体温を上げるために取り入れたい生活習慣
低体温を予防・改善するには、熱を生み出す筋肉と内臓の運動量を高め、体温調整を司る自律神経のバランスを整えることが重要です。生活のなかで気をつけたいポイントを見てみましょう。
朝食をとる
朝食を摂らないと1日を通して体温が上がりづらくなることが分かっています。食事をすると消化器がぜん動運動を行い、そこから得られた熱で体温が上昇します。
生活活動量を増やす
筋肉の運動量を高めるために、特別なスポーツや運動は必要ありません。エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、外出時は徒歩で移動する、自動車を入り口から遠い駐車スペースに止めるなど、工夫して歩く機会を増やしましょう。
睡眠の量と質を確保する
睡眠不足は自律神経のバランスを乱すことが知られています。睡眠は量だけでなく質も重要で、質は目覚めたときの気分でわかります。スッキリとしていて、体の疲れもとれていれば大丈夫。目覚めがスッキリしない場合は、寝る前にリラックスすることを心がけてみましょう。
低体温には漢方薬もおすすめ
低体温の改善には漢方薬も役立ちます。低体温の原因として「体にたまった余分な水分が原因で冷えやすい」「血流が滞りすみずみまで熱が運ばれない」「胃腸の働きの低下や栄養の偏りが原因で熱を生み出せない」などが考えられます。
そこで、「余分な水分を排出して冷えを解消する」「血液の巡りをよくして全身に熱を届けやすくする」「代謝を上げて、熱を作る機能を回復する」などの作用のある漢方薬を選びます。
漢方薬は低体温の原因に根本からアプローチするため、冷えにくい体を手に入れることができます。また、自然由来、自然の生薬からできていて一般的に副作用が少ないとされているため、初めての人でも安心して利用できるでしょう。
低体温にお悩みの方におすすめの漢方薬2つ
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体内を流れる赤い液体である「血(けつ)」の不足を補い、血行を整えることで、余分な水分を取り除いて冷え症を改善する漢方薬です。疲れやすく、貧血症状がある人に用いられます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
エネルギーである「気」の流れを整え、不足した「血」を補うことで、冷え症を改善する漢方薬です。肩がこり、疲れやすく、イライラなどの精神症状のある人に用いられます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小原水月さん
おはら・みづき。管理栄養士。ダイエット合宿所、特定保健検診の業務に携わりのべ600人以上の食事と生活習慣をサポート。自身が漢方薬を使用して体調回復した経験から、栄養学と漢方を合わせたサポートを得意とする。あんしん漢方(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)などで執筆中。