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全国旅行割で秋の旅を楽しむ!「お得な利用法」と「穴場の旅プラン」を旅行ジャーナリストが解説

テーマパーク近くのホテルは意外と穴場(写真は「ハイアット リージェンシー 東京ベイ」)
テーマパーク近くのホテルは意外と穴場(写真は「ハイアット リージェンシー 東京ベイ」)
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旅のベストシーズンとなる秋を目前に、全国旅行割(全国旅行支援)の実施が発表されました。全国旅行割の概要や旅プランのヒント、穴場のおすすめスポットなどを、旅行ジャーナリスト・村田和子さんが紹介します。

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10月11日から全国旅行割が実施されることが発表されました。全国旅行割とは、現在実施中の県民割、ブロック割の拡大版と考えるといいでしょう。県民割、ブロック割は、居住地や近隣の都道府県への旅が対象でしたが、全国旅行割は住んでいる地域に関係なく全国が割引対象になるので、旅の選択肢がぐんと広がります。とはいっても実施に細かいルールの発表はこれから。いくつか取材をした旅行会社や宿でも、詳細がわからず確認中とのことです(9月26日現在)。

村田和子さん
旅行ジャーナリスト・村田和子さん
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準備が整い次第始まるかと思いますので、今は少し気長に待ちながら旅計画をするのがよさそうです。今回は現段階で押さえておきたいポイントをおさらいしつつ、おすすめ穴場スポットなどを紹介します。(※9月26日現在の取材情報をもとにしています。日々状況がかわるのでご注意ください)

最初に:国内で行きたい場所はいまのうちに行っておく

全国旅行割とともに、日本に入国する際の水際対策も緩和されます。円安やコロナ収束後に旅をしたい国として日本は世界第一という調査などもあり、私たちが考えている以上に急速に訪日旅行者が戻ることが予想されます。観光立国日本としては喜ばしいことですが、ひとりの旅行者視点で考えると観光地は混雑し、需給バランスに左右される旅の価格も上昇しそうです。

「あのときに行っておけば…」と後悔しないためにも、「行きたい場所があれば、いまのうちに」。いつか行きたいと思っていた場所、泊まってみたいホテルなどがあれば、この機会に計画をしてみてはいかが?

京都は宿泊施設のキャパが現状は供給過多で、宿泊施設も比較的リーズナブル。ただし紅葉シーズンの観光は混雑予想。夜間拝観なども活用を
京都は宿泊施設のキャパが現状は供給過多で、宿泊施設も比較的リーズナブル。ただし紅葉シーズンの観光は混雑予想。夜間拝観なども活用を
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全国旅行割のポイントは?気になる割引率は

概要は以下の通りです。旅行者から見たポイントは「交通機関とセットがお得」「休日より平日の旅がお得」ということ。ただし「平日・休日の区分がどういった宿泊に対して適用となるのか?」は、まだ発表がありません。接種証明については、県民割・ブロック割に倣って(3回の接種証明、あるいはPCRの陰性証明等)準備をしておきましょう。接種証明はアプリで表示できるようにしておくと、当日忘れる心配がありません。

<全国旅行割のポイント>

・居住地に関係なく全国への旅が対象
(※ただし参加を希望しない都道府県があれば、その都道府県が旅先の場合は割引対象外)
・「旅行代金の割引」と「地域クーポンの付与」の2本立て
・旅行代金の割引は40%とし、1人1泊あたりの上限がある
(ツアーなど交通とセットの場合1泊あたり8000円、宿泊単体の場合5000円)
・地域クーポンの付与は、平日・休日で異なる(平日3000円分・休日1000円分)

全国旅行割では、需要を分散させるため平日の方が地域クーポンの額がアップする
全国旅行割では、需要を分散させるため平日の方が地域クーポンの額がアップする
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交通費がセットのツアーがねらい目!でも、注意点あり

飛行機や新幹線、高速バスなど、遠方への旅の場合は、交通機関と宿がセットになった、ツアーやダイナミックパッケージの方が、個別手配よりもお得です。交通費も含めた金額が割引対象となるうえ、上限も1泊あたり8000円(宿泊単体だと5000円)となります。旅行会社が主催するツアー、交通機関でも宿とのパッケージを扱っているところが多いので、チェックしておくといいでしょう。

ただし、ツアーやダイナミックパッケージは、旅行商品のため、早期からキャンセル料がかかり、日時変更ができないなど制限もあります。この秋は鉄道開業150周年でJRからお得な切符の販売もあります。ご自身の旅の目的やスタイルとあわせて、総合的に検討されることをおすすめします。

新幹線
予定変更がある場合のツアー利用は注意が必要。なおキャンセルした場合は割引前の料金に対してキャンセル料がかかるので注意
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宿泊費単体の割引分岐は1泊1万2500円!平日なら実質4500円、休日は6500円で泊まれる

宿泊単体の割引上限は1泊5000円、割引は40%となるので、ギリギリまで利用できる宿泊代金は、割り返すと1泊あたり1万2500円となります。1万2500円相当の宿泊が平日ならクーポン付与を加味すると、実質1泊4500円、休日なら1泊6500円となります。宿泊代金1万2500円を超えると、それ以上の費用は割引がないと考えることができるので宿泊費が高額になればなるほど、お得感という意味では薄れます。

なお、宿泊についてはOTA(オンライントラベルエージェンシー)で配布されるクーポンを利用するほか、宿泊施設によっては直接受け付けるところもあります(※過去の同様の施策と同じなら)。

OTAのクーポンは手軽な分、早期に予定枚数に達してなくなることも。泊まりたい宿がある場合は直接連絡をしてみるのも手です。

旅行ジャーナリストおすすめの場所は?穴場は都市部とテーマパーク?

マイクロツーリズムや車旅が人気だったこともあり、首都圏や大都市近郊の温泉地やリゾートは混雑しています。また秋は紅葉があり、シーズン中は週末を中心に混雑が見込まれます。

紅葉と温泉の両方を楽しめる場所は、価格も上がり、混雑も心配。密を避けるためには、欲張らないことがポイント。紅葉がメインなら温泉地以外へ、温泉が目的なら紅葉シーズンを外した期間に旅するなど、条件を少し緩和してみましょう。私のおすすめは、紅葉のイメージが薄い都市部(東京・大阪・名古屋・札幌・福岡など)への旅。

もみじ
都市観光をしながら、身近な秋を探してみるのもいいのでは?
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コロナ禍でアクティブな旅はご無沙汰というかたも多いことでしょう。飛行機や新幹線を使ってちょっと遠くの都市へ旅し、洗練された美食や都市観光、あるいはコンサートやイベント等を楽しむのもいいのでは? 全国旅行割を利用すれば、いつもより少し贅沢な宿へ滞在もできるでしょう。都市部は意外と公園などの緑が多く、高層階など眺望のよいホテルなら、眼下に紅葉も楽しめるはず。

個人的に穴場だと感じるのが、テーマパーク近辺のホテル。東京ディズニーリゾートや大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン近辺は、訪日外国人の利用も多く、コロナ前に多くのホテルが開業しています。現段階では、訪日旅行者も戻っておらずホテルは供給過多気味。価格も比較的リーズナブルです。テーマパークを利用せずとも、ホテル館内でテーマパークの非日常感が味わえるところもありますし、パーク周辺の商業施設を楽しむのもいいでしょう。

夜になると夜景も美しい(リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)
夜になると夜景も美しい(リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)
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豪華なロビー。高速バスの停留所もホテル前にあって東京からも利用しやすい(リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)
豪華なロビー。高速バスの停留所もホテル前にあって東京からも利用しやすい(リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)
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リゾート気分を楽しむという意味では、例えば大阪のUSJ近隣なら、「リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(https://hotel-liber.jp/)は、夜景が素晴らしく、地下からくみ上げた天然温泉が楽しめるお洒落なスパも人気です。また大人から子連れまで楽しめるコンセプトルームもあります。https://www.murata-kazuko.com/article/485543226.html

ディズニーリゾートの近くには、海を臨むホテルもあります。例えば新浦安にある「ハイアット リージェンシー 東京ベイ」(https://hyattregencytokyobay.jp/top/)は、公園に隣接し海を臨む素晴らしいロケーション。ルーフトップ バーは大人の雰囲気で、館内はコシノジュンコ氏のアートが飾られるなど、上質なリゾート気分を楽しめます。

ハイアット リージェンシー東京ベイは結婚記念日や誕生日など記念日利用も多い
 ハイアット リージェンシー 東京ベイ」の吹き抜けのロビーは、コシノジュンコ氏の作品などが飾られたアートな空間。本格的なレストランも備え、結婚記念日や誕生日など記念日利用も多い
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秋は潮風に吹かれながらグラスを傾けるのもいい季節(ハイアット リージェンシー東京ベイの海を望むルーフトップバー)
秋は潮風に吹かれながらグラスを傾けるのもいい季節(「ハイアット リージェンシー 東京ベイ」の海を望むルーフトップ バー)
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交通機関といっても種類はいろいろ。船も対象になる!?

GoToトラベルでは、クルーズやフェリーなどの船旅も割引対象になりました。外国客船は年内の運航はありませんが、国内のクルーズ船3隻は運航をしています。

クルーズの非日常感は格別(にっぽん丸の甲板から富士山を望む)
クルーズの非日常感は格別(にっぽん丸の甲板から富士山を望む)
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そしてコロナ禍で注目されているのが、フェリー。イマドキのフェリーは内装やサービスも充実。全国旅行割の対象になるかは決まっていませんが、注目しておきたい旅スタイルです。

例えば移動は「フェリーさんふらわぁ」の広いバルコニーのあるデラックスルーム、現地では星野リゾートの温泉旅館「界」(別府・霧島など)での宿泊がセットになった「ドラマティック船旅湯治プラン」なども登場。

「フェリーさんふらわぁ」のデラックスルームは、広々バルコニー付き。特典のスパークリングワインで乾杯!(ドラマティック船旅湯治プラン)
「フェリーさんふらわぁ」のデラックスルームは、広々バルコニー付き。特典のスパークリングワインで乾杯!(ドラマティック船旅湯治プラン)
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自家用車を連れてクルーズ気分が味わえ、宿泊は温泉旅館へ滞在し、温泉や会席料理が味わえると人気です。

船旅の続きのような海を一望する客室(界 別府)
船旅の続きのような海を一望する客室(界 別府)
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ドラマティック温泉街がテーマの界 別府。昼と夜のイメージの変化が楽しい
ドラマティック温泉街がテーマの界 別府。昼と夜のイメージの変化が楽しい
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新日本海フェリー、東京九州フェリー、阪九フェリーでは、マイカーと共にフェリーへ乗船、ドライブも組み入れた日本周遊のツアーを販売しています。日本一周マイカープラン(nihonyissyu-aki-standard.pdf)は、北海道、関東、関西、九州などから出発OKです。ガソリン高騰の折、フェリーもうまく活用して日本の秋を満喫するのもいいですね。

フェリーもうまく活用して
フェリーとドライブを組み合わせて(日本一周マイカープラン)
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北海道での寄航は小樽。運河沿いを散策したり、アートスポットや食も楽しめる(日本一周マイカープラン)
北海道での寄航は小樽。運河沿いを散策したり、アートスポットや食も楽しめる(日本一周マイカープラン)
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フェリーや船旅が全国旅行割の対象になるかは9月26日現在未定ですが、私見をいえば、全国旅行割は交通機関へのサポートが厚めの施策。GoToに倣う可能性が高いのではないかと思います。ただし移動をするため、地域クーポンの取り扱いなど独自に設定が必要なこともあり、時間は少しかかるかもしれません。旅は日常や人生を豊かにしてくれるもの。ぜひ上手に割引も活用しながら、パワーチャージをしてください。

全国旅行割については、まだ状況が見えない部分も多いので、実際に利用の際は最新情報の確認もお忘れなく。

◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

村田和子さん
旅行ジャーナリスト・村田和子さん
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旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)

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