「貯める力」を身につける3つのステージ
横山さんは、お金にまつわる能力には以下の3つのステージがあると言います。これらを1つずつステップアップすることが大事で、ステージを飛び越すのは禁止です。
第1ステージ「お金を管理する」
「『お金を管理する』ことは実生活に関わるお金、つまり収支をマネジメントしていく段階です。家計簿を使ってお金の流れを把握する、無駄な支出は抑えるなど、お金と向き合って、コントロールができるようになるための、もっとも大切な基礎の時期になります」
お金の管理に慣れたら、「学び」の時期がやってきます。
第2ステージ「お金を学ぶ」
「第1ステージで管理できたお金を、今後どう活用するかを学ぶ段階にあたるのが第2ステージ『お金を学ぶ』です。投資は知識や情報が足りないと進歩がありません。まずはお金に関する本を読んだり、セミナーに参加するなどして学び、次のステップへ進むための準備の段階です」
ここで重要なのは、「実践に走らない」こと。没頭しすぎて生活のバランスを欠いたり、高リスクで利益を追求するだけの「投機」にハマらないようにするためです。
第3ステージ「お金を活かす」
「そして第3ステージは、管理して学んだお金を、実際に『活かす』時期です。つまり実践での投資になります。
投資と言っても、一攫千金を狙うようなものではなく、コツコツと積み立てる長期・分散で、やがてお金が膨らむことを期待し、将来の豊かな暮らしを目指しましょう」
「貯める力」のシンプルメソッド
「お金を管理する力」すなわち「貯める力」をつけるにはどうしたらいいでしょうか。
支出を3つに分けるだけ
「これまで10年以上にわたり2万4000件以上の相談を受けてきて、効果を確かめたのが『横山式90日貯金プログラム』です。メソッドはシンプル。支出を全て書き出し、消費(ショー)・浪費(ロー)・投資(トー)の3つに(自分なりの基準で)分けるだけ。
大事なのは無闇な節約ではなく、自分がお金を『何に、どう使ったか』を把握することです。今のような時代を乗り切るために必要なのは、『自分軸を持つ』ということ。これは、自分自身がどういうお金の使い方をよしと考えるのか、という軸を持つための取り組みです。“いくら使ったか”より、“何に使ったか”が大事なのです」
一般的に、家賃や生活用品といった項目は「消費」、嗜好品や投資のような投機性の強いものは「浪費」、資格取得のための勉強費用など将来の自分につながるものは「投資」になります。分ける基準は自分の価値観で判断して OKなので、まずは書き出し、3つに分けてみましょう。
「家計簿の目的は、細かなお金の出入りを把握するためではなく、お金の使い方や流れを知ることにあります。もっと言えば、消費・浪費・投資の3つの割合(バランス)を自分でわかるようにするためなのです」
まずは90日間やってみる
「支出の書き出し、ショー・ロー・トーに分けることを、まずは90日間やってみましょう。はじめから張り切りすぎる必要はありません。細分化して記録することにこだわりすぎてしまうと負担になり、続けられなくなってしまいます。細かくなりすぎず、おおまかに負担になりすぎない程度にやってみましょう」
必ずしもパソコンや家計簿アプリを使って入力する必要はありません。アナログ式に、手書きからでも始めてみましょう。
◆教えてくれたのは:家計再生コンサルタント・横山光昭さん
株式会社マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタントとして赤字家計の抜本的解決、確実な再生を目指す。個別相談・指導では独自の貯金プログラムを活かし、これまでに2万4000件以上の赤字家計を再生。著書『年収200万円からの貯金生活宣言』はシリーズ累計100万部、『はじめての人のための3000円投資生活』はシリーズ90万部のベストセラーに。2022年10月、『90日で「貯める力」をつける本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版。https://twitter.com/chokin_myfp