
ドラマ『ヴィンチェンツォ』の主演で日本での人気が再燃したソン・ジュンギが今年1月、イギリス人女性と結婚と同時に相手女性の妊娠を発表するや、全世界の韓国ドラマファンを驚かせました。この3月20日には、「K-POP」という言葉が生まれる前から日本で活躍してきたアーティストのSE7EN(セブン)が、8年の交際を経て女優のイ・ダヘとの結婚を発表しています。今年の韓国芸能界もくっついたり離れたり、いろいろな話題が期待できそう! そんな韓流芸能界のおしどり夫婦&カップル最新事情を、韓国エンタメライターの田名部知子さんが解説します。
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「速度違反」はもはや死語!?
ソン・ジュンギの結婚もそうですが、儒教の国・韓国でもかつては「授かり婚」のことを「速度違反」という俗語で若干皮肉を込めて表現していましたが、最近は芸能界に限らず、おめでたいこととして肯定的に受け入れられているようです。
ソン・ジュンギは、ドラマ『太陽の末裔Love Under The Sun』(以下『太陽の末裔』)で共演した国民的女優のソン・ヘギョ(現在Netflixで放送中の『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』が話題沸騰中)と2017年に結婚。“ソンソン・カップル”というニックネームで、ヒョンビン&ソン・イェジンカップル並みの世紀のカップルとして国民の祝福を受けながら、2019年にスピード離婚したという過去があります。またこのクラスのビッグネームの国際結婚が珍しいこともあって、今回の結婚にも大変な注目が集まりました。
韓流初期の大ヒットドラマ『天国の階段』でチェ・ジウの子役として人気を博し、現在まで第一線で活躍している女優パク・シネは5年という交際期間を経て、2021年11月に俳優チェ・テジュンと結婚、同時に妊娠も発表しましたが、この結婚にはお互いのファンから祝福の声が相次ぎました。

韓国芸能人カップルあるある
韓国芸能人夫婦やカップルには特有の文化があります。彼らはよく互いの撮影現場にコーヒーや軽食などのキッチンカーを差し入れますが、その際、キッチンカーの看板に愛情のこもったユニークなメッセージを書いて送るのも定番です。

韓国にも文春砲的なWebサイトがあり(Dispatch)、恋愛を隠すときは徹底的に隠しますが、『Dispatch』に交際をすっぱ抜かれたあとは、堂々と交際宣言して公開恋愛を楽しむカップルが増えたのも最近の傾向です。そして彼らのファンもまた、推しをカップルごと応援するという新しいファンダムもできています。
2022年12月31日に熱愛説を認めたアーティストで女優のIUと俳優のイ・ジョンソクですが、久しぶりの大型カップル誕生は大きなニュースに。昨年末に日本でのクリスマスデートが目撃されたことにより交際が明るみに出ましたが、私はちょうどそのとき、東京で行われたイ・ジョンソクのファンミーティングの取材に行っていたのです。イ・ジョンソクが自然体でそのイベントを心から楽しんでいる様子は、今思うと“リア充”からの精神的な余裕だったのかなとも思えました。

危機を乗り越えたカップルも
ソン・ジュンギとソン・ヘギョのように別れてしまう夫婦もいれば、大きな夫婦の危機を乗り越えたビッグカップルもいます。2013年に結婚し、2015年には長男が誕生している元祖韓流スター、イ・ビョンホンと女優イ・ミンジョン夫婦は、熱愛発覚当時は年の差カップルとしても話題になりました。ところがイ・ミンジョンが出産を控えた時期に、元アイドルの女性との密会とその時のいかがわしい会話によってイ・ビョンホンが脅迫されるという事件が発覚。
イ・ビョンホンは公の場で騒動の謝罪をしましたが、韓国では公人の不倫にとても厳しい目が注がれるため、イ・ビョンホンはしばらく活動を控えた時期がありました。この件はイ・ミンジョンの寛大な対応により夫婦関係にひびが入らず、現在でも時々公の場でのラブラブな様子を見ることができます。

韓国芸能界のおしどり夫婦といえば…
イ・ビョンホンとイ・ミンジョン夫婦をはじめ、私たち日本人にもなじみ深い韓国芸能界を代表するおしどりカップルはたくさんいます。国民的俳優のチャン・ドンゴンと、女優コ・ソヨン夫婦は、1999年に映画『恋風恋歌』で共演し、2010年5月に結婚、一男一女をもうけました。

知人のパーティーで知り合ったというクォン・サンウとミスコリア出身の女優ソン・テヨン夫婦。突然の結婚発表に、前述の“速度違反婚”だとされましたが本人は否定。その後、ソン・テヨンの出産直前になって速度違反であることを認め、物議を醸しました。そんな話も今は昔、ファッション誌のグラビアに家族4人そろって登場したり、ソン・テヨンが仲のいい夫婦写真をインスタグラムにあげたりと幸せな様子がうかがえます。

ほかには、韓国芸能界No.1のおしどり夫婦と言われているチソン&イ・ボヨンや、ビジュアル最強のウォンビン&イ・ナヨンは誰もがうらやむ夫婦といわれています。


ゴールイン間近のロングランカップル
公開恋愛をスタートさせて以来、カップルごとファンに愛され続けている人たちもいます。現在Netflixで放送中の人気作『イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで〜』や『賢い医師生活』で主演を務めるチョン・ギョンホと少女時代のスヨンは少女時代の人気絶頂期の2012年から交際中で、今年で交際11年目を迎える超ロングランカップル。お互いの撮影現場にキッチンカーの差し入れをしたり、お互いのインスタグラムにハートフルなコメントを送ったりと仲睦まじい様子が公開されています。いつ結婚してもおかしくない2人ですが、現在、2人とも俳優として乗りに乗っている時期なので結婚はもう少し先かもしれませんね。

昨年、Netflixのドラマ『私たちのブルース』での共演が大きな話題になったキム・ウビンとシン・ミナのカップルは交際8年目で、シン・ミナのほうが5歳年上です。2017年に鼻咽頭がんを患ったキム・ウビンをシン・ミナが献身的に支え、キム・ウビンは『私たちのブルース』で見事に復帰を果たしました。本作ではそれぞれ別のパートナーとラブラインを展開させますが、韓国ドラマで実際のカップルがこのように共演するのはとても珍しく、その点でも話題になった作品です。

カップル目線で作品を見返すと新たな楽しみが
カップルの魅力を存分に楽しめるドラマといえばやはり、『愛の不時着』と『太陽の末裔』、そして『私たちのブルース』です。前者2作は、「このシーンの撮影時は絶対に付き合ってたはず!」などリアルなカップルぶりが楽しめますし、撮影当時のオフショット動画の親しげな様子などを見れば、「やっぱりな」となるはず。


『私たち~』については、キム・ウビンとシン・ミナのリアルカップルが実際に絡むシーンはないのですが、ジョンジュン(キム・ウビン)のヨンオク(ハン・ジミン)への惚れっぷりが見事で、ソナ(シン・ミナ)の存在には目もくれていない感じは当然といえば当然なのですが、俳優ってすごいなって思ってしまいます。そんな目線で作品を見返してみると、作品を見る目も変わってきますし、なによりまた一段と楽しく見ることができると思います。

◆韓国エンタメライター・田名部知子

『冬のソナタ』の時代からK-POP、韓国ドラマを追いかけるオタク記者。女性週刊誌やエンタメ誌を中心に執筆し、取材やプライベートで渡韓回数は100回超え。韓国の食や文化についても発信中。2023年1月、韓国ソウルで留学生活と人生初めての一人暮らしをスタート。大学が集まる新村(シンチョン)にある西江(ソガン)大学の語学堂に通う。twitter.com/t7joshi