザインもありますが、決してマニアではありません。クルマが好きであろうとなかろうと、お客さんに喜んでもらえるものを作らなければ意味がないのに、クルマ好きを求められる場面はありました。

クルマが好きと公言することで仕事がうまく進むこともありますし。でも、大事なのはプロとしてクルマとお客さまに興味を持って、お客さまが本当にうれしいものを作れるかどうかなんです。

大戸菜野さん
「好き」をうまく加減しながら使うようにしていたという大戸菜野さん
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シンシアさん:本当に大好きでこだわりも強かったら、仕事にするのがつらくなりそうですけどね。例えば、自分の感覚ではこのクルマって美しくないなと思っても、会社が売れと言ったら売らなくちゃいけないでしょう。

菜野さん:割り切らないといけない。だから「好き」をうまく加減しながら使っていました。いくら私が好きなデザインでも、世の中に16人しか欲しい人がいなかったらビジネスになりませんから。

シンシアさん:私も仕事の会議で「あなたのおもてなしの定義は?」と聞かれて、意味が分からなかったなあ。おもてなしを受ける人が快適に感じることが大事で、私がどう思うかは関係ないでしょう。相手の要求、自分たちの予算、それが噛み合うところを見つけるべきなのに。

優季さん:仕事への情熱を示すように求められることって、どの業界でもありますよね。仕事なんだからまずは結果が出ればいいと思うんですけど。歯科業界でも診療が21時に終わって、そこから数時間、職場に残って自主的に勉強する人が数人いて、そういう人がやる気のあるいい従業員だと評価されることになっていました。

シンシアさん:私だったらそれ、情熱がなくても技術の習得に必要なら残るし、必要なければ帰る。

優季さん:私もそうでした。だいたい、残りたくても残れない事情のある人もたくさんいる。

松本優季さん
松本優季さんは、仕事に感情を介在させすぎないようにしているという
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