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低糖質ダイエットと低脂肪ダイエット、どっちが痩せやすい?続けやすいのは?管理栄養士が解説

食事イメージ
低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットについてプロが解説(Ph/photoAC)
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低糖質ダイエットと低脂肪ダイエット。よく比較されるダイエットですが、実際やせるのはどちらのダイエットなのでしょうか? これまでのべ1万人の栄養指導に携わってきた管理栄養士の菊池真由子さんは、低糖質ダイエットも低脂肪ダイエットも一定の期間続ければ効果は出るといいます。菊池さんにそれぞれのダイエットのポイントとキープのコツを教えてもらいました。

早く落とすなら低糖質、維持するなら低脂肪

「糖質は、過剰に摂れば余分なものは脂肪に変換されて蓄積し太る原因になります。低糖質ダイエットとは、糖質を減らして脂肪の蓄積を抑える方法。糖質は、炭水化物から食物繊維を除いたもので、ご飯やパン、麺、いも類、果物やスイーツに多く含まれています。食物繊維が多く糖質少なめの玄米や雑穀米、全粒粉パンなどは、低糖質ダイエット向きです。

一方、低脂肪ダイエットは、太る直接の原因となる脂肪を減らす。揚げ物の量を減らす、肉の脂身は除く、ノンオイルドレッシングを使うなど、脂肪の摂取量を減らして太りにくい体に整える方法です」(菊池さん・以下同)

体重計に乗る女性
糖質は脂肪の蓄積を抑える、低糖質は太りにくい体を作るダイエット法(Ph/イメージマート)
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低糖質は1年後にリバウンド

では、低糖質ダイエットと低脂肪ダイエット。どちらが有効なのでしょう?

低糖質ダイエット、低脂肪ダイエット、ほか2種(ゾーンダイエット、オーミッシュダイエット)を、ダイエットのスタート時から体重変化を比較した2007年の研究結果があります。(参考文献:Gardner,CD,,et.al.,JAMA.2007;297:966-977.)

「低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットだけをピックアップし、現用した体重を比べてみましょう。糖質または脂肪以外の量は減らさず、好きなものを好きなだけ食べていい、という条件つきです」

2か月後 

低糖質ダイエット:マイナス4.5kg

低脂肪ダイエット:マイナス3kg未満

6か月後

低糖質ダイエット:さらにマイナス1.5kg(スタート時からマイナス6kg)

低脂肪ダイエット:マイナス0.5kg(スタート時からマイナス3.5kg)

12か月後

低糖質ダイエット:プラス1~1.5kg(スタート時からマイナス4.5~5kg)

低脂肪ダイエット:ほぼ変化なし(スタート時からマイナス3kg)

低脂肪ダイエットは落とした体重を維持しやすい

「低糖質ダイエットも低脂肪ダイエットも体重は減っています。注目すべきは低糖質ダイエット。半年後にマイナス6kgですが、さらに半年経つと1~1.5kgリバウンドしています。

私が行ったダイエット指導の結果も同様で、低糖質ダイエットの場合は、おかずの量は変えずにご飯やパンの量だけを減らす。わかりやすく実現しやすいので効果が出るのも早めですが、満足感を得づらいので続けられない人が多い印象です。結果、ストレスでかえってドカ食いしリバウンドしてしまう。

ドカ食いイメージ
低糖質ダイエットはドカ食いの危険性がある(Ph/photoAC)
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一方、即効性はないものの、落とした体重を維持しやすいのが低脂肪ダイエット。始めから徹底的に脂肪を排除しなくても、まず揚げ物の量や食べる回数を減らす、続いて肉の脂身を除く、さらにマヨネーズをノンオイルドレッシングに変えるというように、段階を踏んで行えば低脂肪食は維持しやすい。揚げ物をよく食べる人ほど効果も出やすいですよ」

リバウンドせずにキープするコツは?

では、効果が出始めるにはどれくらいかかるのでしょう?

「個人差が大きいので3か月は覚悟して始めましょう。1~2週間続けると、かなり食事制限をしたダイエットをやってる感はありますが、効果の出にくい人がほとんどです。初の1~2週間で体重が1.5kg以上落ちていたら、リバウンドしやすいので要注意。ダイエットは体重を落とすことよりも、その体重を維持する方が難しいので焦りは禁物です。

また、早くやせたいからと糖質や脂肪を完全に抜いてしまうのはNG。いずれも健康な体作りには必要な栄養素です。糖質を抜けばエネルギー不足になり体力や気力が落ちますし、脂肪を抜けばホルモンバランスの乱れや髪や肌のパサつきが生じます」

料理をしているイメージ
糖質や脂肪も大切な栄養素。抜き過ぎには注意(Ph/photoAC)
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全体の摂取カロリーを減らす

さらに、リバウンドせずにキープするにはどうしたらよいのでしょうか?

「いずれのダイエットも食べる量を減らす必要があるので、減らしやすい方を選ぶのが長続きのコツです。とはいうものの、低糖質にすると脂肪の摂取量が増え、低脂肪にすると糖質の摂取量が増える傾向にあります。いずれも物足りなさを補おうとしてしまうんですね。

糖質や脂肪の摂取量が増えればあっという間にリバウンドします。理想の体重を維持するには、糖質や脂肪だけに注目するのではなく、全体の摂取カロリーを落とすことも重要です。食事の量は慣れれば減らした量が適量になります」

まずは、3か月ダイエットにチャレンジしてみては。目標をクリアしたら、さらに続けてキープしましょう。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん

管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士・菊池真由子さん
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管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。新刊『食べて、やせる! おうちdeダイエット』(三笠書房・以下同)が2.5万部超えのヒット。10万部超えの『食べても食べても太らない法』などダイエットや美容に役立つ食事について解説した本がベストセラーに。https://www.diet-class.com/

取材・文/佐々木めぐみ

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