
満50歳から入会でき、乗車券の割引などさまざまな特典があるJR東日本の会員組織「大人の休日倶楽部」。中でも注目なのが年に3回発売される「大人の休日倶楽部パス」。なんと4日間JR東日本管轄(※新幹線普通車指定席6回含む)が乗り放題で、1万5270円と破格です。現在は、2023年1月12日(木)~1月24日(火)の間に乗車できる「大人の休日倶楽部パス」が発売中。ひとり旅で利用した旅行ジャーナリストの村田和子さんが旅の模様を交えつつ利用のヒントをお届けします。
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「早く50歳になりたい!」と利用を待ち焦がれていた「大人の休日倶楽部パス」。やっと念願が叶って行ってきました東北ひとり旅。料金を気にせず新幹線を乗り降りでき、「えきねっと」とあわせれば指定席もスマホから手配OK。安いし便利だし、使わない手はありません。
今回は「大人の休日倶楽部パス」を使った旅の模様を交えつつ利用のヒントをご紹介します。なお、購入には「大人の休日倶楽部」への入会が必要ですが、通常はwebからの入会なら1週間程度で手続きが完了。次回利用分(2023年1月12日~1月24日)も、まだ間に合います!

「大人の休日倶楽部パス」は東京から仙台までの往復だけで元が取れる!
「大人の休日倶楽部パス」は、JR東日本のフリーエリアが4日間乗り放題。新幹線や特急の指定席予約も6回まで利用OKと、自由度が高いうえに価格は1万5270円と破格です。
どれくらいお得かといえば、東京駅から東北新幹線の終点「新青森駅」までは、往復3万3260円(※往復割引適用)。なんと半額以下でいけることになります。比較的近いイメージの仙台駅でも、東京駅から単純往復で2万2420円ですからそれだけで元がとれます。

指定席予約が6回できるので、途中下車をして観光しながら北上するのもいいですし、新幹線をフルに活用した旅、日本海や太平洋の沿岸のローカル線を楽しむのも(※季節と天候には留意)いいでしょう。
なお鉄道の旅は、荷物を持ち歩くことになり、地方ではエレベーターのない駅などもあります。できるだけ荷物を軽くし、キャスターの場合も階段を昇り降りできる重さまでにするのが賢明です。
荷物の持ち運びが負担に感じるときは、例えば仙台や盛岡などの都市部に連泊で宿をとり、そこを拠点に日帰り旅行をするのもおすすめです。大きな荷物は部屋に置いたまま、身軽に旅ができるので体への負担も少なく、新幹線を利用すれば日帰りでも遠方までダイナミックな旅が楽しめますよ。
「大人の休日倶楽部パス」ひとり旅で東北4県を堪能
今回の旅テーマは「被災地の今&レトロ」。冬場のひとり旅ということもあり都市を中心に計画しました。

私の「大人の休日倶楽部パス」旅のスタートは福島県の湯本駅でした(「スパリゾートハワイアンズ」の最寄駅)。鉄道旅の前日に、実は福島県の「スパリゾートハワイアンズ」に滞在。東京からスパリゾートハワイアンズまでは宿泊者専用の無料送迎バスを利用したので交通費の上乗せもなく、「大人の休日倶楽部パス」と合わせれば、4泊5日の旅ができる裏技です。

えきねっとで予約・購入済の「大人の休日倶楽部パス」を湯本駅で受け取り、いよいよ旅の本番はここから。プライベートで計画した旅の模様をお届けします。
1日目:湯本駅(JR常磐線「特急ひたち」)→仙台駅
東京から無料送迎バスが利用できる福島県の「スパリゾートハワイアンズ」に1泊し、ここからが「大人の休日倶楽部パス」の旅。福島県・湯本駅を出発して向かったのは仙台。東日本大震災の影響で不通となっていたJR常磐線が全線開通したのは2020年3月のこと。長く立ち入りが制限されていた二葉町や浪江町などを通り、東京・品川駅から仙台まで特急ひたちでアクセスができるようになりました。


2日目:【1】仙台駅⇔石巻駅 (JR仙石線 普通列車利用)
今回は仙台の観光はせず、ホテルに荷物を預けてJR仙石線で石巻へ。震災後には甚大な被害を受けた「石ノ森萬画館」も元気に営業中です。ただ一帯は津波の被害も大きく更地のままの箇所も。復興はまだまだ半ばだと改めて感じます。






2日目:【2】仙台駅(新幹線「はやぶさ」)→盛岡駅
仙台駅に戻り、ホテルで荷物をピックアップしたら新幹線で盛岡へ。盛岡駅近辺はレトロな建物が多く、女子旅にもおすすめ。
今回は辰野金吾設計の「岩手銀行赤レンガ館」と、バスセンターにできた「HOTEL MAZARIUM(マザリウム)」を目当てに向かいます。「HOTEL MAZARIUM」は、福祉実験ユニット「ヘラルボニー」がアートプロデュースを手掛けるホテルです。




3日目:盛岡駅(新幹線「はやぶさ」)→新青森駅→青森駅(青い森鉄道)→浅虫温泉
盛岡駅を後にして、新青森駅へ。さらに、青森駅から青い森鉄道で浅虫温泉駅へ向かいます。

訪れたのは棟方志功ゆかりの宿「椿館」。棟方志功は椿館で逗留しながら創作活動をしていたとのことで、ロビーや廊下には作品や写真など貴重な資料がたくさん! 食事に温泉に、ひとり旅を満喫。

4日目:浅虫温泉駅(青い森鉄道)→青森駅→新青森駅(新幹線はやぶさ)→東京駅
宿をチェックアウトし、浅虫温泉駅周辺を散策。途中の青森駅でちょっと観光&お土産を購入して、早めに帰路へつきました。



「大人の休日倶楽部パス」はどうやって買う?「えきねっと」がイチオシ
価格を気にせずに行きたい場所へアクセスできるのは、何とも言えない開放感がありますよ。
「大人の休日倶楽部パス」はJR東日本の会員組織「大人の休日倶楽部」の会員限定のきっぷなので、利用するには、まず「大人の休日倶楽部」の会員になることが必要です。入会資格は満50歳以上で、年齢により「ミドル」と「ジパング」があり年会費や特典も異なります。今回は満50歳から入会できる大人の休日倶楽部ミドルを例にご紹介します。

「大人の休日倶楽部」の会員に申し込む
専用のクレジットカード「大人の休日倶楽部ミドル」へ申し込むことで入会となります。年会費は2624円(会員費2100円+カード年会費524円。初年度は無料)。Webから申し込みをすれば1週間程度でクレジットカードが手元に届くので、1月に「大人の休日倶楽部パス」を利用したい方は早めに手続きを。
なお、「大人の休日倶楽部パス」以外にも、会員限定のきっぷの発売やJR東日本やJR北海道の乗車料金が5%引きになるなどの特典もあります。
会員限定のきっぷの購入は、みどりの窓口や券売機でOK
「大人の休日倶楽部パス」は、みどりの窓口のほか駅の券売機で「大人の休日倶楽部ミドルカード」(クレジットカード)を利用して購入ができます。特急や新幹線の指定席も「大人の休日倶楽部パス」を挿入すれば、券売機で手配ができます。

私のおすすめは「えきねっと」の利用。「大人の休日倶楽部パス」を「えきねっと」で購入すると、その履歴を利用して指定席特急券も0円で6回までネット上で予約ができます。受け取りまでは予約の変更も可能で、座席もシートマップから選べるので、ネットの利用が苦でなければ便利です(乗車前に駅の券売機でチケットの受け取りが必要です)。
冬ならではの旅支度 宿へは早めに、天候に注意し装備も万全に
最後に冬の雪国を旅する場合はいくつか注意が必要です。暗くなると初めての場所は勝手がわからないので日没までに宿に入るのをおすすめします。また天候や悪天候による列車の運行情報にも注意しましょう。

これからの季節、足元は雪仕様の靴が必携です。また雪が降ると屋外はキャスターが転がらないことがあります(駅から徒歩3分のホテルなので歩いて行こうと思って大変な目にあったことがあります)。屋内は総じて暖かく、列車内も例外ではありません。脱ぎ着がしやすい重ね着スタイルがおすすめです。

装備は必要ですが、冬ならではの神秘的な景色に出会える楽しみもあります。どうぞ、温かくしてお出かけください。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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