
春には、何か新しいチャレンジをしたくなりませんか? 今回は昨年9月に開業した西九州新幹線を使った女性が気になる「美」が詰まった旅の模様を、旅行ジャーナリストの村田和子さんがレポートします。
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西九州新幹線は、2022年9月23日に開業した日本で一番新しい新幹線で、武雄温泉駅(佐賀県)と長崎駅(長崎県)の間を運行。途中在来線を挟みつつ、博多駅から長崎駅までを最速1時間20分で結びます。
遠方から飛行機で旅するなら、「福岡空港から入り長崎空港から帰る(あるいはその逆)」という行程も、気軽にできるようになりました。沿線には魅力的なスポットも多数ありますが、今回は女性におすすめの「佐賀・嬉野温泉」にスポットをあてご紹介します。
オシャレで快適!西九州新幹線「かもめ」とは?
西九州新幹線「かもめ」は、JR九州の多くのD&S(デザイン&ストーリー)列車を手掛ける工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインを担当。

列車の内装は、和洋折衷、クラシックとモダンが組み合わさったデザイン。指定席車両は2列×2列で座席が配さているので、ゆったり寛げ、アーム部分は木製。座席やブラインドには文様が描かれ、座席シートの色や描かれている文様は車両によって異なり、各車両で違う雰囲気が楽しめます。



西九州新幹線「かもめ」の骨格は、東海道新幹線の最新車両「N700S」と同じ。クールで近代的な印象の東海道新幹線とは対照に、西九州新幹線は木の温もりを感じホテルロビーのような雰囲気。内装でこんなに印象が変わることに驚きます。西九州新幹線「かもめ」への乗車そのものが目的となるようなオシャレで快適な新幹線です。
西九州新幹線の開業で90年ぶりに鉄道が!「嬉野温泉駅」
今回、私が旅をした佐賀県の嬉野温泉は、西九州新幹線が開業するまで約90年間、鉄道がなく車でしかアクセスができなかった場所。西九州新幹線が開業し「嬉野温泉駅」ができたことで、首都圏からも、飛行機(長崎空港利用)と西九州新幹線を利用し、約2時間で到着します。ちなみに博多駅からは、在来線特急リレーかもめに乗車し、武雄温泉駅で新幹線に乗り換えて約60分、長崎駅からは新幹線で約25分と至便です。

嬉野温泉は、日本三大美肌の湯に数えられ、私も最初に訪れたときには、一晩で肌が整うのを実感してびっくり! 新幹線開業で気軽に行けるようになった今、ぜひ旅の候補にしてみてはいかが?

日本三大美肌の湯は入って食べて祈って!? 心身共に美しく
温泉街へは、新幹線の駅から徒歩で約20分程度。駅前にはレンタサイクルやタクシーもあり、また路線バスも温泉街近くまで運行しているので、好みのアクセスを選びましょう。(宿泊の場合は送迎がある場合も多く、宿に確認を)
温泉街では湯めぐりもOK
嬉野温泉はナトリウムを多く含む重曹泉で、全国各地の温泉を巡った私もその効能に驚いたほど。しっかりと肌の汚れを落としたあと、重曹のぬめりが膜をして、肌を保湿。もちもちとした肌の感触に思わず笑みがこぼれます。

温泉街には、ゴシック調の建物がユニークな嬉野温泉公衆浴場「シーボルトの湯」や、旅館でも立ち寄り湯を実施しているところが多く、湯めぐりもOK。温泉街には足湯もあるので、手軽に楽しむこともできます。
体の中からキレイに!「温泉湯どうふ」
嬉野でぜひ食したいのが、温泉水で豆腐を煮込んだ「温泉湯どうふ」。嬉野の温泉水で煮込むことで豆腐のたんぱく質が分解され、温泉水は白濁し、豆腐もとろとろになります。薬味を鍋に入れて汁ごと頂くのが嬉野流。温泉水が胃腸を整え、豆腐の栄養を丸ごと頂ける、ヘルシーで調子を整えてくれる一品です。

今回訪れたのは、嬉野温泉湯どうふで有名なお店「宗庵 よこ長」。小鉢がセットの湯どうふ定食は950円~(税込)、落ち着いた店内で、優しくヘルシーな温泉湯どうふを頂けます。

最後は神頼み!? 豊玉姫神社へ美肌祈願
嬉野温泉にある豊玉姫神社は美肌の神様を祀った神社です。歴史を感じる3つの鳥居をくぐると、豊玉姫に仕えるナマズ様が境内に鎮座しています。

白い「ナマズ様」は、素肌健康、しわ退散、皮膚病退散などの願いを込めながら、柄杓で願い水をナマズ様にかけて祈願をします。

■嬉野温泉観光協会うれしの温泉のほほーん情報局 https://spa-u.net/
見渡す限りの茶畑でプライスレスな時間を過ごす~「嬉野茶時」
最後にプライスレスな体験をご紹介。嬉野といえば温泉とともに有名なのが、うれしの茶。そのうれしの茶を特別な空間で特別なスタイルで頂けるのが、「嬉野茶時(うれしのちゃどき)」。
舞台となるのは、茶畑に用意された茶空間。そのひとつ天茶台は、高台にあり嬉野の温泉街や嬉野温泉駅を眼下に望み、見上げれば山並みが空に美しい景色が広がります。

着席すると、目の前に茶畑が広がり、鳥のさえずりが心地よくそれだけでリラックスできる空間です。ここで行われるのが、白いユニフォーム姿のコンシェルジュが丁寧な所作で、お茶を淹れてくれるティーセレモニー。


同じ茶葉を使っても、淹れ方でその味や香りは変わる日本茶。ティーセレモニーでは、その時におすすめの茶葉を厳選し、一番おいしい形で提供してくれます。セレモニーの器は、地元の肥前吉田焼で特注したものだといい美しいだけではなくユニーク。コンシェルジュの所作とともに目を楽しませてくれます。

この地の歴史やお茶にまつわるストーリーを聞きながら、自分たちのためだけに時間をかけて淹れられた日本茶を、香り、味をじっくりと味わい丁寧に頂くプライスレスなひととき。日頃の雑念もどこかへ飛んでいき、終わった後は気持ちもすっきりとリフレッシュします。

■嬉野茶時 https://www.ureshinochadoki.com/
いかがでしたか? 温泉に入って、食べて、祈って心身ともに美しくなる嬉野温泉は女性の旅にもぴったり。西九州新幹線でアクセス至便となった今、女子旅やひとり旅にもおすすめです。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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