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薄井シンシアさんがアラフォー主婦と鼎談 キャリアブレイク後の再就職は「また登り直せばいいだけ」

シンシアさん:働き手のほうでも、仕事で人から感謝されたいという人がいて、そういう気持ちは私にはよく分からないんですよね。仕事をして給料をもらう。その給料が評価なんだから、褒め言葉や感謝の言葉を別途もらう必要ってあるのかな?

優季さん:仕事に感情を介在させすぎていますよね。以前の勤め先は、給与明細を紙で直接受け取る慣例で、そのとき絶対に両手で「ありがとうございます」ともらわなくてはいけなかった。仕事の対価を受け取るのに、どうしてそんなにへつらう必要があるのか疑問でした。

シンシアさん:外資系企業にも実はその手の変な慣例、ありますよ。営業成績トップの人を表彰するとき、経営者は副賞になるべくお金をかけたくないでしょう。だから、変なゴールドコインとか作って、それをもったいぶって渡すの。絶対、要らない(笑い)。スタバのカード1000円分とかのほうがよっぽどありがたいです。

菜野さん:『お金より名誉のモチベーション論』という本(太田肇・著、東洋経済新報社)に書いてありましたけど、実はお金を得るために働く経済人より、人からの承認を得るために働く承認人の方が多いと。

優季さん:信じられない……。

大戸菜野さん、薄井シンシアさん、松本優季さん
仕事は楽しいものだと思い込まないことが大事?
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シンシアさん:仕事から感謝だの名誉だの他人からの承認だの、給料以外のものをもらおうとしすぎているのかな。

優季さん:「今日の仕事は、楽しみですか。」という広告が炎上しましたけど、あれなんかは仕事に感情が入っていてもいいどころか、感情が伴っているべきだという感覚ですよね。

菜野さん:好きを仕事に、仕事は楽しいものだと思い込まず。もうちょっと仕事に対して冷静な気持ちでいたほうが心穏やかでいられるのかなと。それもきっと人によるけど、少なくとも私はそうですね。

シンシアさん:本当にそう。好きなことを仕事にできて、仕事が楽しい人もいるんだろうし、それは結構なことだけど、そうでない人を苦しい気持ちにさせないでほしい。仕事が楽しくないのなんて当たり前。お金をもらう側なんだから。それをみんな、みじめに思ったりしないでいこうよね、と私は言いたいです。

大戸菜野さん、薄井シンシアさん、松本優季さん
仕事について前向きに語ってくれた3人の言葉には、働く際に大切にすべきヒントがいっぱい詰まっていた
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◆薄井シンシアさん

薄井シンシアさん
薄井シンシアさん
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1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う大学のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラ社に入社し、オリンピックホスピタリティー担当就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia

撮影/黒石あみ 構成/赤坂麻実

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