
昨年は、ダイアナ元妃没後25年ということもあり、半生を描いた初のドキュメンタリー『プリンセス・ダイアナ』が9月に公開され、10月には伝記映画『スペンサー ダイアナの決意』が公開されました。25年経った今でも、その魅力は色褪せることはありません。ダイアナ元妃といえば、まねしたくなるファッションも魅力の一つ。コーディネートの中には、イギリスならではの“伝統的”なファッションもあります。今回は、ダイアナ元妃とキャサリン妃のロイヤルファッションの共通点を探ります。
全身真っ赤なワントーンコーデで魅了
ロイヤルファッションの定番コーディネートと言えば、全身同色でまとめたワントーンコーデ。ダイアナ元妃もキャサリン妃も、さまざまなカラーのワントーンコーデを披露しています。

1985年4月、イタリアのフィレンツェに滞在中、ジャスパー・コンランがデザインした赤いスーツを着ていたダイアナ元妃。靴、バッグだけではなく、ストッキングも赤で統一。全身赤でクールな装いに見えますが、さりげなくインナーの白地の赤い水玉模様がフェミニンさを演出していました。

2023年1月に行われたロンドンの「シェイピング・アス」のイベントでは、赤い「アレキサンダー・マックイーン」のパンツスーツを着て登場したキャサリン妃。バッグも靴も、赤にしたワントーンコーデを見せました。
赤のワントーンコーデでも、ダイアナ元妃は女性らしさを感じさせるスタイルで、キャサリン妃はクールな印象の真っ赤なスーツ。イメージこそ違いますが、全身に鮮やかな赤をまとったファッションは鮮烈な印象を与えています。
緑と赤のチェック柄のコートで気品たっぷり
スコットランドの伝統的な柄、タータンチェックは英国王室の女性たちもよく着ているイギリスを代表する柄。イギリス国内のみならず、日本でも多くの人に愛用されています。

1989年1月、赤と緑のタータンチェック柄の「キャサリン ウォーカー」のコートを着ていた、ダイアナ元妃。「キャサリン ウォーカー」はダイアナ元妃のために1000以上の洋服を制作したブランド。ダイアナ元妃はこの赤と緑のコート以外にも、ワンピースやスーツなど、数多くのチェック柄を着ていました。

2017年12月、クリスマス礼拝に出席した際には緑と赤のタータンチェックのコートを着て登場したキャサリン妃。コートの黒い襟に合わせてか、帽子、手袋、シューズも黒に統一して、バランスよくまとめていました。
ダイアナ元妃とキャサリン妃、どちらも緑と赤のチェック柄ですが、ダイアナ元妃は深緑でシックな雰囲気、キャサリン妃は明るい緑で可愛らしい雰囲気に見えます。色合いで雰囲気が違って見えますが、どちらも気品溢れるコーディネートです。
→キャサリン妃とメアリー妃、”かぶっちゃった”ファッションはコチラ
コサージュやリボンがついた個性的な帽子
英国王室のファッションといえば、華やかな帽子をかぶる女性たちを思い浮かべる人も多いのでは? フォーマルな場のマストアイテムである帽子は、もちろん2023年となった今も受け継がれています。

1989年6月1日 イギリスのノーサンプトンを訪問した際に、着ていたのは「キャサリン ウォーカー」のピンクのスーツと、帽子は「フィリップ ソマーヴィル」。帽子のつばが、後ろの部分だけ折れていて、前方部分はまっすぐになっている特徴的なデザイン。ツバが折れた後方部分には、バラのような飾りと白いリボンが飾られていました。

2017 年 6 月 、エリザベス女王の誕生日パレードに出席したキャサリン妃。「アレキサンダー・マックイーン」のドレスと同じ色の「ジェーン・テイラー」の帽子を合わせていました。ハットの片側に花をモチーフにしたような飾りがゴージャス感を演出しています。
競馬の祭典「ロイヤルアスコット」はもちろん、冠婚葬祭など、さまざまなシチュエーションで、リボンや羽、花のコサージュがついた個性的なハットをかぶってきました。ドレスとハットはセットのものを着用しているように見えますが、別々のブランドのものをコーデ。センスの高さを感じさせます。
ケープ付きコートでフェミニンさと凜々しさ
帽子やアクセサリーなどの小物がおしゃれなのはもちろんですが、フォルムが可愛らしいコートも2人は所有していました。

1982年3月、イギリスのハダーズフィールドを訪れたダイアナ元妃。体のシルエットが目立たない「ベルヴィル・サスーン」のマタニティーコートで登場しました。ピンクのコートは、肩をカバーするビッグサイズのケープつきでした。

キャサリン妃も、2019年2月に北アイルランドへ訪問した際、ブルーの「マルベリー」のコートで登場。スコットランド発祥と言われている、二の腕が隠れるくらいの長めのケープがついたインバネスコートでした。
ダイアナ元妃が着用したコートは布の繊維がソフトな素材に見え、ピンクという色も相まって、フェミニンさが感じられます。対して、キャサリン妃のコートも元は男性用にデザインされたインバネスコートなので、凛々しさを感じられるデザインです。
ダイアナ元妃の時代から登場していたイギリスの伝統的なアイテムや柄は、現代のプリンセスである、キャサリン妃にしっかりと受け継がれていました。ダイアナ元妃、キャサリン妃のファッションが共に世界から注目されている理由は、おしゃれなだけではなく、英国のロイヤルファッションという歴史も感じられるからかもしれません。