炊飯器の内釜は、調理鍋と同様に、使用年数に応じて多少なりとも劣化していきます。そこで気になるのが、内釜は劣化した状態でも使い続けていいのかということ。ベストな買い替え・交換のタイミングとは? 「炊飯器の内釜」にまつわるさまざまな疑問について、家電ライターの田中真紀子さんにQ&A形式で解説してもらいました。
Q:内側のフッ素コーティングが剥がれてきた!そんなとき、どうする?
内釜を何年も使い続けていると、ご飯がこびりつきにくくするために施された内側のフッ素コーティングが剥がれてくることも。おいしいご飯を炊くためには内釜を買い替えた方がいいのか、そのまま使い続けても問題ないのか、気になりますね。田中さんの答えは?
A:基本的に、使い続けて問題なし!
「内釜から剥がれるのはコーティングされたフッ素部分ですので、剥がれても本体の性能自体に問題はありません。またフッ素は体内に入っても問題ないとされています。ただし、剥がれたところは、ご飯のこびりつきや焦げつきの原因になり、お手入れの負担が増えることも。気になる場合は買い替えたほうがいいでしょう」(田中さん・以下同)
Q:そもそも、フッ素が剥がれる原因は?
A:クレンザーや金属製のたわし・泡立て器を使うと剝がれやすい
「内釜でお米を洗うとフッ素加工が剥がれると思っている方も多いようですが、ほとんどのメーカーでは基本的に内釜でお米を洗ってもよいとしています。ただし金属の泡立て器など硬いもので洗うと、フッ素が剥がれやすくなります。クレンザーや金属たわしで洗ったり、内釜に汚れた食器を浸しておくなど洗い桶のように使うことも、フッ素が剥がれる原因になります。
もし手でお米を洗いたくない場合は、専用の洗米機も販売されています。たとえば象印マホービンの『洗米器』はレバーを回すだけで、内釜はもちろん、お米も傷つけることなく、糠を落とすことが可能。こうした製品を使うのもひとつの方法ですね」
Q:炊飯器の内釜だけ買い替えることは可能?買い替えの目安は?
A:内釜が変形したら、買い替え時
「内釜が変形してしまった場合、炊飯器本体内できちんと熱が伝わらないなど、本来の機能が果たせなくなる可能性があります。できるだけ早めに買い替えましょう。
ただし家電製品には、補修用性能部品の保有期間(修理のための部品を保有しておく期間)が定められており、炊飯器の場合は製造を終了してから6年となっています。タイミングによっては内釜が購入できない場合があるので、ご注意を。
また内釜だけ購入すると、割高に感じることもあるかもしれません。私も以前、高級炊飯器の内釜を購入しようと思ったら、4~5万円することがわかり、断念しました。本体購入価格に対して割高に感じた場合、新しい炊飯器に買い替えるのもいいでしょう。
なお炊飯器によっては、取扱説明書通りに使用してもフッ素の剥がれなどが起きた場合、保証期間内であれば無償で内釜を交換してくれるものもあります」