
家族や友人への贈り物や旅行先でのお土産の発送、さらにはフリマアプリでの商品送付など、配送サービスは生活に欠かせないものです。宅配便と郵便局のゆうパックはいずれもコンビニから発送でき、一見似たようなサービスに感じますが、どんな基準で選ぶのがお得なのでしょうか? 節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えていただきました。
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ゆうパックと宅急便の料金システムを比較
まずは宅配便と郵便局のゆうパックを比較してみましょう。宅配便の大手にはヤマト運輸と佐川急便がありますが、ここではコンビニでの集荷が可能なヤマト運輸の宅急便を取り上げます。
重さと箱の大きさ、大きな方でサイズが決まる宅急便
宅急便の料金は「60サイズ」(縦・横・高さの3辺計60cm以内、2kgまで)が最小で、最大「200サイズ」(3辺計200cm以内、30kgまで)までの8段階展開されています。
発送物のサイズと重さでそれぞれの基準があり、金額が高い方が料金に適用されます。つまり、箱が小さくても、重いものは重さの料金が基準に、軽くても箱が大きい場合はサイズの料金が基準になります。そして、基準の料金に距離(エリア)に応じた料金がプラスされ、送料が決まります。

ゆうパックは3辺合計でサイズが決まる
ゆうパックは重さの最大が25kgと決まっていますが、料金は3辺の合計のみが基準になります。最小は宅急便と同様に「60サイズ」、最大は「170サイズ」の7段階です。また、25〜30kgのものは重量ゆうパック(サイズ展開は「ゆうパック」と同様)で送ることができます。
ゆうパックも基本料金に距離(エリア)に応じた料金が上乗せになる形で、送料が決まります。
発送の方法と割引の違い
それぞれの事業者が展開する割引は数多くあります。その中でも、年間の配送個数などが関係なく、手軽に利用できる割引についてチェックしておきましょう。
宅急便はクロネコメンバーズになるとよりお得
発送の方法としては、集荷のほか、ヤマト運輸営業所やコンビニエンスストア、商店などの取扱店への持ち込みがあります。コンビニはセブン-イレブン、ファミリーマート、ニューデイズなどです。
持ち込みの場合は送料から1個あたり100円が引かれます。また、無料のクロネコメンバーズに登録していて営業所に持ち込んだ場合は、150円引きになります。
ちなみに、「宅急便をスマホで送る」「らくらく送り状発行サービス」「自宅で送り状発行」といったサービスを経由して発送手続きをすると、「デジタル割」としてさらに60円引きになります(「デジタル割」は集荷の場合も適用)。これらのサービスは伝票を手書きする必要がなく手間を省くことができます。

また、現金の場合とヤマト運輸独自の電子マネーで支払った場合で送料が異なります。プリペイドカードタイプの電子マネーで使える「クロネコメンバー割」は送料が10%割引、「クロネコメンバー割BIG」(チャージ金額の条件あり)は15%割引となります。
郵便局の「ゆうパック」も「持込割引」アリ
「ゆうパック」は郵便局はもちろん、取扱所やコンビニエンスストア(ローソン、ミニストップ、セイコーマートなど)に持ち込むと、「持込割引」が適用され1個につき120円の割引があります。また、「ゆうパックスマホ割アプリ」を活用すると、180円引きになります(「持込割引」は適用されません)。

郵便局は集荷を実施していないイメージがあるかもしれませんが、「ゆうパック」、「レターパックプラス」、「EMS」、「国際小包」は無料で集荷してもらえます。
金額と手軽さを考えてサービスの選択を
「東京から福岡へ、60サイズ(2kg以下)の荷物を1つ発送する」という条件で、発送した場合の送料を比べてみましょう。見積もりはそれぞれの公式サイトで出すことができます。
シンプルな送料を比較すると「ゆうパック」が安い
まず、送料は宅急便で1370円、「ゆうパック」で1300円です。割引を適用しない場合は郵便局が安くなります。また、それぞれ「持込割引」を適用した場合、宅急便が1270円で、「ゆうパック」が1180円なので、やはり「ゆうパック」の方が安くなります。
割引を最大限適用すると宅急便に軍配
では、宅急便でこれまでに紹介した割引を最大限に活用した場合を試算してみます。ただし、「クロネコメンバー割BIG」は最低チャージ金額5万円からの大口向けのため、3000円からチャージできる「クロネコメンバー割」を適用した場合で考えます。キャッシュレス価格の1364円から「クロネコメンバー割」で10%(136円)割引きの1228円になります。さらに、クロネコメンバーズの直営店「持込割引」で150円引き、「デジタル割」で60円引きの合計352円を引くと1018円となります。
一方、「ゆうパック」は、「ゆうパックスマホ割アプリ」で180円を引くと1120円になり、宅急便の方が安く済む計算になります。

条件次第でさらに割引になることも
このように考えると、割引を最大限に利用するのであれば、宅急便がお得です。ただ、発送場所が近くにない場合などは余計な手間がかかってしまうので、使い勝手と送料のバランスを考えながらどちらかを選んで発送すればいいと思います。
また、同一発送割引や継続利用割引など、条件次第でさらに割引になる場合もあるので、事前に条件を確認したうえで配送業者を決めるのもお得に荷物を送るためのポイントです。
※送料や割引などの情報は2022年10月26日現在
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/吉田可奈