水虫にならないために…予防と治療法
水虫の菌が皮膚に付着したからといって、すぐに水虫になるわけではありません。
「白癬菌が皮膚に入り込むまでに24時間ほどかかります。スポーツクラブなどでシャワーを浴びても、家についたら足だけは石鹸を使ってよく洗う習慣をつけましょう。そしてよく拭いて、乾燥させることが大切です。指の間も忘れずに。これを家族で徹底できるといいですね。家族に水虫の人がいると、床からも感染します。家族でスリッパを個別にすること、素足で歩かないことも予防になります。
女性は服装に合わせるために靴を何足も持っているかもしれませんが、冬の時期は連日同じブーツを履くこともあるのではないでしょうか。それではブーツが乾く間もなく履き続けることになるので、菌が増えやすくなってしまう。できれば3足くらい用意して、ローテーションにするのがベストです」
自己判断せず皮膚科へ
水虫かなと思ったら、自己判断をせずに皮膚科で診断してもらうと安心です。
「接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎など、水虫に似た症状の病気もあります。水虫だと決めつけて市販の薬を使っても、治らないかもしれません。反対に、角質増殖型の場合は、冬の乾燥でかかとの皮膚がガサガサになっていると考えて軽石などで擦ってしまい、その細かい傷から菌が入り込んで水虫が悪化することもあります。ですから医師に診断してもらって、適切な治療をしていくことが大事です」
水虫のような症状が現れては治ることを何年も繰り返している人は、実はずっと水虫に侵されている可能性があります。
「水虫は一見治ったように見えても、菌が皮膚の中に潜んでいることがあります。この場合も、皮膚科で診てもらって、症状が軽いうちに治療してしまいましょう」
コロナ禍のため、これまでは外出を控えていた人も、コロナの状況によっては、旅行や外出の機会が増えるかもしれません。
「家族がステイホームをしていれば、外から水虫の菌を家に持ち込むことはありませんでした。しかし、旅行先や忘年会、ホームパーティーにお呼ばれするなど、行動範囲が広がるほど、感染する可能性は高くなります。人との接触を避けて通販をしていた洋服も、店内の試着室を利用すれば、カーペットから菌をもらうこともあるかもしれません。
これまで自粛をしてきたのですから、イベントや買い物を大いに楽しみたいものですが、家に帰ってきたら、しっかり足を洗うくせをつけたいですね。乾燥する冬の季節は、皮膚に潜む菌が減少しているので、水虫を完治する絶好の機会ですよ」
◆教えてくれたのは:医学博士・健康科学アドバイザー・福田千晶さん
1988年に慶應義塾大学医学部卒業。医師として東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学科勤務を経て、1996年より、フリーランスの健康科学アドバイザーとしてテレビやラジオ番組への出演、執筆、講演などで活動。『そもそも血糖値ってなんですか?』『高たんぱく質レシピ151』 (ともに主婦の友社)、『危ない! 命を縮める健康法』(アントレックス)など著書・監修書多数。https://fukuda-chiaki.com/
取材・文/小山内麗香