健康・医療

皮膚が知らせる病気のサイン ひょっとしたら…気にしたほうがいい症状とは?医師が指摘

腕を触っている
肌の異変でわかる病気のサインとは?(Ph/photoAC)
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登録者数53万人のYouTubeチャンネル「予防医学ch/医師監修」を運営するウチカラクリニックの院長で、『怖いけど面白い予防医学 人生100年、「病気知らず」で生きるには?』(世界文化社)を上梓した森勇磨さんは、皮膚は体内の異常を伝えていると話します。体調不良からがんのサインまで、皮膚のどんな症状に注意すべきなのでしょうか。

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皮膚に現れる体内の異常の警告とは?

森さんによれば、体の中でもっとも目に付く場所である皮膚の異常は、皮膚そのものだけでなく体内からの異常が表出するサインの場合があるといいます。どういったものなのでしょうか。

唇まわりの水ぶくれは体調不良のサイン

まず身近な例が、疲労やストレスが溜まったときに出現する口唇ヘルペスです。

ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内の神経節(神経細胞が太く、木の節のようになった部分)と呼ばれる部位に潜伏し、睡眠不足など、人間が疲労して免疫機能が低下したときに顔をのぞかせるそうです。体調不良のサインだと思いましょう。

唇を触る女性
免疫力が低下したときに出現する口唇ヘルペス(Ph/photoAC)
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50代以降は帯状疱疹にも要注意

口唇ヘルペス以外にも、ヘルペスウイルスの仲間が引き起こす病気が帯状疱疹。水疱瘡の原因となるウイルスが体内の神経節に潜伏し、活性化したときに出る症状なのだそうです。体の左右どちらかの神経に沿って生じる皮膚の痛みや違和感、かゆみがあったら要注意です。

「帯状疱疹は文字通り帯状に体の片側に大きなかさぶたのような発疹として現れることが多いもの。疲れでも生じますが、とくに免疫機能の低下してきた高齢者に起きやすく、治癒したとしてもピリリとした痛みやしびれが約半数の患者に残ってしまうことがあります。50歳を過ぎたら、帯状疱疹ワクチンを摂取することを推奨します。」(森さん・以下同)

帯状疱疹ワクチンは自治体や健康保険組合が助成を行っている場合もあるので、接種を検討する場合はあわせて確認を。

注射を受ける人
帯状疱疹はワクチンで防ぐことができる(Ph/photoAC)
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大病の可能性も!皮膚が表すがんの徴候

皮膚には大病のサインが出ることもあると、森さんは話します。

皮膚や目が黄色くなったら…がんのサインかも

皮膚はがんのサインが表出することがあります。まず皮膚の色が黄色っぽくなっていれば内臓からの危険信号、なかでもすい臓や肝臓からのサインの可能性があるそうです。みかんの皮を剥いて手が黄色くなるだけならよいものの、目の白目の部分や全身が黄色っぽくなる場合は、医学用語で「黄疸(おうだん)」といわれるもので、必ず病院に行ったほうがよいと森さんはいいます。

手のひらをこちらに向けている
皮膚が黄色くなる黄疸が出たら要注意(Ph/photoAC)
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「この黄疸は、すい臓がんや肝臓の炎症が原因となる場合があります。たとえばすい臓がんができると、肝臓とすい臓とをつなぐ胆管という通り道が封鎖されてしまいます。この胆管には肝臓で作られた胆汁という消化液が流れているのですが、封鎖されてしまうと胆汁が血液に乗って全身を逆流し、皮膚が黄色くなってしまうのです。

ちなみに黄色くなるのは胆汁の中のビリルビンと呼ばれる成分の影響です」