
冬になると、防寒対策もおしゃれも兼ねて出番が増える「ファー」や「ダウン」。ただ存在感があるだけに取り入れ方が難しい一面も。そこで、皇后雅子さまの冬のファーやダウンアウターを取り入れたファッションをチェック。その着こなしをスタイリストの横山麻里さんに解説してもらいます。
大人女性のファーやダウン、どんな取り入れ方が上品?
冬に大活躍するファー素材やダウンジャケットですが、ファーは取り入れる分量が多いと派手に見えたり、ダウンジャケットは形やデザインによってはカジュアルすぎたりしてしまうのがネック。大人の女性にはどんなファー、ダウンアウターを取り入れるのがおすすめなのでしょうか。
ファーは小物で取り入れてコーディネートのアクセントに
「ボリューム感があるので、取り入れるときは、コーディネートのアクセントになるようにするのがポイント。バッグやスト―ル、手袋といった小物で取り入れたり、洋服のデザインとして、襟や袖口、ポケットが部分的にファー素材があしらわれものもおすすめです。ファーコートなど面積の広いものではなく、トレンドのベストでファーを取り入れるなど、分量は少なめにコーディネートのどこかに取り入れると上品です。また、洋服のカラーになじませると、大人っぽい着こなしになります」(横山さん・以下同)
ダウンのアウターミディアム丈やベルトがマークされたもので上品に
「ショート丈は、カジュアルな印象になるので、大人ダウンは、ミディアム丈がおすすめです。ベルトマークされたデザインや、布帛とのMIXダウン、へちまカラーのように丸みのある襟など、女性らしいデザインをセレクトするとカジュアルさが軽減されます。また、どうしても上半身にボリュームが出るので、ボトムはきれいめパンツや、タイトスカート、ブーツを合わせて、Iラインを強調する着こなしにするとバランスがよくなります。アクセサリーは、パールや華奢なデザインを合わせて上品にまとめましょう」
白のダウンコートにファーの帽子でエレガントさを強調
1998年2月、長野五輪で、ジャンプノーマルヒルを観戦される天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。カジュアルなロングのダウンコートにファーの帽子をお召しでした。

「真っ白のダウンコートが目を惹くエレガントな着こなし。ボリュームのあるファーの帽子がポイントになり、華やかな雰囲気になっています。また、パールのイヤリングを合わせることで、カジュアル感が軽減され、女性らしいダウンコートスタイルになっています。
オールホワイトは季節問わず、魅力的なコーディネートですが、冬は一段とおしゃれに見えます。白のダウン×白のボトムを合わせた、ワントーンコーディネートはおすすめ。単調にならないように、パールのアクセサリーや、白のファー小物をプラスすると、コーディネートに上品なアクセントがつきます」
襟と袖にファーが付いたエレガントなロングコートで海外公務へ
2002年12月、雅子さまにとって約8年ぶりの海外公務で、ニュージーランドへご出発。

「襟と袖口にファーがあしらわれたネイビーのロングコートは、きちんと感もありつつ、ファーが女性らしさを醸し出し、高貴な印象になっています。ファーにボリュームがあるので、バッグはシンプルなデザインやカラーを合わせて、コーディネートになじませている点も素敵です。また、パールのアクセサリーを散りばめることで、気品漂うスタイルになっています。
コートの襟や袖口、ポケットにファーが部分使いされているコートは、着るだけで華やかになります。インパクトがあるので、合わせる洋服はシンプルにまとめると、ファーが強調され、バランスもいいです。カジュアルなデニムに合わせるきれいめカジュアルな着こなしや、ワイドパンツやプリーツスカートに合わせてエレガントな着こなしにも合います。
ファーは、トレンドのツイード素材との相性もよいので、ファー付きコートに、ツイードのトップスを合わせて、上品な大人な着こなしもおすすめです」
初めてのディズニーリゾートにはカジュアルなダウンコートで
2006年3月にご家族3人で初めてディズニーリゾートを訪れた貴重なショット。この日雅子さまはダウンジャケットをお召しでした。


「丸みのあるボリューム襟や、金ボタンのダウンコートは、女性らしく着られます。コート以外をダークカラーでまとめることで、コートが際立ち、お顔周りも明るい印象になっています。カジュアルな印象になりがちな、ダウンコートやタートルネックも、ジャケットやキレイめパンツを合わせることで、大人っぽい佇まいです。
ダウンコートは、カジュアルなイメージがあるので、合わせる洋服は、きれいめをセレクトすると、バランスがよく、大人が着ても落ち着いた雰囲気にまとまります。例えば、コート以外をワントーンでまとめたり、足元をスニーカーではなく、ブーツを合わせるなどすると、大人シックに決まります。冬は、洋服の素材も厚く、重たくなるので、パールなどアクセサリーをプラスすると、ツヤ感が出て、明るく軽やかな印象になります」
オフホワイトのダウンコートはシルエットがきれいめ
2008年1月、冬季国体開会式へのご出席などのため長野県を訪問された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。


「コートのステッチデザインがさり気なく、Xラインを強調するシルエットになっています。ダウンコートですが、スタンドカラーの襟元やステッチ使いでボリュームが抑えられているので、着るだけで上品な雰囲気になります。また色も、オフホワイトなのでとても優しい雰囲気に。中に着られたハイネックニットは、コートと色が合っているので、顔周りがすっきりとします。
ミディアム丈のコートは、パンツにもスカートにも合わせやすいので、おすすめです。グレンチェック柄のパンツにローファーで、トラッド風に仕上げてもよいですね。黒のパンツや、スカートを合わせて、モノトーン配色のエレガントな着こなしも素敵です」
シルエットがきれいなダウンコートのモノトーンコーデ
2009年12月、天皇ご一家(当時)で、こどもの国ご訪問。雅子さまは、ベージュのダウンコートにダークブラウンのパンツ、白のタートルネックというモノトーンコーデでした。


「白~ベージュ、ブラウン系でまとめたモノトーンコーディネートは、色合わせが、柔らかく、優しい印象になります。メリハリのあるデザインのコートに、Iラインを強調するパンツを合わせることで、すっきりと脚長効果のあるバランスのいいスタイルに。
ボリュームのあるダウンコートが苦手なかたも、雅子さまのお召しになったダウンコートのようにウエストがシェイプされたデザインや、ウエストマークやベルト付きのダウンコートをセレクトすると、スタイルアップしたコーディネートが完成します。パンツにショートブーツでカラーをつなげれば、よりスタイルアップ効果が期待できます」
母娘のそっくりの、ミディアム丈のダウン×ダークカラーのボトムで上品コーデ
2010年3月、長野のスキーリゾートには、おそろいのコートでお出ましに。ダウンコートはこれまで何度もお召になられてきたお気に入りの1着。


「ベージュのダウンコートにダークブラウンのパンツ、白のタートルネックの色味は、大人っぽく上品な配色です。そこに、雅子さまのように、丸みのあるデザインのバッグを合わせることで、女性らしさが加わっています。
ダウンコート×パンツスタイルは、重たい印象になりがちなので、小物にパテントやベルベット、ファーなど、洋服とは異なる素材を合わせると、コーディネートにアクセントが付きます。上品にまとめたいなら、小物を含め、全体のカラーはトーンを合わせるのがコツです」
→皇后雅子さまのおしゃれ際立つ若かりしお誕生日ショットはコチラ
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。
●華やかさが格段にアップ!皇后雅子さまが魅せる冬の帽子コレクション