2023年の幕開けとともに、食料品や外食の値上げのニュースが続きます。昨年から続くインフレや物価高を乗り越えるために、今から家庭で取り組むべきことは何でしょうか。『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、これまで2万4000件の赤字家計を再生させてきた家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「貯める力が重要」と指摘します。
なぜ今「貯める力」なのか
「物価高・インフレの時代になっているのに、収入は増えないどころか減っている人さえいます。この状況を乗り越えられるかどうかは、メンタルの強さもありますが、貯金があるかどうかも大きい。私は、こんな時こそ『貯める力』が大事だと痛感しています」(横山さん・以下同)
横山さんがそう主張する理由は、大きく2つあります。
貯金はリスク対策になる
「1つ目は『リスク対策』です。このところ、いつものスーパーではいつもの食品の価格が値上げされ、気づけば光熱費も大きく増えている。そんな物価高・インフレの時代を迎えているのに、収入は増えないどころか、手取りが減っている人さえいるでしょう。
海外情勢が不安定さを増し、この先どうなるかが読みづらいなか、家計に貯金がないと、慌てたり、妥協したり、やりたいことをあきらめたり、さらには、騙されやすくなることもあります。そうならないためのリスク対策として、貯金は重要なのです」
「投資」を失敗しない
「貯める力」が求められる2つ目の理由はなんでしょうか。
「2つ目は『お金を増やすため』です。最近“貯蓄から投資へ”と言われていますが、最近、投資を始める人のなかには『みんながやっているから』『人にすすめられたから』という理由で、何も考えずに投資を始めてしまう人もいます。家計が赤字なのに貯金を切り崩して投資をしたり、カード払いで生活費を回しながら投資をしたりするケースもあります。
余剰資金で投資をしていないために、お金が足りなくなった時に損するタイミングで引き出すなど、“少額でも長期分散を”という投資の観点からは本末転倒なことをしている方も少なくありません。結局、十分なお金がないのに投資にチャレンジすると、必要以上の時間と労力をつぎ込んで、かえって赤字が増えてしまうのです」
「お金の基本の力」と横山さんが重視する「貯める力」がないまま投資に手を出せば、お金を増やすどころか減らすことにもなりかねません。