穏やかに年をとるって難しい
あと、このところの寒暖差に体がついていかない。階段が怖い。足が遅くなった。ちょっとした速足でも心臓がバクバクする。言い出したらキリがないからやめるけど、でも、思えばこれって、初めてのことじゃないんだよね。50の坂を上るときもそう。やたらひざが痛くて、足が上がらなくなったことがあったの。そればかりか健康診断を受けたら不整脈があるという。乳がんの疑いでしばらく病院通いしたのもこの頃だ。そのくせ気分は40代かヘタしたら30代後半くらいでいるから、徹夜で仕事をしたりしてさらに体調を悪化させたっけ。
そうなんだよね。50歳になったからといって50歳の気持ちになれるわけではないし、いま66歳になっても、実年齢をすっかり受け入れてそれらしく振る舞えるものでもない。なんか、どっか違和感があるんだよ。
そんな話を先日、同い年の男友だちに話したら、「えへへ。この中のオレは48歳」とスマートウォッチを突き出してきた。なんと、ランニングするときの心拍数を48歳に設定してあるんだって。年齢のことなんかまったく気にしていませんという風の彼が! 「それで1日おきに走っていたら、膝やっちゃって」だって。それで週に2度は整体に通っているとサラッと言うけれど、いやいや笑いごとじゃないと思うよ。イケメンだった昔の面影はどこにもなくて、全身に砂をかぶっている感じなんだわ。
「ほんとうは38歳の心拍数に設定したいんだけど、そこは大人の判断で48歳」って言う彼に「無理しないでね」と言った私。その気持ち、わかるもの。
みんなそれぞれに老いに抗っていて、実年齢から目を反らそうとする。もう、穏やかに年をとるってなんでこんなに難しいのよ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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